河豚川ポンズ

永遠に僕のものの河豚川ポンズのレビュー・感想・評価

永遠に僕のもの(2018年製作の映画)
3.7
無邪気な殺人天使の映画。
ロレンソ・フェロの目鼻立ち整いすぎてて、本当にこの世に実在してるのか不安になってきた。

1971年のアルゼンチン、ブエノスアイレス。
公務員の父親というごく普通の一家で育った17歳のカルリートス(ロレンソ・フェロ)という少年は、その端整な顔立ちとは裏腹に生まれついての窃盗の天才だった。
当然のように他人の家に忍び込み、まるで自分のものかのように盗んだものを使ったり、彼女や親にプレゼントしたりと、度を超えて自由気ままに過ごしていた。
そんな日々の中、転入した工業高校で同い年ぐらいの一人の青年を見かける。
彼に不思議と惹かれたカルリートスは、わざと挑発して喧嘩をけしかけるのだった。
その青年、ラモン(チノ・ダリン)は喧嘩を吹っ掛けられたことから、初めは苛立たしく思うが、不思議と自然に意気投合していく。
そんなラモンの一家は犯罪者、自然体で盗みを行うカルリートスの才能は彼らには思ってもみないチャンスだった。
ラモンの家族に受け入れられたカルリートスは、チームでの窃盗を始めるのだった。


世の中には頭のネジが2,3本ぶっ飛んだような人間が時たまいるもんだけど、この映画の主人公カルリートスはもうそれどころじゃない。
そもそも抜けるネジが備わっていないレベル。
コンビニに買い物に行くように、息をするように、まるでそうすることが当たり前かのように、人の家に入って盗みをする。
冒頭で「みんなもっと自由にすればいいのに」という言葉が彼の行動原理をシンプルに表していて印象的だった。
でも、そんな自由も行き過ぎればただのわがまま、それどころか最終的には猟奇殺人犯みたくなってしまう。
きっと彼なりの理屈というか、「自由に生きる」という信条通りの行動なんだろうけど、理解は出来ても同情はしようがない。
ところで、アルゼンチンに実在した連続殺人犯カルロス・ロブレド・プッチをモデルにはしているが、あくまでモデルというだけでかなり脚色は加えられているのだそう。
その1つが同性愛者という点。
本編ではセリフで直接的に触れられるようなことはあまり無いけれども、彼の視線の先や行動を見ていると何となくそうなのかなという気はしてくる。
見えないながらもそれがこの映画のストーリーを大きく突き動かしていくキモの部分になっていく。

そんなカルリートスが淡い恋に落ちてしまったのは盗みの相棒のラモン。そして、それを演じるチノ・ダリンもこれまた超が付くほどのイケメン。
ロレンソ・フェロはポスターからも一目瞭然の中性的なイケメンだけど、チノ・ダリンは真逆のザ・ラテン系な男らしいイケメン。
今時そんなもみあげしてるやついないだろって長さで男らしさMAX。
劇中でカルリートスが一目惚れするのもよく分か……りはしないけど、とにかく目を引く美形なのは確か。
観る前までロレンソ・フェロの名前ばかり聞いてたから、いざチノ・ダリンが出てきたらいかにも過ぎて笑ってしまった。
そんな2人で送る青春クライムストーリーなのだから、目の保養には完ぺき。
同性愛がテーマに据えられてるからか、「君の名前で僕を呼んで」に近いように感じられるかもしれないけど、こっちの方が色々とこじらせまくってる感じ。
あっちは綺麗なだったけど、こっちは連続殺人犯の話だからそうなるのも当然かも。
どっちが好きなのかは好みにもよるけど、そもそも観る人を選びそうな話なのは間違いない。