140字プロレス鶴見辰吾ジラ

THE GUILTY/ギルティの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

THE GUILTY/ギルティ(2018年製作の映画)
4.2
【客観vs主観】

非常に面白く興味深いサスペンススリラー。緊急ダイヤルに入ってきた誘拐を臭わす通報。音だけで犯人の居場所や、そして人質奪回に向けた攻防戦に推理戦とワンアイデアにて回収する熱量の多い1作となっている。

全編PC画面から事件を解決する「SERCH/サーチ」同様、新時代の推理小説としての楽しみ方もあるが、物語を俯瞰視する我々の客観性と事件を解決する当事者の主観性のズレを体験できる興味深さも十分に感じられる作品でもある。

本作の主人公は過去に罪を犯した捜査官であり、左遷されて緊急コール対応をしている。それがゆえに彼は通報者を下に見ている。ここがポイントで、主人公>通報者となるのだが、メインになる事件発生からは巧くミスリードが配置され、主観でみるとそれに気が付かず、客観視する観客側がその疑問点に気が付き、他物語に触れているがゆえのドンデン返しを予見し、主人公の熱量が暴走に映り、そして我々はそれを伝達できずやきもきさせられる仕様になっている。

このとき、客観側は主人公=GUILTYとして位置づけ、そしてその罪の告解をクライマックスに投じて幕引きへと向かわせるのだが、いざ自身を振り返ったときに日常におえる我々の判断や選択は客観視されたときに、実は過ちなのかもしれない?という後ろめたさも同時に受け取ることもでき、彼が罪を告解することが他人事に思えなくなってしまう後味のいい意味でも悪い意味でも良くないモヤモヤ感とともに、自身を振り返りたくなるアフターケアさえ持っている作品であった。