ヨーク

ハロウィンのヨークのネタバレレビュー・内容・結末

ハロウィン(2018年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

俺はホラー映画とかあまり観ない人なのでジャンルとしてあんまり詳しくないし、本作も過去の作品とのつながりとかどういう風に再構成しているかとかはよく分からない。ハロウィンシリーズは2,3本くらいは観たことあると思うんだけど確実に観たと覚えているのは初代だけで他は何を観たのかさえ覚えていない。多分、平日の昼間とか深夜にTVでやってたのをたまたま観た程度だと思う。
つまり俺はホラー映画というジャンルに対してはクソにわかだと言いたいわけですが、そのクソにわか的には今作『ハロウィン』は超面白いじゃん!!と思ったんですよ。いやこれホントに面白かったな。ホラー映画にも割と真面目なホラー映画とふざけたホラー映画があると思うんですが明らかに本作は後者でしょう。いやだって明らかに悪ふざけしてるよ。人間の命の重さとか尊さみたいなことは全く考えてないよ。スナック感覚でサクサクと人を殺していって最初の方こそ緊張感あって怖さも感じるんだけど途中からもう笑うよね。マイケルが「ちわーっす、殺しに来ましたー」くらいのノリで被害者のおうちにやってきてササっと殺して去っていく、しかもマイケルが建物をぐるっと回って勝手口的なところから入ってきて被害者を背後から殺すシークエンスが1カットで淡々と描かれていてあんなテンポでやられたら笑ってしまうでしょ。
とは言えかなりホラー映画としては王道な演出も多く俺のようなホラー初心者でも適度に怖がりながら笑えるという絶妙な塩梅でそこら辺も凄くいい感じでしたね。期待を裏切らないので安心して観ることができます。安心して観れるホラー映画ってどうなんだよ、と言われたら返す言葉もないですが…。
後はジェイミー・リー・カーティス演じる武闘派ババァのローリーが素晴らしかったですね。もうこの作品はローリーとマイケルのプロレス(多数の犠牲者を巻き込んだ)と言ってもいいでしょう。先に触れた王道的な演出の一つでもあるんですが映画のクライマックスのローリーVSマイケルのパートでカメラはずっとローリーを捉えていてマイケルの姿は全然映さないんですよ。どこの物陰から殺人鬼が出てくるか分からないという恐怖を煽るわけです。で、いざマイケルが姿を現すとローリーが構えた銃はマイケルには当たらずに逆にぶん投げられてローリー絶体絶命のピンチになる。しかしそこでマイケルが投げ飛ばしたローリーから一瞬だけ目を離すともうそこに彼女の姿はなかった!そこからカメラの被写体が入れ替わってマイケルが映されるようになりローリーが姿を消す。ここで二人の立場が逆転するわけですよね。ホラーの基本的なお約束だけどカメラに映っている人がフレームの外にいる存在から襲われる、というやつです。そのお約束通りにマイケルはローリーに敗北するんですがこのローリーならマイケルに勝てるなっていう説得力があるのが凄かったですね。何ならこの映画のホラー要素の3割くらいはローリーが担っていたのではないだろうかと思うほどにローリーは一般人ではなかったです。バケモノを倒すためにバケモノになった女という感じで最高に格好良かった。
先日『ブラック・クランズマン』の感想でヘイトと戦うために自分がヘイトをまき散らしてはいけないというようなことを書いたばかりで申し訳ないですが殺人鬼を倒すために自ら怪物となるババァは格好良かったですね。いいんだよ『ハロウィン』なんてそんな高尚な映画じゃないんだから。
すげぇ面白かったです。ちゃんとホラー映画観ようかなと思いましたね。
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