YACCO

ロケットマンのYACCOのレビュー・感想・評価

ロケットマン(2019年製作の映画)
3.5
今度はエルトン・ジョンかと思ったのは私だけではあるまい。
とはいえ、エルトン自身が製作にかかわっていると聞き、どこまでの映画になるのだろうかと思いながら鑑賞。
どうしてもフレディ・マーキュリーの映画「ボヘミアン・ラプソディ」がちらついてしまうのものの、決定的な違いは、エルトンの曲をこれでもかと聞かせる(しかし歌うのはエルトンではない)ミュージカル仕立ての映画であることだったのではないだろうか。

最初に書いておくと、私はエルトンの往年のファンというわけでもないので、この映画に登場する曲をすべて知っていたわけではない。しかし、8割は知っていたような気がする。口ずさめるほど聞き込んだ曲は少なくともなんか知っている曲がほとんだった。そう考えるとやはりすごい。

そして、ここにも登場するジョン・リード。この後、クイーンのほうにも登場することになるのだが、彼は間違いなくやり手なのだろう。だがしかし、最後まで寄り添う相手にはなれないらしい…

エルトン演じるタロン・エガ—トンはアクションができるのは「キングスマン」で実証済みだっただが、どうやら歌えることも今作で判明。前評判ほど似ているかどうかはさておき、ミュージカル仕立てのこの映画でエルトンとして歌い踊る彼は素晴らしかったと思う。エルトンよりややイケメンかしら?と思ってみていたけれど、体重を変化させたり、髪の生え際も剃って調節(なのか…?)したらしいし、ド派手な衣装を身にまとい、眼鏡をかけるとエルトンに見えてくるから不思議だった。(あの衣装はやはりエルトンがエルトンになるための武装というか、必術品だったのかもしれないと映画を見ながら思ったりもした)

昔からの長いつきあいの仲間に背を向けて、酒やドラッグ、享楽に走っても、最後には変わらずに傍にいてくれる友の存在は本当に大きい。しかし、それが見えなくなってしまうときはどうしても訪れてしまうものなのか。愛されなかったと彼はいうけれど、本当にそうだったのだろうか…彼のような景色を見たことも、彼のようなセクシュアリティに悩んだことも、彼のような才能を持ち合わせたこともない私には、想像はできても理解したり共感したりは難しい境地だと思った。

今作の見どころはエルトンの人生を垣間見るというよりは、エルトンの音楽を使ったミュージカルを楽しむというほうがいいかもしれない。正直、これはもしかしたら映画より舞台化したほうが面白いのでは?と鑑賞中思ったりもした。

最後に余談だが、エルトンが演奏しながら宙に浮くというシーンがあるのだが、その昔、ライブ後のドラマーが「今日のライブは宙に浮くようだった!気持ちよかった!」と言っていたこと思い出した。(ただ、その日のライブはドラムが走ってしまいメンバーは合わせるのが大変だったとも言っていたが…)これが宙に浮く感覚なのだろうかと視覚で楽しませてもらった。
YACCO

YACCO