映画大好きそーやさん

ジョーカーの映画大好きそーやさんのネタバレレビュー・内容・結末

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

喜劇という名の悲劇、再び。
元ネタと言われている『キング・オブ・コメディ』を先に観ていたので、そちらと比較しながら本作を鑑賞しました。
筋は似通っていますが、本作の方が一般にも伝わりやすいように脚色されていたと思います。
レビューや評価とは関係ありませんが、個人的にはこちらの方が好みでした。
アーサー・フリックを演じたホアキン・フェニックスの存在感は、或いはロバート・デ・ニーロのルパート・パプキンを超えていたようにすら感じて、演じていると分かっている筈なのにホアキンを心配する自分がいました。
劇伴も脚本も、シリアスかつタイトに締まっていて、本当に格好良かったです。
後半のソフィーとの関係性がすべてアーサーの妄想であったと発覚するシーンは鳥肌が立ちましたし、ランドルを殺した後、階段を下りながら小躍りしているシーンはこの映画を観られたことに感謝する心さえ芽生えました。
腐り切ったゴッサム・シティでジョーカーが掲げた狼煙に扇動された市民たちの暴走は、アーサーにとっての最高のエンディングであると同時に、私たちにとっても大きな救いとなって、日常の不条理、国の不景気、世界の不均衡等への怒りを、私たちに代わって余さず発散してもらえているようで、本作のラストシークエンスだけでは収まり切らない意義性があったと思います。
映画としての面白さ、1本の作品としての強度、すべてを踏まえた上での総合値の高さは、他の追随を許さない圧倒的作品性を誇っていました。
圧巻でした!