ヨーク

マチルド、翼を広げのヨークのネタバレレビュー・内容・結末

マチルド、翼を広げ(2017年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

何か少女の日記帳を盗み見してるみたいで背徳感を感じる映画だと思う。いや俺は決してロリコンではないが。
非常に死を連想させるシーンや演出が多い映画でその死と対比させるためにエロスというか生々しい生命力を描いているのかなと思った。マチルドちゃんが何歳だったのかイマイチ記憶が定かではないが、母親があんなだからあまりにも早い自立を促されるんだけど当然まだ子供なもんだから母親から離れたくないし目を離すとどこかへ消えてしまいそうな母親を繋ぎ留めたくもある、という二律背反が悲しくて切ない。フクロウ越しに自分と対話する姿は端から見るとファニーな感じもするけど本人的には滅茶苦茶シリアスなんだよな。
オフィーリアを思わせるシーンが印象的だが作中には明らかに死にまつわる表現が散りばめられている。でもキリキリと胃が痛くなるような深刻さではなくどこかふんわかした映画だったのでそんなに辛い気持ちにはなったりしない、そこは根底に母への愛があるからではないかなと思うが。なんかそういう良い雰囲気の映画だったように思う。
ラストの雨のシーンから二人で詩を詠むくだりは本当に美しいと思う。その美しさは具体的な言葉で説明できる類のものではなくてふんわりとした雰囲気的な美しさなんだけど、その曖昧な空気感がむしろ家族的な感じがしてよかったと思う。
あらゆる人間関係の中で最も強固なものは母親と娘の関係だと言ったのは河合隼雄だったかな。なんとなくそれを思い出した。
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