平野レミゼラブル

運び屋の平野レミゼラブルのネタバレレビュー・内容・結末

運び屋(2018年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

この映画の予告篇を見た時の第一印象は「クリント・イーストウッドも老けたなァー!ダーティハリーみたいなギラギラさって流石に厳しいんじゃない?」って感じだったんですが、そこは90歳にして麻薬の運び屋をやるジジイ。そんなこたァ全くない。最初こそ全てを失ってしなびているものの、すぐにギラギラと輝き始めるのである。

兎に角、このジジイ、若いギャングに対しても臆することなく年齢でマウントを取っていく。
その姿を一言で形容するならば『レスバ最強無敵のジジイ』

スマホを弄っていれば「最近の若者はすぐにスマホに頼るからダメだ!」
老いぼれがと馬鹿にされれば「俺はお前より長く生きててお前よりも人生を楽しんでいる」
銃を突きつけられれば「俺は戦争を経験してるからこの程度怖くもないんだが?反論がなければ俺の勝ちだが?」
無敵か、このジジイ…

でも根本はお爺ちゃんなのでどんなに厳ついギャングの兄ちゃんでも、二度目に会う時には孫の如く親切になるのだ。
ジジイ「メールの打ち方をマスターしたぞ!でも数字が上手く打てないんだ」
ギャング「マジかよ爺さん、簡単だぜ。ほらここをこうしてこうすれば…」
可愛いな、このジジイ…

そして長年の経験と凄まじい胆力、なんだかんだでお人好しな人格から次々仕事をこなしキャリアを積んでいくジジイ。
ボスにも気に入られ美女2人をあてがわれ、ハッスルするのであった。
「これ以上は心臓が止まってしまう!」
このクソジジイ……!!

そんなジジイの根底にあるのは「自己顕示欲が強すぎてのカッコつけたがり」であり、そのために家庭を崩壊させてしまっている…。
それなのに家族再生のためにカッコつけつつ破滅への道へ奔走してしまう不器用さを丁寧に描いてるから、基本老害としか思えないこのジジイについつい肩入れしてしまうんですよね。

とまあそんな感じでジジイの良いところも悪いところも余すことなく伝えてくるので、観ているこちらも作中人物同様にすっかりお爺ちゃんっ子になってしまうというジジイ賛美映画です。
クリント・イーストウッドが演じてるからこその説得力が凄い。超絶オススメ!