
美知はまだ3歳。今日から働き始める母親は、子育てに協力的じゃない夫に苛立ちながら、美知の手を引いて家を出た。会社の保育所に美知をあずけるためだ。初日から遅れるわけにはいかない。急ぎ足で駅まで向かうと、電車から吐き出される通勤の人々は、小さい美知の目には大きく、恐ろしく、足がすくんでしまう。電車に乗ることが出来ずにいると、優しく声をかけてくれた年配の男性が、折り紙の亀を彼女にくれた。 「この亀さんみたいに首をすぼめて自分を守ればいいんだよ」 。美知は、首をすぼめ、母親と電車に乗り込んでいく。不寛容な通勤電車の中で、人の優しさに触れ、成長していく少女の記録。
「もしあの猫が怪我してて、人に手を差し伸べられたらどんな気持ちになると思う?」高校生になった石松りんは、友達を作るために大好きな読書をやめるが、登校初日、下駄箱で出会った渡辺玲と一緒に図書…
>>続きを読む宝塚~西宮北口間を約15分で走る、えんじ色の車体にレトロな内装の、阪急今津線。その電車に、さまざまな「愛」に悩み、やりきれない気持ちを抱えながら偶然乗り合わせただけの乗客たちがいた。電車内…
>>続きを読む母・ゆかと二人暮らしの少女・みゆきの夕ご飯いつも決まって、ゆかが作り置きしておくカレーだった。寂しさからみゆきはゆかの作ったカレーを捨ててしまう。その日から14年。20歳の母の日にみゆきは…
>>続きを読む徐々に視力を失っていくピアノ調律師インス(パク・ヒョンシク)は、視覚障害を持つアロマセラピストのスヨン(ハン・ジミン)と、写真同好会で出会う。何事にも前向なスヨンと悲観的なインスだったが、…
>>続きを読む主人公は軽度の知的障害者のある男性、真人(川平慈英)。中学で「特殊」学級に入った真人は、バカにされたりいじめられたりしながらも、同じ障害のある女性、咲楽(七海)と出会い、ぎこちない愛情表現…
>>続きを読むタクシードライバーの間で “深夜、人気のない歩道に立ちずさむ女“の噂話がささやかれるなか、 今日も遠藤はひとりハンドルを握り閑散とした住宅街を流していた。 いつもと変わらぬ夜―。噂の歩道傍…
>>続きを読むまよいみち、探して、忘れて、忘れられても、そこにいて 彼女の名前はマイコ。大好きなのは、りんご、にくまん、そしてひとだすけ。街で出会うへんてこりんな人々に声をかける人はなく、誰もが見向きも…
>>続きを読む事故で視力を失った西村芳則(木村知貴)は、小さな港町で、ときに伯母(内田春菊)に面倒を見てもらいながら生活している。かつて同じ通りの家から一緒に通学していた同級生の大畑(高見こころ)は、東…
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