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象は静かに座っているのminorufukuのネタバレレビュー・内容・結末

象は静かに座っている(2018年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

中国の田舎町に住む高校生の主人公は、友人に因縁をつけてきた不良を誤って突き飛ばして怪我をさせしまい、学校から逃げ出す。彼と、彼を追う不良の兄、主人公の幼馴染の少女、愛犬を亡くした老人の4人の一日を追った作品。
若くして自ら命を絶ったフー・ボー監督のデビュー作にして遺作。約4時間の大長編。

観る前はさすがに4時間はきついと思っていたが、この長さでないと全編を覆う閉塞感のようなものは表現できなかったのかもしれない。凄まじい映像体験だった。
4者が早い段階で出会って、タイトルにもある一日中座ってる象のいる地を目指すのかなあと想像していたが、序盤はそれぞれの光明の見えない鬱屈した日常を描き、主人公が起こした事件が他の登場人物にも影響を及ぼす。
最初の一時間半は4人の接点はあまりなく、順番に彼らの暗い境遇を語っていく。各々が間接的に知った象の逸話が、彼らの逃れられない過酷な現実を忘れるための道標のようなものになっているのも物悲しかった。
個人的に印象に残ったシーンは主人公が象のいる地を目指していると聞いた時の不良兄のなんともいえない表情と駅で他の三者が自然と合流するシーン。それまで別々に進んでいた物語が象を見に行く目標に収束していく流れは全身に鳥肌が立つくらい心が震えた。突然終わるラストシーンも余韻が残った。荒々しい音楽も本作の雰囲気に合っていた。

それにしても作中の1日で事件が起こりまくり。主人公だけ見ても同級生を誤って殺害、おばあちゃん病死、親友自殺、幼馴染の女の子が教師と援助交際とショックな出来事多すぎ......
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