映画大好きそーやさん

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンの映画大好きそーやさんのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

本作にて、150本目のレビューとなります!
いつも閲覧して頂きありがとうございます。
今後も自分のペースでコツコツ更新していきますので、どうかよろしくお願いします!
余談はさておき、本編に入りましょう。
花殺し月に揺れ動くコヨーテと、振り回されたオセージの人々。
公開日に1回、そして時間を空けてもう1回鑑賞してきたので、満を持してレビューを書いていきたいと思います。
まず初めに、本作は簡単に内容を語れるような作品ではありません。
成熟されたマーティン・スコセッシの粋を余すことなく流し込んで制作されており、多層的に折り重なった要素で見せる真実とその結末が極限までエンタメを削ぎ落とした状態で作品という形になっています。
監督自身、エンタメにすることは当事者たちへの冒涜になると考えたのかもしれませんし、そういった配慮はあって然るべきだと思います。
ですので、エンタメ性が皆無だからと言って、評価が下がることはないです。
その点を踏まえた上で、レビューを書き連ねて参ります。
正直に言うと、個人的には間延びとまではいきませんが、どこか締まりがなく3時間もあったとは思えない!などという感想は抱きませんでした。しっかり長かったです。
ただすべてが退屈という訳でもなく、石油が地中から噴き出し、その周りで歓喜のダンスに興じる冒頭のシークエンスから、劇伴も相まって最高にテンションが上がりました。
ここで、観客の誰もが『映画』が始まったと思ったことでしょう!本当に素晴らしかったです。
そこからレオナルド・ディカプリオ演じるアーネスト視点で作品が進行していく中(あえて物語とは言わないでおきます)、次々と死を遂げていったオセージ族の人々と、それらの詳細が調査されなかった事実が淡々と語られていくシークエンスは、オセージ族の静かな怒りをありありと感じられるようで、本当に心が痛くなりました。
作中、クールかつ狡猾に動き、ある意味で最も輝いていたのは、ロバート・デ・ニーロ演じるヘイルでしょう。
何も起こっていないような会話のシーンに、幾つも怖い発言をしてくるヘイルの底知れなさは、今年観た映画の中でもトップクラスのものでした。
サインのくだりはその最たる例と言えて、最早笑みすら誘われましたね。
アーネストとヘイルの駆け引き、その決着がこの『映画』の終わりかと思いきや、そこで終わらないのもまた本作の面白いところです。
煙に巻かれるとはよく言ったもので、ラストシークエンスにて結局はすべてを利用されて、瞬く間に消費されていくオセージ族の巻き込まれた事件の真相に、涙を禁じ得ませんでした。
その勢いのまま終幕していくことに、やるせない気持ちのまま劇場を後にすることになったのは言うに及びません。2度とも見事に心を病まされました。
総じて、3時間26分という尺にはかなり苦しい部分があれど、『映画』として代え難い鑑賞体験をすることができる作品でした!