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バルーン 奇蹟の脱出飛行のYYamadaのレビュー・感想・評価

バルーン 奇蹟の脱出飛行(2018年製作の映画)
3.7
【実話に基づく傑作映画たち】
 ~事実は小説より奇なり

◆ベースとなった史実
〈熱気球で西ドイツに亡命 / 1979年〉
・場所: 東ドイツ/ ブランケンブルグ

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・1979年。東ドイツで抑圧された日常を送る電気技師ペーターとその家族は、手作りの熱気球で西ドイツを目指すが、国境まであと数百メートルの地点に不時着してしまう。
・準備に2年を費やした計画の失敗に落胆するペーターだったが、家族の後押しもあり、親友ギュンターの家族も巻き込んで新たな気球作りに着手する。兵役を控えるギュンターのタイムリミットはわずか6週間。不眠不休の作業を続ける彼らに、秘密警察の捜査の手が迫る…。

〈見処〉
①空に壁はつくれない——
実話に基づく決死の逃走劇
・『バルーン 奇蹟の脱出飛行』は2018年にドイツ・フランス・アメリカ合作にて製作された歴史ドラマ映画。監督は『小さなバイキング ビッケ』のミヒャエル・ブリー・ヘルビヒ。
・東西冷戦下の1979年の東ドイツで、手作りの熱気球で西ドイツに亡命した家族の実話を映画化した本作は、 1982年に『気球の8人』として映画化し、映画化権を保有するディズニーから承諾を得て製作されたもの。
・実際に気球で脱出した家族がコンサルタントとして参加し、基本的に実話通りの内容になっているそうだ。
・出演は『ルートヴィヒ』のフリードリヒ・ミッケ、『愛を読むひと』のデビッド・クロス、『戦場のピアニスト』のトーマス・クレッチマン。

②結び…本作の見処は?
ファンタジーと思いきや、骨太のサスペンス映画でした。
◎:「自分の家族以外はみな秘密警察?」と思わせるくらい、周囲の監視の目を印象的に演出。重厚な音楽も、ピリピリと重苦しい緊張感を高め、一級のサスペンス、政治スリラーとして仕上がっている。
○: 映画の舞台になることが少ない、冷戦下の東ドイツの窮屈な生活感を現す、ロケ地や舞台セットも見どころ。
○: 本作も日本公開の配給は、木下工務店グループの「キノフィルムズ」。良作の発掘に長けている。
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