イギリス・ポーランド・ウクライナ合作
世界恐慌の最中、若きイギリス人ジャーナリストのガレス・ジョーンズ(ジェームズ・ノートン)は、大恐慌の中で唯一、繁栄を続けるソ連の動きに疑問を持ち、単身モスクワへ乗り込む。そこで彼はウクライナに関する驚愕の実態を知る事となる。
ロシアのウクライナ侵攻で、両国の歴史的関係について断片的に触れる機会もあり、興味を持った本作。まさかこんな深い闇が関係しているとは、自分の無知を恥じました。。
ホロドモール。ホロコーストと並び人類最大の悲劇のひとつとされている。当時ソ連の最高指導者、スターリンが行った集団農業化(コルホーズ)により、農民は土地を国に没収され、高い収穫目標を掲げられた。
社会的実験として計画されたこの政策、元々肥沃な大地として知られるウクライナではあったが、天候不順も重なり、多くの住民が自ら食べる事もままならず、過度な強制労働により多くの命が失われた。スターリンによる集団的ジェノサイドとされている。
本作はドキュメンタリーの様にその様子を、ただ冷たく描写する。それだけで十分に心に迫るものがあり、息苦しくなる。目を背けたくなる現実の数々。
ガレス・ジョーンズが訪れた、ウクライナのスターリノという街、現在はドネツィク市となっているが、ロシアによる侵攻で占領され、今まさにロシア併合を問う強制的な住民投票が行われようとしている。
日本でもあまり知られていない、ホロドモールの真実。ひとりのイギリス人ジャーナリストにより実態が明らかとなり、語り継がれてきたものの、このウクライナの現状を見ると、彼の勇敢な行動も浮かばれません。
歴史を知り、歴史から学ぶこと。そして歴史の前に謙虚であること。改めて心に刻みたいと思いました。犠牲になるのはいつも罪のない市民。ウクライナ情勢の一刻も早い終息を願います。