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ベルファストのknykeastのレビュー・感想・評価

ベルファスト(2021年製作の映画)
4.2
アカデミー賞脚本賞受賞!北アイルランドで幼少期を過ごしたケネス・ブラナー監督・脚本の自伝的作品、「ベルファスト」を鑑賞。

物語の舞台は1969年。9歳の少年バディ(ジュード・ヒル)は生まれ故郷のベルファストで、家族や近所の仲間と楽しく暮らしていたが、過激化する武力闘争が徐々に生活に暗い影を落としていく。。

ベルファストはイギリス領北アイルランド地方の首都。

アイルランド島に位置しながら、イギリス領という複雑な状況を抱えており、多数派のイギリスからの移住者と、少数派のアイルランド人との間で、近年まで宗教対立による武力闘争が行なわれてきた。

少年のバディの目から見た紛争。憎しみ合う人々。同じ人間でありながら、民族や宗教の違いで醜い縄張り争いを繰り広げる大人達。そして理不尽に奪い取られる日常。。

子供達にとっての未来は、この世で一番大切な事だと思う。権力を持ち分別が無くなった大人の末路は醜いの一言。歴史は悲しい程繰り返します。

お前は何者なのか

アカデミー賞助演男優賞にもエントリーされた、バディの祖父(キアラン・ハインズ)がバディに語った言葉。

戦争で国を追われようとも決して忘れてはいけないことがある。それが人生の拠り所であり、自分が何者なのかを自信を持って言える事が、新たな人生を切り開いていくと信じたい。

キアラン・ハインズはベルファスト出身の役者さんなんですね!当事者だからこそリアルに言葉か刺さってきます。含蓄がありウィットに富んだ祖父の言葉の数々が、この脚本の真骨頂なんだと思います。

そしてモノクロの映像は、人の表情を皺ひとつまで繊細に写し出しますよね。時代に翻弄されながら、家族が何を考え、何を大切にし、どんな感情を抱いたのか。驚く程の没入感でした。。

まさに今だからこそ、見るべき作品だと思います。コーダの影に隠れてしまいましたが。。是非、大画面での鑑賞をお勧めします。最後はホントいい作品を見た!という気持ちになりましたので(^^)
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