このレビューはネタバレを含みます
韓国セウォル号の沈没事故で息子を失った家族を描いた作品。
海外勤務のため息子の死に立ち会えなかった夫は後ろめたさを感じそのまま家族と離れ国外で暮らしていたが、約2年ぶりに帰国する。一方妻は幼い長女を一人で育てつつも、息子のことを考えないようにと仕事に没頭する日々を送っていた。亡き息子の誕生日を前に事故の遺族支援者や息子の友人たちが中心になって誕生会が企画されるのだが......息子の死を受け入れられずにいた妻は乗り気ではなく......という話。
大切な人の死に直面し大きな喪失感を抱えて離れ離れになっていた家族が、ぎこちない触れ合いの中やがて一つに戻っていく過程を描いた良作。
夫婦と長女役の役者の演技が素晴らしく、また、息子の幼馴染や高校のガールフレンドら要所のエピソードもうまくはまっていて、終始登場人物たちの悲しみと立ち直ろうとする姿に色々とかんがえさせられた。少しウェットな展開が多すぎてクドいとも感じたが。とはいえ、最後の誕生会は感動場面の連続で涙が止まらなかった。長女の無邪気な中にも両親と亡き兄を思う振るまいにもジーンとさせられた。事故の際に兄が仲間たちを率先して助けようとして亡くなった逸話は愛されていた人柄が出ていてとても泣けた。
