あるお金のない家族の住む長屋には、立地の関係で近所の鰻屋の匂いが流れ込んでくる。それをいいことに〝匂い〟をオカズに白飯をかっこむ一家。あげくに「父ちゃん、今日の鰻は痩せてるね」なんて愚痴を言う始末。ある日その鰻屋から、月末の請求が来る。使いの者が言うには、匂いを嗅がれると鰻の精が抜けてしまうから〝嗅ぎ代〟をもらって来いとのこと。ごねる家主だが、その理屈にしぶしぶ納得し金を用意する。それを使いの小僧の前でじゃらじゃら音を鳴らして言う。
「音だけ聞いて帰んな」
…以上は僕の好きな落語の小噺ですけど、この「パラサイト 半地下の家族」を観た後じゃ、全然笑えない。
いや、観ている最中ずっとニコニコ、時に爆笑してたんだけど、あのラストとエンディングの凶悪な唄（やけにさわやか）を聴いた後だと、笑えないし、帰りの電車の中、悔しくて情けなくて、帰りの電車で涙ぐんだ。
パルムドール受賞のポン・ジュノの最新作は前評判に違わず、傑作…ていうか、ど傑作でした。髪の毛ボサボサのくせに、映画はなんて洗練されてんだよ、ポン・ジュノ！戯作者としてまたひとつ高みにいったね。「殺人の追憶」がまだ土臭く思えるくらい、優雅で残酷な語り口に慄えたし、奮えた。
僕は金持ちじゃないし、先行上映にムビチケ使えなくて「アコギだわぁ」と思ったくらいの経済状況くらいだけど、キム一家に超のっかたったわい。心掴まれてますまだ、このまま2020になるぞ。
もっかい観てからネタバレ感想書きまくるわ！ちょっと待って！
今年もおつかれありがとう！
来年もよろしく、まだ観ぬ映画たちよ！
