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悪人伝のbackpackerのレビュー・感想・評価

悪人伝(2018年製作の映画)
3.0
ヤクザ組長×アウトロー刑事×連続殺人鬼

2010年代後半の韓国俳優界を代表するスーパースター、マ・ドンソク(以下、マブリー)。
『新感染ファイナル・エクスプレス』にて世界的に名を上げ、「俺たちのマブリー!」から「世界のマブリー!」に名実ともにのしあがりました。
マブリーの演技の幅広さは有名で、お茶目系、可愛い系、硬派系、愛情深い系、人情系、なんでもござれ。
本作のマブリーは、暴力の化身系。そのパンパンに膨れた筋肉から繰り出される剛腕が唸りを上げ、殺人鬼に邪悪な笑みと共に叩き込みます。

本作の内容を超簡潔に言うと、「相手が悪かった」、これにつきます。
ヤクザの組長マブリーを運悪く滅多刺しにしてしまったものだから、殺人鬼青年は執念深く執拗に追跡されます。ま、そのおかげで青年は「俺、生きてる!」って実感できてるようですし、何も怖くねえ!と息巻いてる彼を恐怖のどん底に叩き落としてくれるマブリーの存在には、むしろ感謝しないといけませんね。


殺人鬼の人物描写は浅めで、調査の過程で詳になることはありません。
僅かながらに描かれる犯人像については、殺人鬼の部屋のシーンくらいです。そのシーンも、『セブン』や『CURE』(及びその影響を受けた『殺人の追憶』等)を連想させる"いかにも猟奇的な殺人鬼"といった雰囲気の部屋を、ただ見せるだけ。そこからプロファイリングが進展するようなことはありません。
殺人鬼の内面には重きを置いていないと理解していますが、少し物足りない。家族や出生に対する明確な主張があったようなのですが……ま、いっか。


何はともあれ、マブリー演じる組長と、キム・ムヨル演じる刑事の、敵であり仲間である関係性が織りなす面従腹背・アンビバレントな心模様をお楽しみください!
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