河豚川ポンズ

ブラック・ウィドウの河豚川ポンズのネタバレレビュー・内容・結末

ブラック・ウィドウ(2021年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

いろいろと物足りない映画。
MCUのフェーズ4として1発目!しかも久しぶりの映画館!と思って勝手に期待値上げすぎたのがまずかった。
ここでの感想はMCUの沼から聞こえるうめき声として流してください。

「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」直後の2016年。
「ソコヴィア協定」に違反したことで国連から追われることとなった“ブラック・ウィドウ”ことナターシャ・ロマノフ(スカーレット・ヨハンソン)は、ノルウェーへと行き着く。
逃亡中の協力者であるリック・メイソン(O.T.ファグベンル)からセーフハウスで私物を受け取るが、その中に赤い薬品が入った見慣れない荷物があった。
それが、自らが「レッドルーム」と呼ばれる暗殺者集団にいた時の妹分、エレーナ・ベロワ(フローレンス・ピュー)から送られたものだと気づく。
しかし、そこにレッドルームから差し向けられた謎の暗殺者“タスクマスター”がナターシャを強襲するのだった。


「アベンジャーズ エンドゲーム」で衝撃的な最後を迎えたブラック・ウィドウの単独作。
企画自体は何年も前から聞いてたので、コロナ禍での延期も相まってようやく公開かという気分。
アベンジャーズという家族が崩壊した彼女が直面するのはかつての「家族」とのしがらみだった……というストーリーだけど、今更これやるの?と思った。
だってブラック・ウィドウの家族愛の描写は「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」あたりから始まって、その究極がエンドゲームでのラストに繋がったのに、その深堀りをエンドゲーム後にやるの?
そりゃあこの映画の中でさらに途轍もないミスを犯していたならまだしも、エレーナや他のウィドウも助かってわりかし大団円で収まってて、それならエンドゲーム前にやらないとインパクトが薄れる映画だと思うんですけど。
スケジュール的に間に合わなかったのかもしれないが、完全に後付けのストーリー感が否めない。
もう一つのテーマの虐げられてきた女性たちの解放という部分が時代に沿っててよかっただけに残念。

まあストーリーの意義的な部分はまだ良いというか、正直エレーナを出すためみたいなところはあるので、この際目を瞑りますが、一番気に入らなかったのがタスクマスターとレッド・ガーディアンの扱いの軽さ。
タスクマスターの正体はレッドルームが出てきたあたりで何となく分かってたけど、肝心のアクションシーンが予告でほとんど出し尽くしてるってどうなのか。
原作やアニメで人気キャラなのに設定改変までしてこの扱いってあまりにもあんまり。
どうせならナターシャ、エレーナ、レッド・ガーディアンの三人でかかってもギリギリ勝てるかどうかぐらいの絶望感があればよかったのかもしれないけど、なんかベストバウトというようなシーンもなくピリッとしない。
極めつけはレッド・ガーディアンの戦闘描写がほとんどない。
これなら別にスーパーソルジャーである必要がないのでは?
せめてキャプテンアメリカの武術を使うタスクマスターを圧倒するシーンとか欲しかった。
ドラマパートでのストーリーや演技が良かっただけに、原作キャラクターの無駄遣い感が凄い。

そんなこんなで、アクション映画としてもキャラクターに入れ込む映画としても中途半端な出来、ドラマ部分はやや片手落ちで乗り切れなかったという感想でした。
あと、たぶん個人的な連想でしかないんですけど、“Smells Like Teen Spirit”のカバーとオープニングの映像で00年代アクション映画感がすごかった。