horahuki

The Night Evelyn Came Out Of The Grave(英題)のhorahukiのレビュー・感想・評価

3.7
出会って3時間で結婚!

赤毛の妻エヴェリンを亡くしたショックで赤毛美女を連れ込んではSMプレイをして殺しまくってる主人公。今度はブロンド髪の美女にビビッと来たので、出会って3時間で結婚。これで妻を亡くした傷も癒えるかと思いきや、今度は家の中で死んだ妻の気配がし始める…って感じのミラーリア製ジャーロ。

主人公は貴族なので超絶金持ち。しかも周りには良い人だらけ。従兄弟のジョルジは何とかエヴェリンを忘れさせようといつも気にかけてくれ、女性を紹介してくれるし、担当医は「いつか人を殺しちゃうんじゃないか…」と超心配してて仕事の合間に訪問してくれる。でも主人公はクソなので、従兄弟に紹介してもらった女性は全員殺害、担当医の心配は既に的中してしまっているという悲しい世界…😭

「新しい人見つけた方が良いよとは言ったけど、出会って3時間で結婚はねぇだろ…」と反対する常識人な従兄弟を尻目に速攻で結婚しちゃうんだけど、昔から怯えていた亡き妻エヴェリンの幻覚がより実在感を持ち始める。

エヴェリンが赤毛なこともあり、同居してるおばさんが雇ったメイドは全員ブロンド。それなのに、いるはずのない赤毛のメイドを新妻が目撃したり、実は主人公の殺人を毎度目撃しては「昨日の晩誰かと一緒だったよね〜?」とせびっては小遣いゲットしてたエヴェリンの兄が殺されたりと、祝福ムードから一転、城の中が嫌〜な雰囲気で満たされていく…って流れ。そりゃ人を殺しまくってた奴が綺麗な奥様と結婚してハッピーエンドとか許されるわけないもんね🤣

ミラーリア監督の次作『The Lady in Red Kills Seven Times』と同じく「死んだはずのエヴェリンが蘇ってきたのでは?」という妄想に取り憑かれた主人公を描いているのが面白く、両作とも善人とは言い切れない人物が主人公であり、ゴシックホラーとジャーロの融合という点でも同様。本作の場合にはバーヴァ『血ぬられた墓標』『血みどろの入江』『白い肌に狂う鞭』を参考にしたであろうシーンが散見され、監督の次作もそうだけど『悪魔のような女』『The Long Hair of Death』的な不在の実在が生み出すサスペンスも面白い。

殺人シークエンスに限らず、主観と客観をカットを割らずにシームレスに行き来するカメラ、長回しとカットバックを交互に入れ込むことで話し相手との心的距離感と歩み寄り・決別を意識させる演出、拷問部屋に入った時のエゲツないほどの斜角等々映像的にも面白い。廃墟のような城の中で唯一綺麗な主人公の部屋と更に奥にある拷問部屋と地下墓地によって、主人公の心的な階層や一面をそれぞれが体現した設定部分、前に向こうと決意する際に城を全て綺麗にさせるよう指示しつつも地下墓地についてはそのままにする等、象徴性も面白かった。

どーでも良いけど、麻痺して車椅子生活だったおばさんが普通に立ち上がってスタスタ歩いて覗き見してたのは何だったんだろ😂おばさん側の秘めた闇を感じさせるシーンでもあるんだけど、それ以降出てこないし笑
horahuki

horahuki