140字プロレス鶴見辰吾ジラ

ANIMAの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

ANIMA(2019年製作の映画)
4.0
【つがい】

トム・ヨークとポール・トーマス・アンダーソン。15分弱の短編は光と影、そして画面のキレ味と彩るコンテンポラリーダンスで飾られた世界の物語。労働に疲弊した電車に揺れる人々がビートに合わせて操り人形のように踊り出す。主人公もそうなのだが、その集団性から個として独立した動きを始める。革命ではなく振り落とされるように。これは「ジョーカー」のアーサー・フレックなのか?音楽のビートに支配されながらもそれに合わせられない苦悩や恐怖の一部なのか?体を横たえた後に出逢った女性とまたぎこちなく躍りながら霧の街を歩く。そのぎこちなさが救済か?運命か?つがいの鳥の如く路面電車に乗り込み抱き合う2人とまた眠りに落ちていく解放感は、集団を強制された世界からの自由への昇華なのか?しかしながら運命が重なるような美しい瞬間を期待してしまう鈍い色をしたスタイリッシュ気取りの現代から見た憂いや憧れのようなモノがこぼれたのが見えた。

今年はこれが最後の投稿です。フォロワーの皆様、そしてフィルマークス様に日々感謝し、そして来年度も映画が豊作であることを願います。

それでは良いお年を。