このレビューはネタバレを含みます
東京で役者を目指し活動していた主人公は、高齢者施設で演劇のワークショップをするため故郷の和歌山を訪れ、その施設で働くヒロインと出会う。主人公は刑期を終えて出所した彼女の父親とのトラブルに巻き込まれたことから、彼女と逃避行することになって......という話。主演は村上虹郎と芋生悠。
監督の外山文治は過去作で高齢者の生をテーマに扱うことが多かったが、今回は若者視点のサスペンス要素が加わっていた。役者として芽が出ず大人として真っ当に生きられない主人公と父親とのトラウマを抱えたヒロインの成長と心の交流をじっくり描いていて、主演二人の等身大な演技が秀逸で楽しめた。ただ、全体的に起伏のないストーリーで「わさび」の野球要素のような印象的なエピソードも無く中盤間延びしていた気がした。また、ヒロインが指で頰を触る笑顔のジェスチャーの秘密が最後に明らかになるのだが、ジェスチャー自体を忘れかけたタイミングで開示されるのであまり心に残らなかった。
芋生悠はやたらとロードムービーものに出演してる気がする。そして演じてる役柄ほとんど不幸な人物な気がする。
