140字プロレス鶴見辰吾ジラ

2人のローマ教皇の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

2人のローマ教皇(2019年製作の映画)
4.0
【サッカー】
~鶴見辰吾ジラのグッドシネマ・オブ・ザ・イヤー発表~

「リーダーになりたい者はリーダーにしてはいけない。」「リーダーになりたくない者がリーダーになるべき。」ニュースでヨハネ・パウロ教皇の死去からコンクラーベによりベネディクト教皇へ、そして辞任してまた新たな教皇が…と見てはいたものの遠い世界の話だと思っていた世界の話を人間臭く、そして人間臭く描いた作品。2人の老人が織りなす会話劇の一進一退がコメディテイストで交差して、互いの人間味が体温としてその温もりをもって終盤のエモーションをやさしく流し込み、その中で互いが罪深く思ったことを懺悔し告白する。映画としての実話ベースの話だが、デティールの細かさを踏み込んだ内容に挑戦し、ニュース映像の挿入や細かいカット割りでスタイリッシュに魅せる手法は見事。ピザを食べたり、ビートルズの話をしたり…と、何より神の声以上に歩数計のアラームに急かされていたりと面白みが重箱の隅をつついてくる。

保守→改革、Not妥協→Yes変化と彼らの中の問答を繰り返しながら立場が逆転する様と、アルゼンチンの過去とそこに居た者の罪と、現教会が犯した罪のことなど我々が日常で関心を抱くことの少ないテーマであるが、そこに深い悲しみを抱かせようとさせるエモーションの運びの演出もあり印象的。ベネディクト教皇のデティールを再現したアンソニー・ホプキンスとフランシスコ教皇となる男の妥協とはまた違う懐の深さと弱さが身に染みる。教会側でありながら科学側であるところやクライマックスで描かれるWi-Fiの件とか…

老人2人だが、温もりがあり、エンドロール手前の愛しき空間は何にも代えられない煌めきがあった。

≪グッドシネマ軍2019≫
グッドシネマとは?
年間ベスト10には入らなかったが
琴線に触れる部分があった作品を上げるコーナー。
「○○で打線組んだ!」方式にて発表。

1(遊)「シンプル・フェイバー」
→ブレイク・ライブリーvsアナ・ケンドリック。2人の女優と古典的ミステリーにポール・フェイグがコメディで味付けした傑作!
2(左)「がっこうぐらし!」
→実写化した意義は長月翠のパフォーマンスにあり!困難な状況を生きろ!On Your Mark!!
3(右)「オーヴァーロード」
→2019年ベストヒロイン!俺の顎も撃ち抜いてくれ!阿鼻叫喚をオカルトロマンスに溢れた傑作!
4(DH)「この素晴らしき世界に祝福を! 紅伝説」
→精神性が「ジョーカー」に近いのは本作か!?世界がクソ溜めならば喜劇に変えろ!
5(中)「シティ・ハンター THE MOVIE 史上最香のミッション」
→並走するカオスと突き抜けたコメディ。本音が吐露するのは“荒野の魂”なのか!?
6(三)「ターミネーター ニュー・フェイト」
→これは“新約旧約聖書”である。真の“ターミネーターキラー”の名を心に刻め!
7(一)「ファイナル・スコア」
→このホームランだけ狙っている姿勢が今、足りてないんだ!
8(捕)「フォーリナー/復讐者」
→死んだ目のジャッキーが手際よく作るお手製爆弾のシーンを見逃すな!
9(二)「感染家族」
→EDMで上がり、そしてゾンビと恋して、救世主は田舎から現れる!
(投)先発「バウンサー」
  →ヴァン・ダムから生きることを教えてもらえ!
  中継「ザ・クエイク」
  →この監督って、女性嫌い?
  抑え「シティ・ハンター 新宿プライベート・アイズ」
  →令和にして昭和!似非トニー・スタークをコプトパイソンで撃ち抜く快感!