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コリーニ事件のYYamadaのレビュー・感想・評価

コリーニ事件(2019年製作の映画)
3.7
【法廷映画のススメ】
『コリーニ事件』(2019年)
〈フィクション(2001年 / ベルリン) 〉

◆法廷の争点
ドイツ人大物実業家殺害は「謀殺」か
「故殺」か?
・被告人コリーニの殺害動機は?
・1968年に起草された通称「ドレーアー法」とは?

〈見処〉
①フィクションが現実を変える。
 ドイツ「不都合な真実」を描く問題作
・『コリーニ事件』(Der Fall Collini)は、2019年のドイツのドラマ映画。
・本作の舞台は2001年のベルリン。新米弁護士カスパー・ライネンは、ドイツで30年以上にわたり模範的市民として働いてきた67歳のイタリア人コリーニが、ベルリンのホテルで経済界の大物実業家を殺害した事件の国選弁護人を担当することになったが、その被害者はライネンの少年時代の恩人だった。
・調査を続ける中で、やがて彼は自分自身の過去、ドイツ史上最大の司法スキャンダル、そして戦後ドイツが隠してきた「不都合な真実」と向き合うことになる…(eiga.comより抜粋)。
・本作は、2011年にドイツの著名な刑事事件弁護士、フェルディナント・フォン・シーラッハの処女小説を原作としている。
・本作原作のベストセラー化によって、1960年代末に採択した法案の綻び明るみになったドイツでは、2012年1月に「過去再検討委員会」を設置することを決定。「現実の政治を動かしたフィクション作品」である。

②結び…本作の見処は?
ドラマティックよりも、リアリティーが求められる内容。小説を読んでいないが、小説向きの作品だと思う。
○: サスペンス仕立ての脚本により、終盤まで犯行の動機が明らかにならず、緊張感をもって鑑賞することが出来る。
○: ラストシーンの法廷の弁論では、法と正義を問われ、傍聴人同様に固唾を呑む展開となっている。
▲: 戦争犯罪を問う重厚な作品。本作では「ドイツの闇」よりも「人類の負の歴史」を描いているように見える。作品内容に責はないが、同じ敗戦国である日本にて、「築地の某新聞社風の自虐史観」や「彼の国によるゴールポスト史実」のようなレビューがされているんだろうな…と思いながらの鑑賞となってしまった。
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