作家の落としものの作品情報・感想・評価

作家の落としもの2018年製作の映画)

製作国:

上映時間:14分

3.3

あらすじ

「作家の落としもの」に投稿された感想・評価

まな

まなの感想・評価

3.6
ステキな人との出会い。彼女と出会って、毎日に花が咲いているような感じだった。
死にたいなんて気軽に言うものではないね。
ぶん

ぶんの感想・評価

3.4
最後の花びらがどう判断したのかは知らないけれど、彼女が哀願した小説への完成で、少なくとも彼は生き返ったのだろうな…
キテミルKAWAGOEショートフィルムフェスティバルにて鑑賞。

川越という街を舞台にした公募作品群の中から見事最終選考にまで進出した本作。惜しくも大賞は逃したものの、その後スカラ座を初めとする各映画祭にて上映が続けられている。

川越という街には原稿用紙と鉛筆が似合う。
今の時代、出版社と繋がる程の作家の商売道具とえいば専らパソコンになるだろう。その方が書く側も読む側も手軽であるに違いないから。
しかし、文字には書き手の人間性が出る。その作家の生き様や、世界の捉え方が、手書きの文字には現れると思っている。
手間暇かけたモノには個性が宿り、自分の個性は他者の個性と繋がり、やがて人情を産む。
そうやって紡がれて来た川越という街を吹き抜けた風が、絶壁に立つ作家へと運んで来たモノは希望だったのか、絶望だったのか。

作家が窓から投げ捨てた原稿用紙のペラ一から始まる物語の皮切りが良い。
全てを投げ捨てたくなる作家の気持ちも痛いほどよく分かるし、何より、偶然にでも通りかかった人間がそのペラを拾って目を通す様が温かい。しかもそれを届けてくれるだなんて、どれだけ人情味溢れる街なんだろうか、川越は。
畳張りの四畳半と思しき部屋で独り文机に向かう作家の様子を見るに、そこまで裕福な生活はしていないだろうと察した。自分の文字で誰かを惹きつける。槙田が求めていた瞬間はこれだったに違いない。

途中オフショットと思われる映像が挟み込まれる構成が巧いなと感じた。
あそこで登場人物二人への感情移入の度合いがぐっと上がる。
作っていたのは切子のグラスだろうか。
やはり手作業の街、川越。
そんな要素にも温かみを感じた次第で。

槙田、書け、書き続けろ。今のあなたに出来ることはそれしかない。
どれだけ暴れまわっても、書斎を破壊しても、あんたの眼前には真っ新な原稿用紙が置いてあるのだ。へし折った鉛筆にはまだ持ち手が余っているのだ。
今の自分には何もないと感じていても、筆を取れ。何かを書け。
一つの喪失が新たな発見と発信を運んで来るということは、ここ数日で感じた筈だろう。