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『われ幻の魚を見たり』に投稿された感想・評価

◎魚の棲まぬ十和田湖をヒメマスの名所にした男

1950年 大映京都 モノクロ 106分 スタンダード
*ホワイトノイズのため聴き取りにくい台詞あり

青森県と秋田県にまたがる十和田湖は、もともと火山の火口にできたカルデラ湖であるため魚類は全く生息しなかった。

その死湖とまで言われた十和田湖で、盛岡藩の士族出身で湖南の畔にある小坂鉱山を管理する工部省吏員として当地に赴任した和井内貞行(1858-1922 大河内傳次郎)が私財を投げ打って、多くの困難を乗り越えながらヒメマスの移植に成功するまでの話。

【以下ネタバレ注意⚠️】









そもそも本来そこに生息しない生物を人為的に移植することは、現在的な視点からは環境破壊とまで行かずとも、生物多様性(少なくとも魚のエサになる甲殻類はいた)の否定になるのかも知れないような気もするが、環境省あたりの見解はどうなのだろうか?

主人公の和井内貞行氏は実際にほぼ独力で十和田湖にヒメマスを移植することに成功した訳だが、史実に忠実なのは、その大枠ぐらいで細部はほとんど創作に近いらしい。

*1 十和田湖と和井内貞行
towadako.or.jp/re

*2 ざぶたねこ の 休憩室
十和田のヒメマス 和井内貞行
plaza.rakuten.co.jp/zabutaneko/7003/

*3
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/和井内貞行

*4
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/十和田湖

ところが、その「創作」がもともとの興味深い史実を無理くり感動的な主人公の苦労譚に差し替えようとデッチ上げたシロモノ(貞行の息子貞時は戦死などせず本当は父の事業を継いで1966年まで存命、放流したヒメマスは4年後ではなく史実は通例の2年後に回帰したなど)ばかりで、せっかくの好題材を無茶苦茶にしている。

せめて「プロジェクトX」ばりに、和井内氏の企ての何がどう困難だったかを絵解きしてくれれば良いものを、彼の日記類は、章立てのイメージ画像として使われるだけで、詳しい科学的な説明などは一切ない。

その代わりに地元民は、十和田湖に魚が棲まないのは十和田湖畔に祀られている青龍権現が魚を嫌っているからだという迷信に取り憑かれているためだとして、彼らによる妨害や、逆に放流した稚魚が無事定着するとダイナマイトを使った乱暴なやり方で乱獲するとか、何だか矛盾した地元の反応を事々しく描くが、そのあたりの様々な事情についても、もっと事実に即して説明してくれた方が興味深い内容になったのではないか。

どうも十和田神社の変遷については、明治維新期後の神仏分離によるダメージが大きかったらしいし、本作も含む迷信に基づく和井内氏への迫害についてのイメージが十和田信仰の衰退をもたらしたとの考察もある。 

*5
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/十和田神社

逆に結果的に地元の偉人となった和井内氏夫妻を神に祀ることも行われたようだが今やその維持も難しいという(*6 )。史実の方が色々と面白そうだ。

*6 松沢顕治の家まち探しメモ 14/10/17 17:40
和井内貞行伝説をこえて・・・青森県十和田湖
blog.goo.ne.jp/bu1ryo2/e/c54fde7150c0239ed466c80f49b79f4f

本作に話題を戻そう。

貞行は、地元民からは白眼視され、親戚からも絶縁されるなか、妻のカツ子(小夜福子)だけは、
「何事も縫い物が針と糸で先へと進むように、お前さまが針で私が糸、何でお前さまがなさることに私が従わないことがありましょう」
と針と糸のたとえで夫を励ます。
いわゆる夫唱婦随のたとえなのだろうが、分かったようでよく分からない理屈だ。

別段、貞行を独善的な暴君に描いているわけではないが、どうにも脚本も手がけた伊藤大輔の古めかしい家父長主義が見え隠れしてモヤモヤしてしまう。

そう、本作はせっかくの興味深い、科学的なテーマなのに、伊藤大輔のセンスの無さが災いして、何とも古色蒼然たる作劇に辟易とせざるを得ないのだ。

そもそも伊藤は、戦前の1938年に女学校の教科書で和井内のことを知って、後継者である貞時に映画化について快諾を得ていたが、当地の事情に疎かったためシナリオ協力を依頼した作家が無断でそれを雑誌に発表してしまった。怒った伊藤は、そのシナリオをご破産にして、自分なりの和井内貞行一代記を「創作」したのだという(*7 )

*7 京都文化博物館フィルムシアタープログラム 2024 12 悩み躓く偉人達

だとしたら、なおのこと、本作に登場する人物像は、実在の関係者のそれを離れて、全ては伊藤大輔の価値観の産物だということになる。

せっかく現地ロケも敢行したのに、時代劇のオーソリティが、自らのアナクロニズムを露呈してしまった残念な作品だと言えよう。

《その他の参考》
*8 蝉の日和見
*8-1 和井内貞行がヒメマスの卵を入手した支笏湖
2012年09月18日20:12
cicadan.blog111.fc2.com/blog-entry-136.html?sp
*8-2 和井内貞行 アゲインー2/孵化放流事業の実際
2012年06月29日22:30
cicadan.blog111.fc2.com/blog-entry-130.html?sp
*8-3 和井内貞行 アゲイン-3/伝記映画「われ幻の魚を見たり」のこと
2012年11月08日07:13
cicadan.blog111.fc2.com/blog-entry-132.html?sp

*9 映画瓦版 われ幻の魚を見たり
1998/06/23 国立近代美術館フィルムセンター
www.eiga-kawaraban.com/98/98062302.html

*10 ふるいたてものずかん
映画・われ幻の魚を見たり
2011-04-22 18:03:51
ameblo.jp/tatemonoxxx/entry-10849792034.html

*11 俺の命はウルトラ・アイ
われ幻の魚を見たり
2015-07-01 05:00:00
ameblo.jp/ameblojp-blog777/entry-12044378160.html

*12 日本映画の青春期 時代劇が前衛だった
2022.10.22-11.4 シネ・ヌーヴォ
www.cinenouveau.com/sakuhin/jidaigeki/jidaigeki.html

《上映館公式ページ》
京都文化博物館
悩み躓く偉人達
2024.12.10(火) 〜 12.27(金)
会場: 3階 フィルムシアター
www.bunpaku.or.jp/exhi_film_post/20241210-1227/
 よくある伝記映画だけど、献身的な息子や妻がああなる、といった風に決してハッピーエンドに終わらせないのが却って和井内氏へのリスペクトを感じたなー

/長男、よく犬を殺さなかったな...

/字幕の出方がすごい印象的だった
サイレントで見てもギリギリ内容伝わるのでは
-
出兵した長男の訃報が届くと同時に待ちに待った魚が帰ってきてからの一連のくだりが凄まじい。一瞬息子の死の悲しみを忘れ、妻の元に走り、共に悲嘆にくれ、妻を背負い再び湖に走る。ごちゃごちゃになった感情の発露とそのスピード感。
「系が切れる...」のセリフに涙。当人の口から発せられるのではなく、あくまで伝聞なのが良い。そして大河内傳次郎の叫びは湖に消えていくのだ。

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