YYamada

ファーザーのYYamadaのレビュー・感想・評価

ファーザー(2020年製作の映画)
4.0
【ヒューマンドラマのススメ】
 ~映画を通じて人生を学ぶ

◆作品名:
ファーザー (2021)
◆主人公たちのポジション
認知症の老人と介護する娘
◆該当する人間感情 (24種の感情より)
 不安、病的状態

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・ロンドンで独り暮らしを送る81歳のアンソニーは認知症により記憶が薄れ始めていたが、娘のアンが手配した介護人を拒否してしまう。そんな折、アンソニーはアンから、新しい恋人とパリで暮らすと告げられる。しかしアンソニーの自宅には、アンと結婚して10年以上になるという見知らぬ男が現れ、ここは自分とアンの家だと主張。
・そしてアンソニーにはもう1人の娘ルーシーがいたはずだが、その姿はない。現実と幻想の境界が曖昧になっていく中、アンソニーはある真実にたどり着く…。

〈見処〉
①老いによる思い出の喪失——
 A.ホプキンス、史上最高の演技。
・『ファーザー』は2020年に製作されたイギリス・フランス合作のドラマ映画2012年に発表され、日本を含む世界30カ国以上で上演された舞台「Le Pere 父」を基に、その原作者のフローリアン・ゼレール自らがメガホンをとった、彼の映画監督デビュー作でもある。
・本作は批評家から高く絶賛され、第93回アカデミー賞では作品賞を含む6部門のノミネートを受け、主演男優賞と脚色賞を受賞。
・認知症の父親役を演じた名優アンソニー・ホプキンスは『羊たちの沈黙』(1991)以来、2度目のアカデミー主演男優賞を受賞。『人生はビギナーズ』で82歳で助演男優賞を受賞したクリストファー・プラマーを超え、83歳の最高齢オスカー俳優の記録を更新した。

②結び…本作の見処は?
◎: まるでワンシチュエーション・ホラー?認知症患者の視点で描かれる本作は、『メメント』(2000)のように、現実と幻想の境界が曖昧に表現されている。だからこそ、認知症に対する理解が得られ、認知症患者に感情移入できる作品となっている。
◎:「史上最高の演技」と評価された本作主演のアンソニー・ホプキンス。健常者のように振る舞えていた冒頭から次第に錯乱が進み、ラストシーンを迎える主人公の姿は、星の数ほど存在する名優にあって、同等の演技を出来る俳優は存在しないのでは?と思わせるほどのアンソニー・ホプキンス、圧巻の演技。
▲: アンソニー・ホプキンス不在の娘視点のシーンは全て現実?一部理解が追い付かず。

③本作から得られる「人生の学び」
人間は誰もが老い、朽ち果てる運命に逆らえない。自分もいずれ訪れるその時のことを思って、年配者との残り少ない時間を過ごしたい。
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