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『日本殉情伝 おかしなふたり ものくるおしきひとびとの群』に投稿された感想・評価

映画を「商業映画」だとか「芸術映画」みたいな括りにして観る意識があまりない。
ましてや作品の物語や映像表現やああだこうだというのもあまり関心がないことである。

大林宣彦作品には珍しく、その「映画」に対しての自虐と自省とか、そのようなある種自虐的な葛藤が作品から滲み出ている珍しい作風。
というよりは本作は「いつもの」大林宣彦作品であり、より「自己言及的」な心象が直接吐露されている。

ナレーションは大林監督自身が務め、主人公の山倉(竹内力)として語る。
山倉は故郷に閉じ込められたような母親(南果歩=2役)への思慕から、理想化された恋人である夕子(南果歩)を探し求めて放浪する。
それは拗らせた愛情ゆえに、反発に近い感情からの行動であるようにも見える。
このことを「列車」という映画の古典的引用と躍動の象徴として映し出す点が「シネフィル的」姿勢として読める。

しかし、山倉は「主人公」として存在しながらも「観察者」として役回る。
主にストーリーを牽引するのは室田(三浦友和)である。また山倉の追い求める理想化された恋人は、室田の妻として登場する。
夕子は室田の親友であり幼馴染の成田(永島敏行)とも相思相愛だった。
その成田も一度は故郷を捨て出て行ったが舞い戻ってきている。

このように「ワケアリ」だらけの田舎の人間関係の閉塞感はより強調されている。
さらに金貸しをやっている成田や室田が取り立てる先にも、金=経済を通した人との繋がりに、資本主義化した地方都市の内実が描写され、疲弊し切った徒労感が画面を支配する。
ここに「故郷の呪縛」から逃れようとしている大林宣彦の心中も反映されている。

観察者としての山倉もまた、室田から金を借り金を稼ぐための「実験」を繰り返しては懲りることなく失敗を繰り返す。
「夢を見た」と明るく能天気に語るその無邪気さには、そこはかとなく「映画製作」のアナロジーがある。
理想論と無邪気さを前面に押し出して、大金を浪費し、結果を顧みず屈託なく笑う姿には、映画における資本と興行成績との関係が窺える。
その「結果を出せない」状況でも理想に耽溺している山倉の佇まいこそ逆説的で自己言及的だ。

映画のトーンは明るく、ギャグも多いのだが、登場人物たちの境遇は全体的に物憂げで空虚だ。
室田は愛されていることに常に不安を抱え、ヤクザ稼業に疲れ切っている。どこか北野武監督の「ソナチネ」のような疲労感である。

一方の成田もまた「ピアニスト」の夢を、小指を落としてしまったことで挫折する。それもまた山倉や成田の抱えるホモソーシャルな「友情」や「義侠心」によってもたらされた悲劇だ。
そして「任侠」の世界に取り込まれる姿は「マスキュリニティ」について的確に言及している。
そして、故郷の呪縛もまた、自身に内在する「マチズモ=男らしさ」の虚像であり、女性を理想化する点でも周到に描かれている。

本作がどこか厭世的で、虚無的なのは山倉の物語の住人として位置付けられた作中の「現実を生きる人」たちへの山倉の関わり方が原因である。
物語内とはいえ、作中の現実を生きる人々に対して、山倉=大林はファンタジーとして、脳内の映画=物語に変換して関わっていることはナレーションで語られる。
彼らを実在する人間として関わるのではなく、あくまで脳内の物語の存在として扱うのだ。
物語内の現実を、山倉は自身の人生を映画に喩え、夕子という理想化された恋人に巡り会うための「装置」=登場人物として設定する。現実を自らの空想で理想的に配置しようとする。
このことは「映画監督」としての病理でもあり、残酷さの告白として見ることができる。

しかも演出された友人と理想化された恋人(女性)それらの物語に間接的に関与しつつ、山倉は「旅の終わり」を勝手に見極めてまた旅に出てしまう。
そして、本作の映画の結末をある意味で放棄したことをナレーションで表明した上で「ハッピーエンド」に作り変えることを宣言する。

成田はドスを片手に過去の自分を殺そうとするし、室田と夕子はボートで街を出て行く。
しかし山倉はまた放浪することでスタート地点に戻ってしまったようだ。
ハッピーエンドと言いながら、それはあくまで脳内で「演出」されたエピソードとして帰着し、主人公は物語のスタート地点に戻る。
つまり何も起こらず、何にも帰着せずに終わってしまうところに、大林宣彦の中で滲み出てくる虚しさを強く感じる。
大林宣彦監督作品。大林成分MAXのぶっ飛び具合。ちょっと一回では全てを理解できなかったが、「大林映画を観てるなー」と感じる良い作品だった。この作品もお馴染みの尾道が舞台になっているが、あまり大林監督作品を鑑賞していない人にはなかなかハードルが高い作品だと思う笑 あと加藤嘉さんが出ていたのは驚きだった。好きな作品だった。
mingo
4.1
中森明菜降板により予算もない中、通常秒速24コマを1秒12コマで撮る大林やばすぎ本領発揮。竹内力どこで道をそれた?て思うくらい美形青年、、、三浦友和も永島敏行も若いし、この時代の大林宣彦映画からは青春の微炭酸ちからみずの味がするよ。昨日NHKでやってた大林ドキュメンタリー観てても思うのは大林宣彦映画愛すごすぎて片想いも空想もすべて映画にしちゃうパワーがもうほんとに凄え。トータルな人間群像としての感情を集約したある意味大林映画の真骨頂、本人的には「転校生」から始まった真の意味でのA MOVIEはこの映画の記憶と共にスクリーンの彼方に消滅したなどと述べているくらい集大成的一本。島耕二の「上海帰りのリル」も観て(完)といったところか、、

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