このレビューはネタバレを含みます
スターリンの国葬のドキュメンタリー。周恩来の姿が印象に残りました。
かなり単調でしたが無駄だと感じるカットはほぼなく、素材を編集するだけで一本作り上げる技術には感嘆。映し出されるのは葬儀の様子とたまに民衆だけ。
スターリンの死に際して涙する人々には少なからず衝撃を受けました。同時に、体制側が撮影したものであることを含めても、当時の国民がスターリンに対して一体どんな認識を持っていたのか、次第に混乱させられるよう。
余りに単調な映像に続いての弔砲の壮大さなんかに当てられて、何となくスターリンを一緒に悼むような気持ちにまでなってしまいました。ベリヤの登場に至ってはさすがに鼻白む思いでしたが。
ラストに唐突に文字で表されるスターリンの所業、犠牲者数。ここまで観てきたものが一気に枠の中に押し込められたようで、しばし呆然としてしまいました。
編集のみで当時の人々の雰囲気の中に運ばれたような感覚に陥らせながら、シンプル過ぎるラストで現実に思い切り引き戻す、凄いものを見せられた気がした作品でした。