Jaya

アウステルリッツのJayaのネタバレレビュー・内容・結末

アウステルリッツ(2016年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ザクセンハウゼン収容所の観光客をひたすらに撮した作品。人々を撮ってはいるのですが、常に人々が背景に回っているような、そんな撮り方に思えました。

収容所を笑顔で観光する人々。こう切り出されるとやはり悪趣味な人々として映ってしまいます。原爆ドームも似たようなものでしょう。

そもそも歴史的負の遺産を訪れるには神妙な心持ちに必ずならなければならないのか、思いを馳せるとはどういったことなのか。訪れる人すらいない、本当の忘却よりあるべき姿ではないのか。翻って自分ならあの場で写真をバシバシ撮るだろうか?色々考えてしまいます。

処刑の柱に括りつけられたフリの記念写真は確かに悪趣味には違いなく、監督のしてやったりの声も聞こえてきそうで、気分の良いものではなく。が、自分もやはりトレイラーのそのカットに興味を引かれ観ているという割り切れない構造。

何かを観客に投げかけるという意味で、これ以上ないような方法で成功していると感じ、同時に永久に答えの出せないようにも思える作品でした。
Jaya

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