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タミー・フェイの瞳のbackpackerのレビュー・感想・評価

タミー・フェイの瞳(2021年製作の映画)
3.0
第34回 東京国際映画祭 鑑賞6作目

アメリカとキリスト教。

「プロテスタント福音派の影響力は、アメリカ合衆国大統領選挙の行方を左右するほど」という話は有名ですが、近年の福音派に代表される宗教右派は、主に共和党の地盤となっていることが多い状況です。
レーガン政権はまさにこの代表的な例で(息子ブッシュはより顕著に福音派の影響を受けた政権でしたが)、そんなレーガン政権誕生に貢献したのは、作中にも登場したジェリー・ファルウェル牧師やパット・ロバートソンといった、テレビを使い大衆に直接呼びかける、所謂テレビ伝道師(テレバンジリスト)と呼ばれる人たちです。

さて、本作で描かれるのは、そんなテレビ伝道師の中でも一際有名な、1976年から放送されたテレビ番組『The PTL Club』で司会を勤めた、ジム・ベイカーとタミー・フェイ・ベイカー夫妻。
特に焦点を当てるのは、妻タミーの人生です。

彼らがいかにして出会い、いかにしてテレビ伝道師となり、いかに稼ぎいかに破滅しいかに生きたのか?という実に波瀾万丈の人生を、タミーの神への純真で敬虔な想いや、いささかピュアに過ぎることによる滑稽さ、裏側の苦悩を順を追って見ていきます。


幼少期のタミーが教会で急にアッパラパーなキ○ガイムーブをしだしてびっくりした方もいるかもしれませんが、あれは別におかしな事ではありません。
福音派の子ども向けキャンプ等で今も普通に行われている、トランス状態になって神の声を聞く、というものです。
詳しくは、町山智浩さんが昔紹介&公開していた『ジーザス・キャンプ~アメリカを動かすキリスト教原理主義~』をご覧ください。

とにもかくにも、本作鑑賞中は、アメリカという国におけるキリスト教の持つパワーにひたすら圧倒され、変貌していくジェシカ・チャスティンへの驚きや、アンドリュー・ガーフィールド本当に色々出るなぁ……なんて感想は吹き飛ばされそうになります。

福音派の力、ひいてはアメリカとキリスト教の関係性を多少なり頭に入れておいた方が楽しめると思いますが、予備知識なしでも十分面白い作品でしたので、是非ご鑑賞ください!
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