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妖婆 死棺の呪いのhorahukiのレビュー・感想・評価

妖婆 死棺の呪い(1967年製作の映画)
3.8
自分がボコボコにして半殺しにした魔女の祈祷を、三晩しなければならなくなった神学生の主人公が体験する怪奇現象を描いたオカルトホラー。

ゴーゴリ『妖女』を原作とした作品で、同じ原作をもつ、マリオバーヴァ『血ぬられた墓標』とは内容が全く違ってて面白い。原作は未読ですが、どうやら本作はかなり忠実なようですね。

あらすじ…
神学生の主人公。休暇で故郷に帰る途中、老婆に宿を借りる。その老婆は魔女だった。主人公は魔女に好かれてしまい、連れ去られる。何とか魔女を殴り殺すと、そこに倒れていたのは若くて綺麗な女だった。学校に戻ると先生から、「知らない男に殴られて死にかけてる若い女性から祈祷の依頼が来ているから行ってこい」と言われ…。

旧ソ連特撮映画の父と呼ばれているアレクサンドルプトゥシコ監修なだけあって、特撮シーンが見応えあり。序盤、魔女が主人公もろとも空を飛ぶシーンが何ともファンタジックで幻想的な映像となっていて大好き。そして後半、教会の中での魔女たちとの攻防戦が恐怖を感じるというよりとてもコミカルで面白い。魔女が棺桶で空中サーフィンしながら襲って来るシーンなんて最高に笑えます。

そして教会のセットの雰囲気が凄く良いんですよね。まるで廃墟寸前の古城のような廃れた内装で、真ん中に魔女の入った棺が鎮座しているという、いかにも何か起きそうな、ホラー好きなら絶対ワクワクするシチュエーション。そこに主人公が毎晩閉じ込められ、明け方まで魔女と一対一の攻防を繰り広げる。周囲を見回すカメラとか、横切る黒猫とか、高め方も凄く好き。魔女もビックリするくらい美女だし。

基本的には主人公が魔女の脅威から自分を守ろうとする物語なんだけど、主人公は人間的にあんまりまともな人とも思えないし、ずっと怖がってるだけで神学生として悪に立ち向かおうという気概も見られない。でも、魔女からすると半殺しにされたことに対する復讐譚だし、1人の女性として好きな男を必死に口説き落とそうとする物語にも見えるから、自然と魔女の方を応援しちゃうんですよね。私だけかもしれませんが…(^_^;)

全体的に気の抜けたコメディのようなゆる〜い空気感で、特撮映像も見てて楽しいし、評判通りの良作でした!時間も70分ちょいで見やすいのも良かったです。
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