家庭にプッシュホンが普及しだした頃の、大学の研究室に置かれた黒電話のイノセント。痛みや苦しみのない世界、テレビゲームが人に与えた刺激が、注射器、剃刀、薔薇の棘、鋭利なアイテムをみつけ、脱皮しかけの日本社会へと放たれた。α波を超え、小刻みに揺れる”恐怖分子”。宮崎勤の部屋をワイドショーで見た時の衝撃に似た空気がここにあった。劇伴から何まで、狂気と芸術。

ファミコンの夢幻戦士ヴァリスのゲームスタート画面と同時に初まる猟奇自傷世界。無機的で淡々としたオタク趣味なゲームの音楽が、どんよりしたエログロ妄想世界とマッチしてる。
血生臭く幼稚な詩情に満ちている。

サイコーーー「女虐」より断然こっち。いろんな作品でいろんなものに巻きつけられてきている清美さんですが、透明チューブに自らぐるぐる巻きで狂って喘ぐ清美さん、これだけでも死ぬほどカッコいいのに血液がちゅるちゅる〜〜〜って流れてくる。その後のセルフ根性焼き、自分の血反吐が眼球にドロッと流れていくの「盗撮リポート陰写！」セーラー服の清美さん。興奮でどっと汗かく。ジャンローラン「The Rape of The Vampire」の血液ストローも思い出した。そして、この作品にもゴムボートでてきたの忘れていました。

📝脚本・渡剛敏／助監督・橋口卓明