半月〜ハーフムーン〜の作品情報・感想・評価

「半月〜ハーフムーン〜」に投稿された感想・評価

filmoGAKU

filmoGAKUの感想・評価

5.0
【記録】ca. t.i.f.f 9 sep. 2006. in kurdish and persian. / 再見 dvd.
ロラン

ロランの感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

クルド人の老ミュージシャンが自身の最後のコンサートを開催するためにイランからイラクへと旅するロードムービー。ゴバディの中では最もキアロスタミ的と言えるけど、それはあくまでも映画の一部分に過ぎず、彼特有の魔術的な演出に裏打ちされた傑作。

ゴバディと言えば動物だけど、本作で登場するのは鶏で、映画はコックファイトの場面で幕を開ける。この冒頭の騒がしさはゴバディらしい。道中の風景も圧巻で、男が木に逆さ吊りにされる場面での、その男の視点としての夕景と雪原が反転したショットも美しかった。

イラン軍がバスを調べる中、一行が道中で合流した女性歌手を床下に隠す場面では、サスペンスもありつつ、同時にイランでは女は「隠されなければならない」存在なのかと悲しい気持ちにもなる。

だからこそ、村を訪れた一行を屋根の上から迎える不動の女たちの立ち姿に感動する。彼女たちが叩く楽器の音、色鮮やかな衣装が映画を彩る。

そして、主人公が体調を崩し、イラクとの国境を前に一行が道を引き返そうとする中、バスの上に何かが落ちる音が不意に聞こえ、一人の女がまるで天から降りて来たかのように現れるラストには呆気に取られた。死に行く主人公が見た幻かのように、雪山を駆けて行く一頭の馬が素晴らしい。