平野レミゼラブル

ハウス・オブ・グッチの平野レミゼラブルのレビュー・感想・評価

ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)
4.6
【仁義なき御家騒動!家名(ブランド)に込められた魔性の魅力】
昨年の『最後の決闘裁判』が記憶に新しい中、リドリー・スコット御大がまたしても、史実に基づいた傑作人間劇を撮ってくれました。中世ヨーロッパの騎士たちの争いから、70年代から90年代のグッチ一族の栄枯盛衰に題材は大きく変わりながらも、159分にも及ぶ重厚な人間ドラマは健在。僕はファッションブランドとしてのグッチには微塵も興味がありませんが、グッチ家のドロドロの御家騒動については興味津々ですからね!!イエ~イ!他人ん家の揉め事おもしれ~~~(最悪)


キャストは超豪華!!まず、グッチ家に嫁入りして乗っ取りを主導していくパトリツィアには『アリー/スター誕生』以来の映画主演となる歌姫レディー・ガガ様!!その夫マウリツィオには『最後の決闘裁判』に引き続いてのアダム・ドライバー、マウリツィオの父ロドルフォには『ジャスティス・リーグ』ジェレミー・アイアンズ。さらに叔父アルドには『アイリッシュマン』アル・パチーノ、その息子パオロに『モービウス』の出番が控えるジャレッド・レトと円熟味溢れるアカデミー俳優も勢揃いです。


ファッションブランドの頂点にして華麗なる一族グッチの栄華と崩壊。当事者たるパトリツィアや、現グッチのクリエイティブ・ディレクターのトム・フォードからは否定的な意見も出ておりますが、そこは実際にグッチの内情を詳しく知る人達でもあるため当然でしょう。ただ、ある程度の映画的誇張は承知の上で観ても、グッチ家の内情はドロドロしていたし、身内同士で裏切り足を引っ張り合う仁義のなさがもう凄い。そもそも、当人たちが目を瞑ってしまうくらいに容赦ない作劇をしているという時点で、それはもう物語としてとてつもなく刺激的で面白いって証左でもあるのです。元より僕ァ、実録称しながら滅茶苦茶事実誇張している「東映やくざ映画」の系譜大好きだしな!!ある意味、本作もその系譜ですよ!!

やっていることはエゲつなくとも、舞台となるのが華やかなりしファッション業界、主演が大スターのガガ様ともあって絵面は常に豪華絢爛。30年にも及ぶ月日の中で、時代を彩る衣装の数々が目を奪い、当時の流行歌を効果的に流して耳をも幸せにします。
極上の題材・豪華キャスト・気合と金のかかった調度品・見目麗しきファッションにセンスの良い音楽…これらの材料を巨匠が159分とじっくり時間をかけて料理したとあれば、まあお味は当然美味しいに決まってますよね。あまりに豪勢すぎて舌が疲れそうにもなるもんですが、本作はそこに非常にシンプルなメッセージを添えることで胃もたれを抑えてるところもイイです。


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家名(ブランド)に込められた魔性の魅力『ハウス・オブ・グッチ』感想
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