1秒先の彼女の愛鳥家ハチのネタバレレビュー・内容・結末

原題『消失的情人節』、時間停止系のSF作品。全ての行動が人より早い女性主人公はその影響により(≒日々時間を前借りしてきたことで)丸一日を消失してしまい、他方、人よりゆったりと時間の進む男性主人公は、余剰の時間分だけ全ての時間が停止した中で行動可能となるというアイデアが斬新でした。特殊効果に殆どコストをかけず、着想の巧みさによってSF要素を実現していました。
　また本作は、途中から主人公が別の主人公にスイッチし、同一の時間軸を別の視点から再び辿ることで真相が明らかになる構成でもありました。散らばった伏線を丹念に回収する後半の展開と、二人の主人公のそれぞれの時間がハッピーエンドに向けて収斂していくさまが、この作品の最大の魅力といえましょう。総じて笑いあり涙ありの秀作でございました。