むぅ

SNS-少女たちの10日間-のむぅのレビュー・感想・評価

SNS-少女たちの10日間-(2020年製作の映画)
3.6
「大学生の子と飲みに行ってくる」

趣味で弓道をやっている父が、道場で知り合った大学生と飲みに行くと嬉しそうに言ったことがあった。
「え?男の子?」
「うん、進路について相談したいんだって」
「恋愛相談はされないんだね」
笑いながら返したが、そして父には大変に申し訳ないが、一瞬ヒヤッとした。女の子だったら嫌だ、と思ってしまったのだ。
娘の欲目だが、清潔感があり紳士的な父である(ただ、ちょっと性格は悪い)。テレビを見ていても女性の容姿に言及するのを聞いた事がないし、いつぞや入院した際もおとなしくきちんとしているので看護師さんから褒められると母が言っていた(あんたの外面はお父さんからの遺伝ね、とも)。

そんな父でも、相手がもうお酒を飲める年齢でも、相手が"学生" "自分よりも年下の女性"だったら複雑な感情になるのだと知って驚いた。

実年齢より幼く見える18歳以上の女優3名に"12歳"を演じてもらい、SNSで"友達"を募集したらどうなるか。

「キモ!」が湧き出るわ、溢れ出るわ、だった。
私の体から飛び出した嫌悪感が、部屋の中をちょこちょこ歩き回り、最終大人数で焚き火のまわりを「ウッホ!ウッホ!」と踊るように私のまわりを取り囲んでグルグルした。
「きぇー!」である。

目と口にだけ剥き出しにするモザイクのかけ方が、余計に彼らの欲望を強調させるようで怖かった。
しかもこの画像処理、集合体恐怖症を刺激してくるので、より気持ち悪い。

どうしてそんな事をするのか彼らに詰問したいが、その答えを聞けたら更に絶望しそうだ。
"リアリティーショー"とは言え、これが現実の一部。
知ることが出来て良かった。
ただ、映画館ではなく、いつでも止められる状況で観て良かったとも思った。大人の私でさえ、それほど怖かった。


「お父さん、きっと奢って来るわよねー」
なんだか否定的なニュアンスで母が言うので
「いや、奢って帰って来なかったらむしろドン引きするけど」
そう言えば、その飲み会の後日談を聞いていない。

そして、私を取り囲んだ嫌悪感くん達は、白雪姫の小人のように私の後ろをまだついてまわっている。
「解散!」と言っても消えてくれない。
むぅ

むぅ