Xavier

英雄の証明のXavierのレビュー・感想・評価

英雄の証明(2021年製作の映画)
3.8
美談の英雄に祭り上げられた男。
彼は真の英雄か、それとも詐欺師か…
イランの古都シラーズ。
ラヒムは借金の罪で投獄され服役している。そんなある時、婚約者が偶然17枚の金貨を拾う。借金を返済すればその日にでも出所出きるラヒムにとって、それはまさに神からの贈り物のように思えた。
しかし、罪悪感にさいなまれたラヒムは
金貨を落とし主に返す事を決意する。
そのささやかな善行がメディアに報じられると大きな反響を呼び、ラヒムは「正直者の囚人」という美談とともに祭り上げられていく…
ザックリ言うとストーリーはこんな感じ
カンヌ国際映画祭グランプリ作品。
善意の行動した筈が、それを作り物と見なされ追い込まれていくお話。
"こんな事、有るわけないよな"って思える作品が多い中、これは誰にでも起こり得るリアルな話だった。

拾った金貨を、一時は売り飛ばして自分の借金の返済に当てようと考えたラヒムだったが、思い留まり落とし主に返す。ただそれだけの事が、問題の有る刑務所や受刑者家族を助ける慈善団体のイメージアップのための美談としてSNSに拡散される。

その事でラヒムはその人々から絶賛されるんだけど、何か観ていてモヤモヤした
だって、ラヒムが拾った訳ではないのに
如何にも、自分が拾ったかのように雄弁に語り、テレビのインタビューにもしたり顔で受ける、その態度がねぇ…

その後SNSでは"ラヒムが語っているだけで目に見える証拠がないし、金の受取り人も解らない。これはラヒムの作り話で喝采を得ている詐欺師ではないか?"
という意見が多くなり、その事でラヒムは苦境になっていく。

そこからは"言葉の力"で打ちのめされていくラヒムの姿が哀れで恐ろしかった。
人の嫉妬や妬みによって人生が狂わされていく…その姿がリアルで。

作品としてよく出来た作品なんだけど、
金貨を拾って貰った人物がラヒムの前に現れないとか、?って思える所もあり、そこはスッキリしなかったかな。
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