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余命10年のautumnのレビュー・感想・評価

余命10年(2022年製作の映画)
4.0
〝余命10年“

和くんと一緒にいると死ぬのが怖くなる。
予告が出てたときからすごくすごく見たくて念願で見れた映画。しっかり泣くつもりでいってしっかり泣いてきた笑
難病物、余命物って括っちゃいけないのかもしれないけど、そういう系の物語の作品はたくさん見てきたけど、その中でも主人公が学生真っ只中でもなく、結婚直前でもない、20代前半の女性。
就職、周りの恋愛、結婚の話、子供の話。きっと1番将来について考える時期。
たくさん遊んで、飲み会して、食べて飲んでする時期の食事、運動制限。
友達や同期と未来について悩んで、考えて、期待する時期にもう自分の余命が分かってて。恋愛するにも期間があること、胸の傷跡、好きになってはいけないという自制心、同年代の女性だからこそ見てて辛いシーンが多かった。
でもその中でも家族とのシーン。お母さん、お父さん、お姉ちゃんが自分の事を考えてくれていることは分かってて。でもそれでもお姉ちゃんに向けた『辛いのはどっちなんだろう』っていう言葉。
きっと茉莉も言ってはいけない言葉だと分かっていたんだと思う。それでも奥底に溜めていた言葉。あの時のお姉ちゃんの気持ちを思うと、お母さん、お父さんの気持ちを思うと、すごく切なかった。誰が悪いわけでもないのにきっとお母さんは自分のせいだと責めて、お父さんは何もできなくてみていることしかできないことに自分を責め続けるのだろうと思ってしまった。そして姉。自分の結婚式も絶対色々考えてのことなんだろうと思う。それでも姉の立場が1番辛いのかもしれないとも思った。

和人との出会いは茉莉にとっては辛いものだったんだと思う。
願っても願っても変えられない余命がある中で、自らその命を絶つ人を見たらやるせないだろうなと。『ずるい。』その言葉にすべてが詰まっているなと思った。
惹かれる度に、今日告白されるだろうな、この雰囲気は言ってくれるだろうなって自分で自覚してて、その上で断らなくてはいけない状況は本当に辛いだろうなと。
和人も和人で理由を知らないまま、やんわり断られ続けてたのも相当辛かっただろうなと。
そして恐らくだいたいは知っているであろう茉莉の親友もすごくすごく辛い立場だろうなと思う。もし自分の親友がと考えてしまった。

和人が茉莉によってすごく前向きに変わっていく姿はとても素敵だった。真実を告げられてからも自分のお店を開いて、名前をまつりと付けて。死のうとしていた人があんなにも誰かによって変わっていく姿はかっこよかった。
最期会えたのはフィクションなのかノンフィクションなのか。あの居酒屋に行ってみたいと思った。

隣の席の男の子(中学生か高校生くらい?)が鼻啜りながら、ワンワン泣いてて、いつもなら映画に周知できなくて嫌だなぁって思う所、なぜかすごくほっこりしました笑
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