Jaya

叫びとささやきのJayaのネタバレレビュー・内容・結末

叫びとささやき(1972年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

病膏肓に入るアングネスの屋敷へお世話に来ている姉妹カーリンとマリア、そして召使アンナのお話。何の病気だったのかは明言されず。

細かく動くカメラワークがとても美しかったです。クドくならない絶妙な動かし方のように感じました。遠景との対比とともに迫真性が増すようで素晴らしい。

不穏な赤で塗られた屋敷の中、妙なリアリティを感じる距離感の三姉妹。ハイソでもそれぞれの形で冷え切ったカーリン夫妻とマリア夫妻。娘を喪ったアンナ。

孤独の苦しみが漏れるような四者四様のささやきと叫び。各々の不安定な心情の演出が凄まじい。劇的な悲劇ではなく、日常の先にある悲劇。そして皮肉というには痛烈すぎるラストシーン。

観念的な表現も多く説明的な面が殆どなく追うのに苦労しましたが、赤の演出が痛々しく突き刺さってくるようで、人間の原理的な孤独を痛烈に映し出したような名作でした。こんな描き方があったとは、痺れました。
Jaya

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