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ザ・ドーターのbackpackerのレビュー・感想・評価

ザ・ドーター(2021年製作の映画)
4.0
第34回 東京国際映画祭 鑑賞8作目

ーーー【あらすじ】ーーー
歳若くして妊娠3ヶ月の少女イレーネが、少年犯罪者収容施設から脱走。
彼女を保護したのは、施設の指導員の中年男性ハビエル。
彼と妻のアデラには子どもがいない。そこで、生まれた子は自分達の養子にすることを条件に、イレーネを匿い出産まで住まわせることにしたのだ。
しかし、日に日にお腹の中で成長する我が子を実感するイレーネの心は揺れ、子どもを手放し難くなっていき……。
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人里から遠く離れた、開けた山間に佇む一軒家。
その開放的な閉鎖空間で、子どもを持てない熟年夫婦と、子どもを奪われる少女、それぞれの辛さの対比が苦しいサスペンス&人間ドラマです。
「"親になる権利はどこまで許されるのか?"という現代社会の道徳的ジレンマを問うた作品」という監督メッセージからもわかるように、見方によって受け取り方が変わる作品です。
それぞれの思いの深さをジックリと見ているが故に、色々と伝わってくるもので……。

緑豊かで長閑な山が、凍える寒さの雪山へと移ろうように、人の心は変わるもの。
息を呑むような緊迫のラストが心に残ります。
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