ザ・ドーターの作品情報・感想・評価

「ザ・ドーター」に投稿された感想・評価

pherim

pherimの感想・評価

3.2
妊娠少女が、山小屋に匿われる。赤子を養子にもらう約束で山小屋に匿った夫婦が、少女の心変わりを受け入れられずモンスター化したところで少女の彼氏登場いざファイト!

雪の絶景下繰り広げられる終盤の「それ食べるの」「え、そこ隠れるの」みたいな意外性の小渋滞が案外楽しい。
出産にまつわる女性の傷心と権利のせめぎ合いにひりひりする。
若すぎる妊娠の裏には親のネグレクトや民族的な事情もあるようだが、14歳の若い女性がここまで暴発するのは、権利意識の面から納得しつつ、大人には絶望だ。現代の行き詰まりからの脱却の困難さがあった。

風景描写や空撮、室内のしつらえなど視覚的にはかなり楽しめる。アンダルシア地方のゴツゴツした岩山の特徴的な風景と、都市から隔絶された一軒家というロケーションがゾクゾクした。
子どものいない中年夫婦が人里離れた山上の家に住み、広い庭には獰猛そうな番犬が飼われているなど、事件の匂いがたまらない。

それにしても、手を差し伸べるべき更生施設指導員が。子どもや女性やマイノリティをカバーしないのか…。
Hija はそっちだったのか!!

ストーリーは割とシンプルだが、イレネがハビエルの家で過ごす時の流れを表すかのように、情景をゆっくりと美しく映すショットが多く、観客の睡魔を誘っていた。

若くして子供を身ごもってしまった少女イレネは暮らしていた更生施設を脱走し、その施設の職員、ハビエルが家でかくまうことに。
2匹の犬と妻と暮らすハビエルのことを信頼していたイレネだったが、大人たちの思惑や周囲との関係性などが見え始め、徐々に不穏な展開へと進んでいく。

幼くして妊娠してしまった少女が出産が近づくにつれ "母" になっていく心境の変化と共に、少女を "母" として扱おうとはせず、大人の事情を押し付けていく様を見ていると、大概の人は主人公の彼女を擁護するのではないだろうか。

しかし、私にはハビエルは初めからイレネを利用しようとしていたのだろうか?という疑問が残った。
イレネ自身も幼いが故の浅はかな行動や言動が目立っていたこともあり、施設を脱走した理由やハビエルと何か契約をしていたのか?など、具体的なシーンは描かれなかったので少しもやった。

子供を産んだあと、母はなによりも子を守ろうとし強くなる様を最終的にあのような表現にしたのだろうけど、さすがにちょっと笑ってしまった。
MALPASO

MALPASOの感想・評価

3.7
映画『ザ・ドーター』
@東京国際映画祭
スペイン

傑作。

少年少女の構成施設で妊娠した少女。施設で働く教師とその妻は彼女の出産を助けるといい、少女を脱走させる。山の上の家で、表向き行方不明になった少女と夫婦の共同生活が始まるが・・・。

心理サスペンス。面白かった!
社会では善人が叶わない思いを実現するための闇。長回しのシーンが緊張感を生む。ありがちな脅かしの演出を使わないあたりも好き。
舞台となる崖の上に建つ家が映画の舞台としてぴったり。雪の使い方、ラストのこれでもかの犬の展開までいい!

娯楽要素いっぱい。スティーブン・キングにも負けないお話。

監督はスペインのマヌエル・マルティン・クエンカ。監督の過去作を観てみよう!
雪の台詞が小津安二郎監督へのオマージュだったとは。
主人公の少女のグレーのセーターがジャンヌ・ダルクの甲冑のように見える。立ち向かうシーンで意図的な演出なのか知りたい。
backpacker

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4.0
第34回 東京国際映画祭 鑑賞8作目

ーーー【あらすじ】ーーー
歳若くして妊娠3ヶ月の少女イレーネが、少年犯罪者収容施設から脱走。
彼女を保護したのは、施設の指導員の中年男性ハビエル。
彼と妻のアデラには子どもがいない。そこで、生まれた子は自分達の養子にすることを条件に、イレーネを匿い出産まで住まわせることにしたのだ。
しかし、日に日にお腹の中で成長する我が子を実感するイレーネの心は揺れ、子どもを手放し難くなっていき……。
ーーーーーーーーーーーー

人里から遠く離れた、開けた山間に佇む一軒家。
その開放的な閉鎖空間で、子どもを持てない熟年夫婦と、子どもを奪われる少女、それぞれの辛さの対比が苦しいサスペンス&人間ドラマです。
「"親になる権利はどこまで許されるのか?"という現代社会の道徳的ジレンマを問うた作品」という監督メッセージからもわかるように、見方によって受け取り方が変わる作品です。
それぞれの思いの深さをジックリと見ているが故に、色々と伝わってくるもので……。

緑豊かで長閑な山が、凍える寒さの雪山へと移ろうように、人の心は変わるもの。
息を呑むような緊迫のラストが心に残ります。
第34回東京国際映画祭日記②
全文はこちら↓
https://www.nobodymag.com/journal/archives/2021/1105_1800.php

監督のマヌエル・マルティン・クエンカの名は初耳だったが、作品を見れば力があることはすぐにわかった。話としてはこれまでもあったんじゃないかと思えるもので、山間部の人里離れた大きな家で秘匿された存在をめぐって巻き起こるスリラーといった具合だ。その存在というのは妊娠した少女なのだが、彼女は孤児院から抜け出しているため見つかってはならず、見つかればお腹の子もどうなるかわからない。一方匿う側の夫婦は長年子どもができなかったため自分たちの子を欲している。こうして赤ん坊の親としての権利を委譲することを条件に両者の利害が一致し三人の生活がはじまるのだ。このとき、他の者に知られてはならないということがサスペンスになるのだが、ただ隠すだけではなくて、いわば本物の卵を隠すために偽の卵を見せるという手法が構造上設定されているのが面白かった。つまり説話上夫婦が自分たちの子を妊娠していると思わせるための「偽物のお腹」が、サスペンスの強度の高まりと相まって「ホンモノ」の重みを増していくのである。(ジュディ・バドニッツの短編小説集『元気で大きいアメリカの赤ちゃん』にも似たような話があったっけ?)こういった(特に女性の)身体感覚を伴う作品がこの映画祭に関わらず増えているのは間違いない。(安東来)

少年犯罪者の更生施設で少女が妊娠し、施設の教師とその妻が少女を山奥の自宅に匿う。やがて生まれてくる子供を自分の子だと偽るため、教師夫婦は計画的に妻が妊娠しているように装う。各カットにとりたてて強い印象は感じず、たんたんと平凡な画面が積み重なっていく。教師の妻は不妊であるらしい。少女は夫婦にやがて監禁され、出産が近づけば近づくほど、少女と産まれてくる子供の「出会い」ではなく、「別れ」がやってくるのだとわかる。疲れもあって、少し漫然と見ていたのだけれど、終盤、少女がライフルを手にしたあたりから、どんどん引き込まれていった。邸宅とその庭で惨劇が演じられ、とある人物が死ぬ。少し時間が経ち、雪が降ってくる。カットが変わると、その死体にいつのまにか雪が積もっている。クロースアップで雪に覆われた死体の顔が駄目押しされる。平凡なカットの積み重ねの末、突然、審美的な画面が現れたことに陶然とし、同時にそれを「美しい」と感じそうになる自分を警戒していると、また時間が経ち、次の瞬間にはその「美しい死体」は犬に食いちぎられていた。(鈴木史)
第34回東京国際映画祭開催中!!

「ザ・ドーター」
更生施設で妊娠をしてしまった少女と子供に恵まれなかった施設の教師とその妻の物語。

産まれた子供を貰い受けるのを条件に少女を山奥の家に匿い、共同生活を始めるが
共同生活をしていく中で、母親としての自覚が出て子供を渡したくない少女とどうしても子供が欲しい夫婦。
そのすれ違いが予期せぬ方向へ、、、、

前作カニバルでもそうでしたが人の狂気を表すのが本当にうまく、またそれが自然であるのが本当にすごいです。

愛と憎しみという紙一重の感情が暴走をする衝撃の心理ドラマ、是非その目でご覧ください。

〈鑑賞者:こうじ〉

映画祭期間中も、学生応援団が見ることのできた作品をどんどんレビューしていきますので、是非ご覧ください!!

🎥第34回東京国際映画祭
 |開催期間:10/30(土)〜11/8(月)
 |場所:日比谷・有楽町・銀座地区  
 |チケット:当日でも席が空いてる作品は購入できますので是非!

また、学生応援団が運営している各種SNSでも映画祭に関する投稿を沢山していきますので、こちらも是非チェックしてみてください。
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🔴公式サイト: https://tiffgakusei2020.wixsite.com/advt
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Naoya

Naoyaの感想・評価

2.7
少年犯罪者の更生施設に住む少女が妊娠。施設の教師とその妻は、人目を避けて出産できるよう、少女と山小屋で共同生活を始める。サスペンス作。妊娠した少女に、温かく優しく献身的な夫婦として登場し、物語が進んでいくが、徐々に場面場面の状況を明らかにしていく内容は見応えがあり、展開の作り込みがある。夫婦の異様さが漏れ出てくる様はサスペンスフルであり、見せ方も良い。少女のキャラクターの変化、心境の変化は印象深い。
wildcats

wildcatsの感想・評価

3.7
TIFF8本目

評価低いですが…私は好きです。

閉鎖的なシチュエーションの中で繰り広げられる心理戦。変に説明的な描写もなく、ハラハラしながら楽しめました。
ツッコミどころは少なからずあれど、面白い作品でした。

イレーナ役の子が山本舞香っぽくて、顔が極小の美少女でした。

タイトルはDaughterよりMotherじゃないかなー?
Lenfilm

Lenfilmの感想・評価

1.4
今年の東京国際映画祭コンペの数少ない欧州作品って事で期待も… 普通。
映像も綺麗だしストーリー展開もスムース。撮影や演出、キャラや設定に無理なく結末もある意味予想通りで非常に見やすい作品。
ただね、人里離れた一軒家という設定があんま生かせてない。お姉ちゃんはふらふらガススタンドにお散歩されちゃうし、ちゃんと帰っきてるのは不味くね?
イレーナが子ども手放す動機やその過程、そして手放さない心情変化も省略。
かといって軟禁監禁生活もさっぱり描写。
映画祭上映終わったし配給つかないだろうからネタバレするけど(つうか普通に予想出来る)父親若者に至っては殺される為に出てきた感じ。

なんか一生懸命状況設定考えたけど脚本は疲れたからこんなもんでいいか、て感じで撮っちゃった作品? 知らんけど(笑
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