外は雨さんの映画レビュー・感想・評価 - 12ページ目

アトランティックス(2019年製作の映画)

2.4

マディ・ディオブ監督。家族に決められた金持ちとの結婚を控えても想いを寄せるスレイマンとの恋に悩むセネガルの少女アダ。当然物語はそういう方向に行くものだと思いきや、あれー、どっち行くのー?という不思議な>>続きを読む

風の向こうへ(2018年製作の映画)

3.7

オーソン・ウェルズの未完の遺作。映画史に必然な作品、それ以降は不遇でこの作品も資金繰りに苦心しながら長年に渡って撮り続けられた映画。まるで彼自身のようなヘミングウェイのようなジョン・ヒューストン。ピー>>続きを読む

家族を想うとき(2019年製作の映画)

3.6

フランチャイズで配送業をしている父親と訪問介護をする母、問題を起こしてしまう息子、聡明で気が利いて優しい娘。ああ、人は忙殺されると、心が、死んでしまう。どの世界でもこういう事は起こっている。だけどあま>>続きを読む

僕と世界の方程式(2014年製作の映画)

3.0

数学に才能を見せる自閉症の少年が数学オリンピックに出場するべくイギリスチームとして台湾で合宿を行う。そこで出会った女の子。一人はピアノでバッハのアベマリアを弾き、一人は違う世界へ彼を連れて行く。サリー>>続きを読む

2人のローマ教皇(2019年製作の映画)

3.8

ジョナサン・ブライスとアンソニー・ホプキンス保守派と推進派のスタンスの違う二人。ベネディクト16世とベルゴリオ現フランシスコ教皇の対話からなる。

ヨハネ・パウロ2世が逝去された時は話題になってコンク
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マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)(2017年製作の映画)

3.7

教育者であり、さほど名声を手に入れていない彫刻家のお父さんに振り回される家族。人の話は基本まるで聞いてない。とても似ている義兄弟。ノア・バームバック監督の映画は、おかしみがあって、でも苦い。ギクシャク>>続きを読む

ある女優の不在(2018年製作の映画)

3.5

女優の元に送られた少女からの動画。イスラム教イランは男達によって未来は決定されてしまう。遠く離れたそこへと伸びていく道を挟んだカメラからは女性達の会話も知ることはできない。けれど窓のシルエットにははし>>続きを読む

1922(2017年製作の映画)

2.2

Netflixにて。ザック・ヒルディック監督。スティーブン・キング原作。来年の干支映画です。チューチュー。因果応報というかね。1922年というのに何の意味があるのか謎。世界恐慌前夜のバブルに乗れなかっ>>続きを読む

バード・ボックス(2018年製作の映画)

3.4

それを見てはならない。人類の敵なるものをそんな風に描いていて面白い。ガールとボーイ。絶望の最中に生まれた命を名前もつけずに突き放すようにそう呼ぶ彼女。目隠しをしたまま激流を下って行く。

全人類が盲目
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ドクター・スリープ(2019年製作の映画)

3.2

ダニー、ああ可哀想なダニー。「シャイニング」の続編という事ですが、もう違う映画だなーと。あの映画に出てきた様々な要素はあるんだけど、あの映画を引き継いでいる訳ではなくて、もはやこれは「レディ・プレイヤ>>続きを読む

嵐の中で(2018年製作の映画)

2.5

嵐の日、ビデオカメラと古いテレビで通じた瞬間。んっと、タイムリープものって難しいですよね。なかなかピタリとはまらない。「オーロラの彼方に」とかもちょっとなぁって思ってしまうんで。

女は二度決断する(2017年製作の映画)

3.8

人は変わる可能性はもちろんあるけれど、その善への可能性すらも含めて、自分が愛する人が傷つけられた時、その人を許すことができるだろうか?ああ、わたしには無理だ。だからわたしは死刑廃止には反対。ダイアン・>>続きを読む

ゼロ・グラビティ(2013年製作の映画)

4.4

つい何度も観てしまう。衛星のように宇宙遊泳を楽しみ、地球を見守り、地球に帰る彼女の手助けをする気まぐれな守護聖人のようなコワルスキー 。放り出された永遠の虚空から、サンドラ・ブロックがISSに辿り着い>>続きを読む

マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)

3.9

夫婦の微笑ましい幸福な結婚生活、3人の暮らし。でも、壊れてしまう。完全に憎しみあっているなら話は簡単だけど、愛している部分はあって、お互いに自分がやりたい譲れない事もあり、息子とも暮らしたい。なんて難>>続きを読む

フラットライナーズ(2017年製作の映画)

2.0

キービジュアルでSFと勘違いし、おや?サスペンスかと思ったらぬるいホラーだった?でござる。意図的な臨死体験をする事でトリップし感覚は研ぎ澄まされる。エレン・ペイジとディエゴ・ルナ。チラキーファー・サザ>>続きを読む

この世に私の居場所なんてない(2017年製作の映画)

3.6

面白いw 気弱でなんだかいつも上手くいかない女性が空き巣に入れられたところ警察はロクに捜査もせず、彼女は意を決して犯人を探っていく。隣人役のイライジャ・ウッドがこれまた正義感があるけどちょっとズレたイ>>続きを読む

ムーミン谷とウィンターワンダーランド(2017年製作の映画)

3.3

テレビシリーズとして制作されたパペットアニメーションを再構成して完成した映画の第三弾。冬眠を控えたムーミンたち。そうか、ムーミン達はクリスマスを知らないのか。クリスマスさんをお迎えするために準備するみ>>続きを読む

アイアムアヒーロー(2015年製作の映画)

3.4

原作未読です。ゾキュンという瞬発力があるタイプのゾンビ。大泉洋が、撃つかと思うと撃たへんのかーい!撃つかと思うと撃たへんのかーい!撃つかと思うと撃つかと思うと・・・撃ったーーーー!血みどろでカッコよか>>続きを読む

ザ・ランドロマット -パナマ文書流出-(2019年製作の映画)

3.0

スティーブン・ソダーバーグ監督。ゲイリー・オールドマンにアントニオ・バンデラスにメリル・ストリープ。キャストはもう超豪華で監督も、なのに。話が取り止めもなくパラパラで。まぁそれくらい実像も雲を掴むよう>>続きを読む

アイリッシュマン(2019年製作の映画)

3.7

マーティン・スコセッシ監督。労働組合の指導者ジミー・ホッファとアメリカ。デニーロが演じるフランク・シーランの語るその時代。誰もが老いて新たなものに置き換えられ見向きもされなくなる無情。だけれども。>>続きを読む

ANIMA(2019年製作の映画)

-

短編映画というよりはポール・トーマス・アンダーソン監督によるトム・ヨークのPVという感じ。いいんだけどさしてはっとするところはなく、ただLIVEだったら凄くいいかもなぁ。あ、ここプラハだよね。路地や路>>続きを読む

バスターのバラード(2018年製作の映画)

4.2

コーエン兄弟。めっちゃ面白い!わたしはオムニバス形式の映画がとても好きなんですけど、大抵は一つ二つ面白ければ満足って感じの凸凹感になるんですけど、これはどれも最高か!って思うほど面白い。アメリカ開拓者>>続きを読む

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)

4.2

1970年メキシコ。家政婦をしているクレア。床に流れた水に映る小さな空に飛行機が飛んでいる。素晴らしく美しい。室内のどこか傍観者のような見渡す視線が、クレアと同じに家族とは違う他者の目に見えて悲しい。>>続きを読む

フィツカラルド(1982年製作の映画)

4.5

アマゾンの奥地にオペラ座を建てたい男。何も持たない男。そんな男に捧げる女の美しい笑い顔。山を越えていく船。そう、正気の沙汰ではない。船がだよ、山をだよ、超えて行くんだよ。彼の満足そうなその顔に、いつま>>続きを読む

CLIMAX クライマックス(2018年製作の映画)

4.2

いつも挑発的。薬物と音楽と舞踏によって、精神と肉体が乖離した集団のその閉じた世界。

舞踏は陶酔や憑依をもたらす呪術的なものでもあり、その真上からのカメラワークは何者かを呼び覚ます儀式によってやってき
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真実 特別編集版(2019年製作の映画)

3.8

女優をとはどういう生き物なのか。まるで真実のカトリーヌ・ドヌーヴを観ているようなそんな気持ちになる。毒舌で我儘だけどとてもチャーミング。

是枝監督にしてはとても軽やかでそれはドヌーヴのもたらすものな
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ターミネーター ニュー・フェイト(2019年製作の映画)

3.4

ティム・ミラー監督。とりあえずサラ・コナーがまぁカッコエエ。もっとゴツい銃器カモーン。おばちゃんもっとじゃんじゃん撃って〜。新キャラグレースもとてもカッコいいでがす。今回のターミネーターはマルチタスク>>続きを読む

パッセンジャー(2016年製作の映画)

3.7

惑星移住の宇宙船で予定外にコールドスリープから目覚めてしまったたった一人の男。宇宙船のデザインは美しいし、ジェニファー・ローレンスが無重力のプールの水滴の一雫となった球に取り残されるのは美しいですねぇ>>続きを読む

グリーンマイル(1999年製作の映画)

3.8

この映画を観た時、確か宣伝が感動のホニャララ的な感じだったのですが、トム・ハンクスの股間を掴んで病気を治してしまうところでついその病気のチョイスに爆笑しそうになり、ジェームズ・クロムウェルやらデヴィッ>>続きを読む

蝉しぐれ(2005年製作の映画)

2.7

人物に訛りが無くて一体どこの藩だ?って思ってたんですけど、架空の藩という設定なんですね。山形のロケーションはとても美しい。少年時代の俳優から染五郎さんに切り替わるのが突然だしファ?ってなっちゃう。だっ>>続きを読む

そこのみにて光輝く(2013年製作の映画)

3.5

八方塞がりで身動きが取れない人達。セックスシーンがやたらリアルで。池脇千鶴のだらしない少し下着からはみ出した肉。生活と性があまりに近すぎてやり切れず吐き気がする。さっさと逃げてしまえばいいのに。彼らは>>続きを読む

ボーダー 二つの世界(2018年製作の映画)

4.1

とても不思議なそれは一切の想像もつかない、そんな物語だった。ティーナの他者とは違うその容姿、疎外感と孤独。ティーナの窓には心を嗅ぐように何かが訪れる。北欧の森とは妖精が住う処なのだ。

世界の数多の物
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あの日のように抱きしめて(2014年製作の映画)

3.5

クリスティアン・ベッツォルト監督。アウシュビッツから生還した歌手。顔の変わってしまった彼女に気づかない元夫。彼女がまだ彼を愛していて、自転車の後ろで彼の背中に顔を寄せ腰をギュッと捕まえている。クルト・>>続きを読む

億男(2018年製作の映画)

2.9

借金があり、妻や娘と別れて暮らす男に大金が転がり込む。大金を使うっていうそのイメージが胡散臭いバブル時代を感じさせて、なんかもうその辺で引いてしまうのね。北村一輝と藤原竜也のカツラ。落語の芝浜もいろい>>続きを読む

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ(2018年製作の映画)

3.6

内気なサエない女の子。無口だけど無口でいたい訳じゃなくて、友達が欲しい、イケてる彼氏だって欲しい。中学生から高校生に上がる頃、いっちばん面倒な時期だよね。彼女がいつもスマホから目を離さなくったって、ウ>>続きを読む

ジョーカー(2019年製作の映画)

4.0

透視図の消失点が中心に据えられたその構図。アーサーの背骨は奇妙に捩れて時に喘ぎながら天を仰ぎ見るけれど、そこに手を差し伸べるものはただの一つもない。そこへの階段を、彼は笑いという絶望と一緒に降りていく>>続きを読む