archさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

華氏911(2004年製作の映画)

3.0

9.11前後でのブッシュ政権が犯してきた罪を断罪するマイケル・ムーア節のドキュメンタリー。

ブッシュへの個人攻撃と民主党政権批判がかなり綯い交ぜで、マイケル・ムーアのユーモアが描かれてる出来事の公平
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アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家(2023年製作の映画)

4.0

2Dで鑑賞 パンフレット読むと3D必須の作品であることに気づいたので、多分また見に行きます…

45年生まれのヴィム・ヴェンダースとアンゼルム・キーファーのシンパシーによって生み出されたドキュメンタリ
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ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅(2013年製作の映画)

3.6

あからさまな詐欺広告な宝くじ当選を真に受けて80歳近くの父はリンカーンへと向かう。息子含めた家族は彼を止めるが、その宝くじに縋るような父を見守るしかなかった。

嘘の宝くじ当選を信じてしまう男で、ここ
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悪魔の毒々映画をカンヌで売る方法!(2004年製作の映画)

4.2

カンヌ映画祭にトロマ社のファンとスタッフで乗り込み、映画を売り込む様子を撮ったドキュメンタリー。

バカ騒ぎやアクシデントを並べ立てるだけで一つの作品になり得てるのは、それがトロマ映画から伝わってくる
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オスロ・ダイアリー(2018年製作の映画)

5.0

大傑作。アジアンドキュメンタリーズでの岡真理教授と宇多丸さんのアフタートークを含めて、今年でも最も濃密な映画体験だった。作品を観た後のトークショーでこんなに作品の根幹にある部分を否定して(非難するまで>>続きを読む

大公の財政(1924年製作の映画)

2.0

ムルナウ×ハルボウの喜劇。話を追うのにかなり難ある行き当たりばったりな展開。笑いどころが私には分からなかった。

わたしの、幼い息子イマド(2021年製作の映画)

5.0

クルド人ヤジディ教徒の母親と2人の息子は、ISに約2年間拘束され、ようやく解放される。
拘束期間に性奴隷されていたことのトラウマが母親を苦しめ、ISの男達の中で生活していた(息子のうちの一人)イマドは
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結婚しない、できない私(2019年製作の映画)

3.8

イスラエル製作。 中国における結婚事情が、三人の女性にフォーカスして詳らかにされていくドキュメンタリー。

中国ならではの婚活事情も沢山描かれつつ、作品としては普遍的な社会問題を映しており、女性達が感
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アンチソーシャル・ネットワーク: 現実と妄想が交錯する世界(2024年製作の映画)

4.2

2003年にアメリカに登場した4chan(日本の2ちゃんのソースコードをmootがそのままコピーしてきたもの)が、日本のアニメ文化についてのコミュニケーションツールとして普及し、現実に疎外感を感じる《>>続きを読む

BLUE ブルー(1993年製作の映画)

3.2

デレク・ジャーマンの遺作(?)。エイズによって盲目になった監督が自身の体験や感情を、画面一色の中で、断片的な日記か詩の朗読という形で描いていく。

彼の徐々に視力が失われていく感覚を青一色で追体験する
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ジガルタンダ・ダブルX(2023年製作の映画)

4.8

凄まじい映画だった。大傑作。
ギャングと警察、そして森のゲリラ(?)。血生臭い抗争の中に血を見るだけで痙攣して気絶する主人公が、復讐の為に、ギャングのボス"シーザー"の映画を撮る監督として、カメラを片
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パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

3.6

面白い。
自己同一性が失われていく元アイドルのパラノイアを様々表現、モンタージュを駆使して、描き出していく。

どんどん「本当の自分」が分からなくなっていくことの恐怖を描いているわけだけど、それがメ
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蛇の道(1998年製作の映画)

4.1

「復讐」は単純な因数で成り立っている。「復讐者」と「復讐の動機」、そして「復讐の相手」である。
本作は、その単純な因数で成立する《公式》が導き出す答えである。 単純と言っても、多分答えは簡単には導き出
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Playback(2012年製作の映画)

4.5

重病で先のない俳優の男は、かつての友人との出会いをきっかけに"過去"を《再生=Playback》し始める。

現状に不満足で何より先のない彼が、郷愁のままに過去を回想する作品は数あれど、皆が大人の姿で
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密使と番人(2017年製作の映画)

2.6

鎖国下の日本、山中を追い/追いかけられる関係にある密使と三人の追跡者。
手付かずの自然の中をひたすら歩く映像が続く。
登場人物達はその"自然"を意に介さず、ひたすらに歩くわけだが、その姿にスタイルを与
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チャレンジャーズ(2023年製作の映画)

5.0

ルカ・グァダニーノのことはあんまり信頼してないのだが、本作は彼の作品の中でも最も面白い作品だった。

トレント・レズナー&アティッカス・ロスの爆上がり劇伴がガンガンに鳴らしながら、約十数年に渡る三角関
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ブルーベルベット(1986年製作の映画)

3.1

主人公ジェフリーが地元て体験するSEXと暴力に彩られた非日常。不思議の国のアリス(リンチならオズなんだろうけど)のような地獄めぐりとして、ジェフリーの拾うドンの耳で始まり、ジェフリーの耳で終わる物語に>>続きを読む

ニッポン国 vs 泉南石綿村(2017年製作の映画)

2.6

アスベスト被害に関する国賠訴訟を追ったドキュメンタリー。

非常に誠実に題材に向き合っていて、そのせいで初期作品にあった迫力な失われて、面白みに欠けるところはある。
だが、徹底的にアスベスト被害者の顔
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魚座どうし(2020年製作の映画)

3.6

子供の時に感じた、そして久しく感じてない、あの自分より優位な立場の"大人"が、感情を剥き出しにしてくることへの恐怖をなんだか久しぶりに感じた。学校という空間と家、そこを結ぶ通学路(その街)にしか居場所>>続きを読む

チャップリンの殺人狂時代(1947年製作の映画)

2.3

チャップリン本人曰く、キャリアの中で最高傑作は本作らしいが、自分にはどうも分からない。

いつもの喜劇要素は少なく、かといって陰惨な空気に振り切れていない。恐慌の30年代、銀行をクビになり金持ちの女性
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マッドマックス:フュリオサ(2024年製作の映画)

4.3

「いいかい、同じことはやれないんだ。いくら前作がいい出来だったとしても、観客は違うものを求めている。 彼らにはその権利があるんだ」

上記のジョージ・ミラーの観客を馬鹿にしないクリエイターとしての姿勢
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1408号室(2007年製作の映画)

3.4

幽霊を信じないオカルト作家がネタ探しに、曰く付きの一室"1408号室"に泊まることになる。
ほぼ1人芝居で、部屋に脅かされていく内容で、手練手管で、部屋が仕掛けてくる様子が面白い。個人的には真向かいの
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ベイブ/都会へ行く(1998年製作の映画)

2.9

噂には聞いていたが、ベイブ一作目との世界観の豹変ぶりに驚いた。2作目で都会に行く物語は珍しくないが、(『ホームアローン2』だったりのドタバタ家族向けコメディーでありきたりなテコ入れ)、その都会描写が異>>続きを読む

マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015年製作の映画)

5.0

久しぶりに鑑賞。
改めて最初から最後までクライマックスで、観てる我々の時間感覚がおかしくなっていく。
スタート地点とマクガフィンたる"緑の地"を直線的に繋いだ舞台設定のシンプルさ。そこに昼夜や砂嵐など
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東京ランドマーク(2019年製作の映画)

2.3

藤原季節初主演作品。
ちょっと見てられなかった。テーマが云々という話とは関係なく、リアルで御座いな演出プランが性に合わなかった。

関心領域(2023年製作の映画)

3.3

「聴くこと」を強要する冒頭。画面は黒一色、音のみ。
耳をそばたてよ、と本作は明確に強要する。
ホロコーストの惨劇を直接的に描写せず、音で壁の向こうで起こっていることを連想させる。音がイメージさせる光景
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ナショナル・シアター・ライブ 2024 「ワーニャ」(2024年製作の映画)

4.3

凄すぎる。登場人物9名を全て1人芝居でやりきっていた。
確かにキスシーンはあったし、そこには2人以上の営み、会話が成立していた。

ワーニャ叔父さんについて、何となくしか話の筋を知らない状態での鑑賞。
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イーストウィックの魔女たち(1987年製作の映画)

3.1

なんだかよく分からない不思議な味わいの作品。最後の最後まで描写の説明不足感が否めずフィクションラインがよく分からない。けど、演出がキレッキレなので面白い。
また『マッドマックス怒りのデスロード』にも続
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プライベート(2023年製作の映画)

3.1

まずルックが大変好みで、彩度を抑えたシックな映像感がとても良かった。
トイレの個室、そのプライベート空間としての性質は『3-4×10月』だったり、或いはそれ以外の数多の作品で内的で生活的な空間として使
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システム・クラッシャー/システム・クラッシャー 家に帰りたい(2019年製作の映画)

5.0

ミヒャは途中でベニーの担当を離れようとする。「自分でも驚く程に距離が取れない」と。

その感覚は、まさに観客とベニーの"距離"そのものである。
観客の共感を跳ね除けるベニー。ベニーの味方に着くことを容
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千年女優(2001年製作の映画)

4.2

現実と虚構を隔てる境界に立つのが役者であり、その境界二立つ人間の人生を描くとき、その境界を当然なくなる。そんな戯言を本気で信じきってしまえる体験で、本当に素晴らしかった。

とにかく走る走る。その運動
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ありふれた教室(2023年製作の映画)

3.5

冒頭、まるでオーケストラの演奏前に行われるチューニングのような劇伴が流れる。画面には教室ヌヴァクと生徒の面々。手を叩き一連の儀式のような合図とその構図は、まるで指揮者のよう。このコントロールされた空間>>続きを読む

クイーン・オブ・ダイヤモンド(1991年製作の映画)

3.9

砂漠のど真ん中。全くなんの風土も存在しない場所に、資本主義の名のもとに削り出された空虚にギラつく都市、ラスベガス。
前作の『マグダレーナ・ヴィラガ』の"水"と対比されるように、燃えるヤシの木や線路上の
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