朝田さんの映画レビュー・感想・評価 - 26ページ目

朝田

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黒い司法 0%からの奇跡(2019年製作の映画)

3.0

物凄く感動的な良い物語ではあるし、主演マイケル・B・ジョーダンは相変わらず抜群にカッコ良い。しかし、「黒人vs白人」というあまりに図式的で、なおかつ過去の様々な作品で散々描かれてきたテーマを現代に作品>>続きを読む

初恋(2020年製作の映画)

3.5

三池崇史と言えば「撮りたくもない漫画、小説原作を、悪ふざけ全開で撮った作品」を大量に作り続ける中で「本人が本気で撮りたい題材の、気合いの入った映画」がたまにある。という不思議な監督だが、この作品は後者>>続きを読む

ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ(2018年製作の映画)

3.7

アウトローな男が、ミステリアスな女の姿を追い求める。「アンダーザシルバーレイク」やヒッチコック、リンチの作品にも近い、土台は所謂フィルム・ノワールの世界観だ。しかし、今作はそれをNWレフンやウォンカー>>続きを読む

レ・ミゼラブル(2019年製作の映画)

4.4

単に手ブレさせた画面を多用するのではなく、時折長回しや、人物たちの周りを365度グルグルと旋回する事で、日常のシーンから、サスペンスフルなシーンへと巧妙に移行していく。また音楽がほとんど用いられず、シ>>続きを読む

スウィング・キッズ(2018年製作の映画)

4.2

かの韓国映画の名作「サニー永遠の仲間たち」の監督らしい、ポップミュージックと同期させたようなリズミカルな編集、滑らかなカメラワークとユーモアのセンスが炸裂している。戦争映画という土俵を借りて「サニー」>>続きを読む

影裏(2020年製作の映画)

1.8

黒沢清組の常連スタッフ、芦沢明子が撮影監督を務めているだけあってショットの精度はかなり高い。何気ない日常の風景に不穏なムードを生み出して切り取った画面の数々。特に夜間シーンの撮影は非常に良い。闇夜の中>>続きを読む

名もなき生涯(2019年製作の映画)

2.5

近年のマリック作品と比較すると、超現実的な、スピリチュアルな要素が抑制されていて実話ベースということもありシンプルなプロットとテーマを扱っていて、最近のマリックが苦手な自分としては見易い作品ではあった>>続きを読む

チャーリーズ・エンジェル(2019年製作の映画)

1.3

キャストが新しくなっただけで基本的にやっている事は従来の「チャーリーズエンジェル」とほとんど変わらない。つまり雑な脚本、派手なアクションによって美しく、強い女性たちの姿が描かれていく。そのため安心感は>>続きを読む

スキャンダル(2019年製作の映画)

3.0

元来ミソジニー、セクハラ、パワハラとブラック企業を構成する三要素の温床であり、トランプ政権成立後はより強固なものとなったfoxニュース社の腐敗を内部で働く三人の女性の視点から描いていく。実話ものであり>>続きを読む

グッドライアー 偽りのゲーム(2019年製作の映画)

1.4

詐欺師の老人たちを描いたクライムムービーが、徐々に歴史を跨いだスケール感の壮大なミステリーへと変換していく。イーストウッド「運び屋」やロウリー「さらば愛しきアウトロー」のような、犯罪に手を染めながらも>>続きを読む

ドミノ 復讐の咆哮(2019年製作の映画)

3.8

完全に破綻している脚本をスローモーションが炸裂する過剰なカメラワークと、ピノ・ドナッジオの過剰にドラマチックな音楽と共に描く、まさしく純度100パーセントの「デ・パルマ映画」。アクションムービーや、ク>>続きを読む

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

3.7

とにかくロジャー・ディーキンスが凄すぎる。これに尽きる映画。プロット自体は伝令を受けた兵士がひたすら目的地を目指すという極めてシンプルなもの。それを美しく、滑らか過ぎる編集によって、圧倒的な緊張感を持>>続きを読む

静かな雨(2020年製作の映画)

2.0

前作同様に中川監督らしい日常的な風景を美しく切り取るショットのセンスや効果的に用いられる長回しは良い。特にカットを割らずにたい焼き屋の前で様々な物を倒すサラリーマンの姿が捉えられるシーンは、そのサラリ>>続きを読む

ハスラーズ(2019年製作の映画)

4.0

「マジック・マイク」と「アメリカン・アニマルズ」、そして「グッドフェローズ」が融合したような作品。路頭に迷ったストリッパーたちが、イリーガルなビジネスに手を染めるハスラーに化していくまでを、過去と現在>>続きを読む

ザ・ピーナッツバター・ファルコン(2019年製作の映画)

3.6

ダウン症の青年と漁師。社会や組織から阻害された二人のアウトサイダーが「家族の不在」という共通した点から、徐々に心を通わせていくロードムービー。97分という上映時間が象徴的だがとにかく肩の力が抜けた、軽>>続きを読む

犬鳴村(2020年製作の映画)

3.5

長らく監督としてハリウッド進出以降低迷し続けていた清水崇監督だが、久々の秀作。何より脚本が非常に丁寧。「呪い」を主題にした王道のJホラーでありながら、厭な後味を残すホームドラマとしても成立しているのが>>続きを読む

風の電話(2020年製作の映画)

3.8

東日本大震災を題材にした日本の映画は数あれど、ここまで誠実にテーマに向き合っている作品は稀ではないか。長回しを多用しながら、大切な人を失った一人の少女が再生していく様をじっくりと捉えていく。「震災」を>>続きを読む

AI崩壊(2020年製作の映画)

3.6

トニー・スコット「エネミー・オブ・アメリカ」や、スピルバーグ「マイノリティ・リポート」などを想わせる監視社会が生むsfサスペンス。日本でsfものを造ると大抵目も当てられない出来になる。だが流石に優れた>>続きを読む

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

-

古典的なフィルム・ノワールを題材にしたミステリー作品。まず大前提としてミステリーというジャンルは、映画と親和性が低いと考えている。トリックの構造が徐々に明らかになっていく中で、それを説明する台詞に依存>>続きを読む

アンカット・ダイヤモンド(2019年製作の映画)

5.0

前作「グッド・タイム」も好きだったが、サフディ兄弟は軽々と越えてきた。超絶大傑作。宝石に狂った商人が破滅していくという、極めてシンプルなプロットでありながらサイケデリックな色彩の映像と、ドキュメンタリ>>続きを読む

バッドボーイズ フォー・ライフ(2020年製作の映画)

3.6

ミーク・ミルのラップが鳴り響き、トニー・スコットの作品を想わせるスピーディーで、アグレッシブなカット割りで描かれるオープニングのカーチェイスには純粋に大興奮した。しかし、逆に言うとそこがピーク。全体と>>続きを読む

ミッドサマー(2019年製作の映画)

3.9

先行上映にて鑑賞。鮮烈なゴア描写やシンメトリーの構図など「ヘレディタリー/継承」と共通する部分はありつつ、ホラー映画というジャンルから逸脱するようなアリ・アスターの作家性が炸裂する怪作。意表を突くよう>>続きを読む

9人の翻訳家 囚われたベストセラー(2019年製作の映画)

2.5

1つの屋敷に9人の作家が集められる。ミニマルな舞台からは想像もし得ない異様に入り組んだトリックのストーリーが展開されていく。新感覚のスリラーでありミステリー。語り口としてユニークなのは、比較的中盤で事>>続きを読む

テリー・ギリアムのドン・キホーテ(2018年製作の映画)

3.0

かの古典ドン・キホーテを題材にした映画であり、テリーギリアム自身の映画作りに対するパーソナルな感情を全編にさらけ出した「8 1/2」的な作品でもある。それ故に、これまでのギリアム作品には無かったような>>続きを読む

キャッツ(2019年製作の映画)

1.4

ドラッグをキメてトリップをしているかのような感覚を与えるビジュアルと、やたらと手振れするカメラワークに神経を逆撫でされ続ける110分。生真面目にミュージカルをそのまま映像化しているため、映画にする際に>>続きを読む

his(2020年製作の映画)

3.7

泣いた。個人的には今泉監督の作品の中でも「愛がなんだ」と並びベスト。LGBTを題材にした、極めて現代的なテーマを扱いながら、普遍的なラブストーリーとしても成立している。このような映画がついに日本から出>>続きを読む

イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり(2019年製作の映画)

2.8

気球を舞台にしたユニークなスリラーでありながら、二人の男女が交流を交わしながら、成長していくヒューマンドラマとしても成立している。この造りは見事。常にロープが軋む音や、風が吹きつける音が鳴らされ、青空>>続きを読む

花と雨(2019年製作の映画)

1.2

自分が中学生の時に愛聴したアルバムであり、日本のラップ界におけるクラシックとして君臨している「花と雨」だが、映画の方は残念な出来であった。「花と雨」という楽曲は、ラッパーSEEDAが、亡くなった姉に対>>続きを読む

ペット・セメタリー(2019年製作の映画)

3.0

予想より悪くなかった。単なる焼き直しではなく、1989年版のストーリーに独自の解釈を加え、ツイストする事でリメイク版としての独自性が生まれている。このアイディアは見事。演出的に目新しいものはないものの>>続きを読む

ブラ! ブラ! ブラ! 胸いっぱいの愛を/ブラ物語(2018年製作の映画)

3.4

ブラジャーの持ち主をひたすら探す、というコントのようなストーリーではあるが、今作がやっている事は「マッドマックス 怒りのデスロード」に近いとすら思った。つまり、プロットを単純化させる事でアクションのダ>>続きを読む

mellow(2020年製作の映画)

3.0

優しき花屋の店主の日々を中心に、今泉監督十八番の群像劇へと発展していく。抑制的なカメラワークと、多用される長回しが登場人物たちのやり取りに生々しい緊張感を生んでいる。夏目と木帆のラーメン屋での会話や、>>続きを読む

ラストレター(2020年製作の映画)

2.0

岩井俊二史上屈指の珍作。登場する人物のほぼ全員が高校時代の恋愛関係に執着し続けているという狂った設定、どこにむかうのか判然としない、中心が無いまま進んでいく行き当たりばったりなプロット、過去作「lov>>続きを読む

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

3.5

まったく新しい戦争映画。ナチスというシリアスにならざるを得ない題材をウェス・アンダーソンのようなポップな色彩とシンメトリーの構図によってユーモアと共に極めて軽快に語っていく。同時に、戦争自体の悲惨な描>>続きを読む

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)

3.9

社会や組織から阻害された人間が英雄的行動を取るという意味では「15時17分、パリ行き」、英雄視された人間が罪に問われるという意味では「ハドソン川の奇跡」などイーストウッドの近作を想わせる。しかし、今作>>続きを読む