CHEBUNBUNさんの映画レビュー・感想・評価 - 19ページ目

カラダ探し(2022年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

【タイパの時代に映画で何ができるのか?】
予告編を観て、『学校の怪談』を彷彿とさせるアクションが観られそうだと興味を持っていた作品『カラダ探し』。いつか、映画の案件をやることになるだろうと追っていた甲
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ドン・ジュアン(2022年製作の映画)

2.5

【役と魂の重ね合わせ】
ユーロスペースで開催されている第4回映画批評月間でセルジュ・ボゾンの『ドン・ジュアン』が上映されるとのことだったので観て来た。初セルジュ・ボゾン映画だったのですが、想像以上のゴ
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耳をすませば(2022年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

【何者にもなれない私は翳りなき過去に溺れる】
スタジオジブリの名作『耳をすませば』の「10年後」を描いた実写リメイクが公開された。本作の監督は、『約束のネバーランド』の平川雄一朗だったため不安を抱いて
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シンプルな情熱(2020年製作の映画)

2.0

【ノーベル文学賞受賞者アニー・エルノーの世界】
先日、ノーベル文学賞が発表された。2022年は『あのこと』の原作者であるアニー・エルノーが受賞した。成城大学の小室廉太氏が書いた論文「恥をかく──エルノ
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ホラーマニアvs5人のシリアルキラー(2020年製作の映画)

2.5

【現実だとめちゃくちゃ怖い修羅場だよな】
イキり男がいざ修羅場を前に狼狽する。主人公がバーで目を覚ますと、怪しげな人たちが密会を行なっており「君もはなしたまえ」と言われる。この文脈が分からない状態での
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東への道(1920年製作の映画)

2.5

【地獄の流氷渡り】
「死ぬまでに観たい映画1001本」サイレント映画。全体的に退屈なのだが、終盤の流氷渡りのシーンが、人死んでもおかしくないほどハードなアクションになっていて、そこだけ何回も観直したく
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ゴッズ・クリーチャー(2022年製作の映画)

2.0

【叫ばない閉塞感もの】
『The Fits』のAnna Rose Holmer&Saela DavisコンビがA24と組んだ作品。牡蠣工場に現れた息子がある目的のために漁村に適応していく話。『The
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怪人現る(1928年製作の映画)

5.0

【強敵・怪人現る】
チャーリー・バワーズが相棒の虫と一緒に屋敷に現れた怪人を捕まえる話。怪人が右から左から奥から飛び出してくる。画自体は平面的なのだが、怪人の運動でもって奥行きが生まれてくるところが良
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ほらふき倶楽部(1926年製作の映画)

4.0

【特殊召喚されるニャンコ軍団】
銃を撃つネズミには猫をと、鉢から大量に猫を召喚する内容。チャーリー・バワーズのネタは、過剰さから笑いを引き出す系だと分かる。それにしても、なんちゅうところからクリスマス
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オトボケ脱⾛兵(1918年製作の映画)

3.5

【アニメにおける伸縮性】
伸縮自在なオブジェクトというアニメ特有の演出を使って、牛、車、家をびよーん、びよーん伸ばしてぶつける面白さに特化させた作品であった。

全自動レストラン(1926年製作の映画)

5.0

【このレストランでは種から料理を作ります】
今回の企画はセットリストが素晴らしく、『たまご割れすぎ問題』の次に、たまごをプレゼントとして渡す本作から始まる物語を繋げたのにニヤつく。好きな人の父親に、「
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たまご割れすぎ問題(1926年製作の映画)

5.0

【システムの外側で発生する「たまご割れすぎ問題」】
短編映画の中ではオールタイムベスト級の大傑作。「たまごって割れやすいよね」と思い、割れないたまご製造機を作ろうとする話。ゴミ屋敷から飛び出し、オフィ
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とても短い昼⾷(1917年製作の映画)

4.0

【このレストランではあなたの胃袋に直接アップルパイをお届けします】
アニメーション作品。キッチンからパイプを出してスープを注ぐ過程は後の『全自動レストラン』に繋がるものがある。システマティックなレスト
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親愛なる日記 レストア版(1993年製作の映画)

3.0

【映像日記の距離感】
最近、サボり気味だった「死ぬまでに観たい映画1001本」フルマラソンを再開しようと思って、残リストを眺めていたらナンニ・モレッティ映画が残っていたので観ることにした。正直、ナンニ
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戒厳令(1973年製作の映画)

2.5

【コスタ=ガヴラスは追跡劇が上手い】
コスタ=ガヴラス映画。ひたすら、拷問、論戦なので退屈なのだが、『Z』、『斧』と重ねることで、彼は車による追跡劇を撮るのが上手いことに気づかされる。台詞を削り、目線
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母の聖戦/市民(2021年製作の映画)

3.5

【誰も守ってくれない世界とは何か?】
第34回東京国際映画祭(2021)コンペティション部門にて上映された『市民』が邦題『母の聖戦』に改め、2023/1/20(金)より公開される。本作は、プロデューサ
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エイリアンVSジョーズ(2020年製作の映画)

3.5

【映画とは画と画の繋がりで物語るものである】
映画系VTuberの映灯十色さんと萩野ナイトさんの同時視聴配信にて鑑賞した↓
https://www.youtube.com/watch?v=gSGay1
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理想郷(2022年製作の映画)

3.5

【村社会は怖いよ】
時折、都会に住む者が地方に移り住むも、村人たちに受け入れてもらえず、嫌がらせを受け、警察も相手してくれないという話を聞く。

『おもかげ』のロドリゴ・ソロゴイェン監督が放つ新作は、
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優しさのすべて(2021年製作の映画)

1.2

【リア充の目は黒い】
今年は珍しく、映画のコメントを観て映画館に行く機会が多い。VTuber名取さなさんがコメントしたことにより『夏へのトンネル、さよならの出口』を観に行った。今度は蓮實重彥が『優しさ
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マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)

1.5

【壊れてしまった者に壊れてしまった者は依存する。】
平庫ワカの同名漫画をタナダユキが映画化。予告編も何も観ていないのだが、ポスタービジュアルに惹かれて観た。しかし、これがよくない映画であった。

本作
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鬼火(2022年製作の映画)

2.0

【肉体と精神が乖離する中で見る触覚の夢】
第35回東京国際映画祭で上映されるジョアン・ペドロ・ロドリゲス『鬼火』を観た。本作は幾つかのジャンルが交差する映画ということで期待はしていたが、そこまでであっ
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第三次世界大戦(2022年製作の映画)

3.5

【日雇労働者、ヒトラーになる】
第35回東京国際映画祭コンペティション部門に選出されたイラン映画『第三次世界大戦』。本作はB級映画っぽいタイトルながらもヴェネツィア国際映画祭オリゾンティ部門で作品賞と
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Notes on an Appearance(原題)(2018年製作の映画)

3.0

【注目監督Ricky D'Ambrose】
Ricky D'Ambrose監督作。地図や手紙、新聞、ホームビデオを羅列する。観客は断片的な情報を基に、重要な政治理論家Stephen Taubesについ
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コンビニエンスストア(2022年製作の映画)

3.5

【コンビニというプランテーション】
モスクワ郊外のコンビニエンスストア「プロデュクティ24」。ここではウズベキスタンから来た移民が住み込みで働いている。妊娠していようが、昼夜働かされている。逃げようも
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独裁者たちのとき(2022年製作の映画)

4.3

【歴史上の人物はあの世で思想を冷却保存される】
第35回東京国際映画祭にアレクサンドル・ソクーロフ監督新作『フェアリーテイル』が来るとのこと。本作はヒトラーやチャーチル、イエス・キリストなど歴史上の人
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セカンド・チャンス(2022年製作の映画)

3.1

【防弾チョッキを生み出した男】
『ザ・ホワイトタイガー』、『華氏451(2018)』のラミン・バーラニ監督がCPH:DOXにドキュメンタリー映画を出品していた。防弾チョッキを発明した男の人生を追った作
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波が去るとき(2022年製作の映画)

4.0

【暴力は冷たく停滞をもたらす】
第79回ヴェネツィア国際映画祭のアウト・オブ・コンペティション部門に出品されたラヴ・ディアス監督最新作『波が去るとき』。事前情報だとアレクサンドル・デュマ・ペール「モン
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恋人はアンバー(2020年製作の映画)

4.5

【恋愛はむごい】
アスミック・エースさんから「ぜひご覧いただきたい作品があります!」と11/3(木・祝)公開の『恋人はアンバー』の試写を観ることになった。本作は、第29回レインボー・リール東京、第31
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大いなる運動(2021年製作の映画)

4.7

【ボリビア、大都市での停滞、そして腐食】
第78回ヴェネツィア国際映画祭オリゾンティ部門にて審査員特別賞を獲ったボリビア映画を観た。ボリビア・ラパス出身のKiro Russo監督は長編デビュー作『Vi
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バビ・ヤール(2021年製作の映画)

5.0

【他者からの文脈を前に我々は何も見ていない】
歴史とは、「ヒトラー」、「スターリン」のように固有名詞として後世に語り継がれる人だけで紡がれるものではない。それ以外の、忘れ去られた人の運動と結果が地層の
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ハーモニー・レッスン(2013年製作の映画)

4.0

【無視できない、でも叫べない痛みの避雷針は"虫"】
先日、スペースで第35回東京国際映画祭有識者会議を行った。私が一番楽しみにしているのはカザフスタンの『ライフ』である。本作は、就職した男がうっかり会
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フォーエヴァー・モーツアルト(1996年製作の映画)

3.7

【Je pense, donc je ne suis pas】
菊川にできた映画館Strangerでゴダール映画『フォーエヴァー・モーツアルト』を観た。本作は『女は女である』にてアンナ・カリーナに引
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パッション(1982年製作の映画)

3.8

【仕事と快感は表裏一体だ!】
菊川に新しくできた映画館Strangerに行ってきました。今回はジャン=リュック・ゴダール映画『パッション』を観ました。

映画は現実の風景を映すが、「真実」の外側にある
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フランコフォニア ルーヴルの記憶(2015年製作の映画)

4.2

【「過去」が層をなす美術館】
第35回東京国際映画祭にてアレクサンドル・ソクーロフ新作『フェアリーテイル』が上映される。本作はディープフェイクを用いてヒトラーやレーニン、イエスキリストを同時共存させる
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カルト(2012年製作の映画)

3.5

【怪奇現象はカメラを持っていない時から起きている】
白石晃士監督はPOV映画にグラデーションを与えた監督である。『クローバーフィールド/HAKAISHA』や『REC/レック』などゼロ年代後半に、手持ち
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ノースマン 導かれし復讐者(2022年製作の映画)

3.0

【目には目を、暴力には暴力を】
『ウィッチ』、『ライトハウス』で注目されたロバート・エガースが「ハムレット」のモデルとなったアムレートの物語を映画化。監督初の超大作だったのですが、これが壮絶な内容であ
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