genarowlandsさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

J・エドガー(2011年製作の映画)

3.7

イーストウッドが描く、長期にわたってFBIに君臨した初代長官J.エドガーの闇ある人生。なかなか重厚な作品だった。「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」から興味をもって鑑賞。

FBIが誕生するまで、州
>>続きを読む

トルテュ島の遭難者たち 4Kレストア(1976年製作の映画)

3.9

初ジャック・ロジエ、ヴァカンス映画を待ち望んでいました。ああ、でもこれがカリブのヴァカンスなの? 過酷なトラブル・トラベルでカオスでした。ヴァカンス気分を楽しめると、氷結🍸️片手に臨んだのがいけなかっ>>続きを読む

群衆(1928年製作の映画)

4.0

同じタイトルで、キング・ヴィダー監督による1928年の方の「群衆」。サイレントであることを忘れるほど細やかな演技と演出で、群衆の中の一人の「ふつうの人」の人生を丁寧に描いている良作。ひとつひとつのエピ>>続きを読む

群衆(1941年製作の映画)

4.0

フランク・キャプラの方の「群衆」(1941年)。「素晴らしき哉、人生」の対になっているかのようなクリスマス映画です。戦中に、隣人愛を呼びおこし、世の中を明るくしたきっかけは、世を憂いた男(ジョン・ドゥ>>続きを読む

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

3.9

スコセッシによる社会派映画、さすがの完成度がすごい。オイルマネーで裕福になった先住民の一部族。それを食い物にし、隙あらば権利と命を奪いとる白人。

デ・ニーロのサイコパスっぷりと言いなりに利用される素
>>続きを読む

幻滅(2021年製作の映画)

3.9

ルノワールの「ゲームの規則」から堕落していく貴族階級を観たくなり鑑賞。原作バルザック。腐敗した3つの権力(拝金的な資本主義、政治と切り離せない貴族階級、政財界に巣食うマスメディア)に魅了され翻弄された>>続きを読む

ゲームの規則(1939年製作の映画)

3.7

大好きなルノワール監督の代表作といわれています。ただストーリーがソープオペラ的で、「フィガロの結婚」で始まり、貴族の三角関係、四角関係…もうわけわからない…ドタバタの不倫ラブコメでした。フランスでは不>>続きを読む

早春(1970年製作の映画)

3.7

イエジー・スコリモフスキ監督が描いた早すぎる青春。邦題が良いです。
劇伴がイギリスらしいロックで出口のない激情を表し、とても合っていました。
カメラワークに躍動感があり、年上の女性に振り回されている少
>>続きを読む

スラムドッグ$ミリオネア(2008年製作の映画)

3.8

良いお話でした。スラム街出身のジャマールがクイズミリオネアで優勝した背景に、悲惨なインドの子供たちの人生経験があることを絡ませたイギリス人監督による作品。原作はインドの外交官の小説。

スラム街出身者
>>続きを読む

ミュンヘン(2005年製作の映画)

4.0

今観るべきと思い鑑賞。イスラエルとパレスチナの報復殺戮を淡々と描いたスピルバーグの秀作。観ていて疲弊しました。はじめ、タイトルにあるミュンヘンオリンピック(1972年)で起きたPLOのテロ組織「黒い9>>続きを読む

バニラ・スカイ(2001年製作の映画)

4.2

これで3回目なのに、何も思い出せず、オリジナルの「オープン・ユア・アイズ」とほぼ同じ構成でリメイクしたとあるので(台詞も場面もほぼ同じでした)、邪道ですが、2作を行ったり来たり、互い違いに鑑賞。デジャ>>続きを読む

オープン・ユア・アイズ(1997年製作の映画)

4.1

容姿端麗で裕福な男が事故で大怪我を負い、手術しても顔が戻らなくなってしまう。「バニラ・スカイ」のオリジナルで、こちらは初めて、同作は今回で3回目。ほとんど同じ構成なので、邪道ですが、同時並行して交互に>>続きを読む

他人の顔(1966年製作の映画)

4.1

安部公房原作、勅使河原宏監督。
「セコンド/アーサー・ハミルトンから~」が新しい顔と不適合でアイデンティティが崩壊していく話だったが、こちらは新しい顔に(自から喜んで)自分を乗っ取られにいく話。心の奥
>>続きを読む

セコンド/アーサー・ハミルトンからトニー・ウィルソンへの転身(1966年製作の映画)

3.9

怖かった~。1966年のSF、人生に退屈している成功した銀行家が、さる機関によって若返り、別人の顔となる手術を受ける。新しい人生を歩むものの、新しい自分を受け入れられず崩壊していく。アイデンティティと>>続きを読む

私の中のもうひとりの私(1989年製作の映画)

4.0

まるでベルイマンだと思ったら、ウディ・アレンがベルイマンの「野いちご」を50代の女性版(ジーナ・ローランズ)にしてリメイクしたものだった。ベルイマンの撮影監督によるので、画もベルイマンでした。でもベル>>続きを読む

パーフェクト ワールド(1993年製作の映画)

3.9

脱獄犯と人質の少年のロードムービー。疑似父子の関係を通して脱獄犯も人質少年も欠けていたものを取り戻していく感動ストーリー。裏テーマは虐待と宗教に思える。

虐待されたトラウマを抱えるブッチ(ケビン・コ
>>続きを読む

それから(1985年製作の映画)

3.7

森田芳光監督による夏目漱石の「それから」。主人公が松田優作、友人役が小林薫、友人の妻が藤谷美和子。不倫の末の略奪愛でホラーチックです。

邦画の間延びした間合いが苦手ですが、これはちゃんと余白として間
>>続きを読む

ニノチカ(1939年製作の映画)

4.0

エルンスト・ルビッチ監督、ビリー・ワイルダー脚本、グレタ・ガルボ主演の素敵なラブコメ。すごくおもしろかった。終わり方のセンスの良さには脱帽です。そう、帽子がよい小道具として使われています。グレタ・ガル>>続きを読む

故郷(1972年製作の映画)

3.8

仕事を求め故郷を離れざるを得なくなった家族の話。出演者がほとんど山田洋次監督の寅さんファミリーなので、柴又から瀬戸内の倉橋島に場所を移しただけのほっこりした話だと思っていたけれど、家族や近所の人との会>>続きを読む

ベネデッタ(2021年製作の映画)

3.6

初ヴァーホーヴェン監督。作風知らず、期待とは全く違って残念。以下、こうあってほしかったなあです。
スキャンダラスな俗っぽい描き方ではなく、神秘性を維持して描いて欲しかった。焦点当てたのはレズビア
>>続きを読む

クローズ・アップ(1990年製作の映画)

4.3

知っているキアロスタミ作品とは違った。胸に刺さる、逮捕された男の言葉。セリフなのか、自分の言葉なのか、なぜ映画監督のふりをしたのか、人生を語る。カメラの持つ力に感動しかなかった。

実際の事件の当事者
>>続きを読む

海辺の生と死(2017年製作の映画)

3.5

「死の棘」を理解するための鑑賞

夫の島尾敏雄が書いた原作「死の棘」の映画で強烈な印象を残した妻の島尾ミホが夫とどう出会い愛しあったのか、妻の著書を原作にした本作を鑑賞。あくまでも映画「死の棘」の背景
>>続きを読む

死の棘(1990年製作の映画)

4.5

壮絶。「永遠の人」「こわれゆく女」を超える突き抜けた夫婦の愛の物語。ホラーともコメディともつかない緊張感と弛緩が交互に襲ってくる。島尾敏雄の私小説が原作で、作家夫婦が実名で赤裸々に自分をさらけ出してい>>続きを読む

蟲師 特別編 鈴の雫(2015年製作の映画)

3.6

漆原友紀(初めて知りました)の漫画が原作。シリーズの一部分をスピンオフしたものなのかな。ジブリと民話と神話を合わせたような世界観と詩的な映像のアニメ。森や川、土、木、万物に命が宿るとする日本の土着的な>>続きを読む

ジュリア(s)(2022年製作の映画)

3.8

人生の複数の「タラレバ」を並行して見せる構成がおもしろい。もう既に「タラレバ」を振り返ることもない時点に来ているし、人によって価値観は違い、同じ条件でも選択は違ってくる。偶然のようでいて必然である。ま>>続きを読む

OSLO / オスロ(2021年製作の映画)

-

今さら「オスロ合意」の秘話観ても現状は…と思いつつの鑑賞。

前もっての知識は必要でした。NHKの「パレスチナ問題ってなに? 1からわかるパレスチナ(1)〜(3)」の記事が根深い問題をわかりやすく解説
>>続きを読む

泥の河(1981年製作の映画)

4.8

宮本輝原作、小栗康平監督のデビュー作で名作。日本のネオレアリズモともいえ、イタリアの戦後映画の「自転車泥棒」のような哀愁と、邦画らしい人の温もりを感じる傑作でした。

戦争でみんな平等に貧しくなった戦
>>続きを読む

謝肉祭まで(2021年製作の映画)

3.7

独特の世界観でおもしろかった。引き込まれるんだけど、なんとも人間くさい神々。濃厚なジャケットからは想像もつかないほっこりしたお話でした。

400年に一度の謝肉祭のために選ばれた三人の神々。さらにそこ
>>続きを読む

聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

4.0

鑑賞後の怒りと不快感半端なかったです。娼婦連続殺人事件は現実にあった話で、犯人が世の中を浄化している正しい行いだと支持され英雄視されていたことも事実。

この事件の土台にあるミソジニーが宗教由来だとし
>>続きを読む

ある女優の不在(2018年製作の映画)

-

イランの女性人権活動家のモハンマディさんがノーベル平和賞を受賞したのを受けて、イランのジャファル・パナヒ監督の作品を鑑賞。モハンマディさんの写真を見て、同監督の「人生タクシー」で最後に乗ってきた女性活>>続きを読む

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

4.1

心温まるロードムービー。良作です。 出会うことのない二人が長距離列車で乗り合わせ、少しずつ心が通いあっていく。ありきたりの設定を補うに余りあるユーリー・ボリソフの演技力。食堂車でのシークエンスが素晴ら>>続きを読む

キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩(2021年製作の映画)

3.7

子供の目から観た戦争で、国籍、民族を超えた家族の絆を描いています。 エピソード作り込み過ぎに感じたけれど、この町の歴史そのもので、ポーランドとウクライナ、ソ連、ドイツに幾度となく占領された地域でした。>>続きを読む

マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)

4.3

ファスビンダーおもしろい!

オープニングでまずつかまれました。まるでアクション映画かサスペンスが始まるみたいで。その後も結婚翌日に戦場へ行き、帰ってこない夫を待ちながら、実利的に生きるマリアの行動力
>>続きを読む

ビリー・ジョエル:ライヴ・アット・ヤンキー・スタジアム(2022年製作の映画)

3.9

なんか聴きたくなって。
声が好き。
the stranger演らなかったのか、収まっていなかったのか。本国より日本でヒットしたそう。
uptown girl、軽快な80年代を思い出す。海辺のドライブに
>>続きを読む

不良少女モニカ(1952年製作の映画)

4.0

フィル友さんのレビュー読んで、そろそろベルイマンを注入したくなり笑。今作はベルイマンらしい重さや難解さはなく、タイトルのような不良少女でもなく、自由奔放な少女の青春でした。モニカの伸びやかさや素直な感>>続きを読む

自由を我等に(1931年製作の映画)

3.7

チャップリンの「モダン・タイムス」(1936年)に影響を与えたと言われているルネ・クレール1931年の社会風刺コメディ。資本家に搾取され、機械に支配される労働者、非人間的で人間疎外の社会をコミカルに描>>続きを読む