カンヌでカメラドール(新人監督賞)を獲り、当時、映画館のスクリーンで観た「萌の朱雀」は、日本らしさと雄大な自然描写に溢れていて、これは海外受けもするだろうという作品だった。
奈良の吉野の自然はいかにも>>続きを読む
黒沢清監督の映画を映画館で観るのは、20有余年前の「CURE」以来。
当時は隔週発売のキネ旬を買っていて、そこで数人のうるさ型の批評家がこぞって大絶賛をしていて、どうしても気になって、普段はあまり行>>続きを読む
珠玉の名作。オープニングの曲も、エンディングの曲も実に味があってすばらしいし、何より今は亡きちばあきお先生のリアリティのある作劇を活かして、原作の印象より少し明るい色彩を使ってアニメ化した秀作。
物心をついた頃からの大の義賊好きとしては、どうにも最高の映画だった。
この作品を観るまでは、ひどい邦題だと思っていたけれど、ただ原題に忠実なだけだった。
見終わったあと、パンフレットを買ってもいいか>>続きを読む
とても惜しい映画。やりたいことは分かるし、雰囲気はあるけれど、論理性に乏しくツメが甘くて、素人くさい作品だった。
主人公はまるで美男ではないけれど、味があり表情も佇まいもかなりよかった。キャストで惜>>続きを読む
湯を沸かすほどの熱い愛は、あまり好きではなかった。感情を映像で表現しようというのは分かるけれど、人として低劣な行為をも過剰で悪びれずに描いているように見え、不快な演出の作品だと思ったし、さらにそれがあ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
あぁ、面白かった。
男はつらいよシリーズを全く知らない人には、ストーリーが端正で秀逸なこのあとの17作「夕焼け小焼け」を勧めるが、シリーズを何本か観た人には、リリー初登場の「忘れな草」を観た上で、こ>>続きを読む
80歳を超える岡山の老精神科医、山本昌知医師が第一線の診療から退き、中学時代からの同級生で、今は認知症を患う奥様を支えながら暮らす引退後の日々までを追ったドキュメンタリー映画。
序盤は退任の講演会や>>続きを読む
スケートボードを扱っているから、ミッドナインティーズに似た映画かと思ったら、あまりにも違っていたので驚いた。
ミッドナインティーズはフィクションだが、こちらはノンフィクションのドキュメンタリー。ミッ>>続きを読む
雰囲気重視の安っぽい予告編や、いくつかのレビューに目を通して、薄っぺらくて中身のない作品かもしれないと思い観るのをためらっていたけれど、いざ観てみると、これがまあ、なかなかどうして本当に素晴らしかった>>続きを読む
一週間ほど前に観ていたが、独特の作品だったことと、そのあと仕事が忙しかったことが重なり、なかなか感想を書く気になれなかった。
事前にインセプションを観ていなかったら、多分さっぱり受け入れられなかった>>続きを読む
1990年台半ばのロサンゼルスで思春期を迎えた少年が、スケートボードを通して、十代後半の個性的なグループに背伸びをしながら仲間入りして、飛び込んで知る新しい世界。
スケートボード、タバコ、アルコール>>続きを読む
ご本人のことを全く知らなかった自分には、さっぱりその魅力が分からなかった作品。
どこに出しても恥ずかしい人とは、フォークシンガーの友川カズキが、2010年の本作撮影当時に発表していた曲の題名でもある>>続きを読む
テネットの封切りが気になりながらも、人の多い作品を避けて、割と近くの映画館でやっていて絶対観たい映画を二本、柄になくハシゴをしたら、前日からの仕事の疲れと睡眠不足がたたって頭痛に見舞われ、家に帰り着く>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
前半は素人っぽい作品かもと訝ったが、終盤はそう思った自分の見る目のなさを痛感しつつ、温かい気持ちになってさめざめと涙してしまった。
タレンタイムとは、いくつかの説があるようだが、タレントタイムという>>続きを読む
シリーズ14作目。さくらの夫、博が仕事中に印刷機に巻き込まれて腕を怪我し、さくらが心配して病院に駆けつけるエピソードと、寅さんが佐賀は呼子のお宿で朝起きてみたら、前夜ともに飲み明かした男の書き置きと赤>>続きを読む
地上波編集版とやらを観てしまった……。しかもまぁ、感想を書きにくいこと。
ストーリーは、やっとの思いで敵陣を突き抜けたけれど、やっぱり戻る、それだけなのに、テレビで観てもこれだけ魅せられるのはやっぱ>>続きを読む
本作への厳しい意見が多くて観るのをためらう気持ちもあったが、太平洋戦争の日本側の敗因となったミッドウェイ海戦の経緯を詳しく知りたかったこともあって映画館へ。
宣戦布告を遅らせて、日本軍が奇襲を仕掛け>>続きを読む
これは大学の映像学科や、専門学校の初めの講義で見せられる、キャストが豪華で出来がいいやつ(笑)
エジソンが映写機と蓄音機を発明して、映像と音響の歴史がはじまったところから、映画の都・ハリウッドを中心>>続きを読む
元々は観る予定はなかったけれど、会員デー、割安で観られるということで、どかどかと仕事帰りに映画館へ。
『新聞記者』を撮った監督の映画だとは、全く気付かず。とにかく、カメラが清原果耶を追ってくれるので>>続きを読む
浅丘ルリ子のエキゾチックなお化粧を、胸の中で消化するのに、幾分時間がかかってしまった。
シリーズ第11作は、序盤はさくらがまだ幼い自分の息子のために、自らも幼い頃に憧れたピアノがほしいと言い出したこ>>続きを読む
南米はブラジルのポルトアレグレを舞台にした映画だけれど、都市の雰囲気にヨーロッパの影響が見られて、さらに室内の撮影が多いからか、まるで中欧や南欧の映画のよう。
80歳手前で、目がほとんど見えなくなっ>>続きを読む
本当はほとんど観る気はなかったけれど、懊悩と煩悶の末にファースト・デイの誘惑に負けて、のこのこ鑑賞。
映画ファンとしてもそれなりに評価できるけれど、ロード乗りの端くれとして、想像をはるかに超えて熱か>>続きを読む
故郷の滋賀は大津の小さな映画館で観た『ケス』には、とにかく当時、強い嫌悪を感じて、以降ケン・ローチ作品はあえて遠ざけてきた。
それがどうだろう、本作はよかった。まぁ、シンプルで骨太というか真っ正直な>>続きを読む
下品でも下世話でも、赤裸々でも全然いいし、はちゃめちゃでも、ブッとんでいても何でもいいんだけれど、どうにもさっぱり面白がれなくて、爆笑どころか笑いを噛み殺す場面もなくて残念だった。
ガリ勉で太ったア>>続きを読む
シリーズ第十作。(ほぼネタばれ、旧作なのでお許しを)序盤は、甲斐信濃の旅の空。中山道のほぼ真ん中に位置する木曽は奈良井宿(長野県塩尻市)。広い土地とよく整った家財がそろった古い日本家屋を訪れた寅さんは>>続きを読む
明るい日差しに、密林の緑が冴えて美しい。誰もいない原野の丘や、海辺の景色はまるで理想郷のようだ。
フィリピンのレイテ島は自然に恵まれた穏やかな島だが、薄汚れて、目だけがギラギラ光る日本兵が、現地人や米>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
クリストファー・ノーランの映画の中でも、かなり評判の高い今作だが、公開時は目まぐるしい仕事量、ブラックな労働に追われて公開に気付いてもいなかった。
近くの映画館で再上映されるということで、ついつい気>>続きを読む
どうしようもない映画かと思ったら、案外観られてしまったB級アドベンチャー映画。
味気ないTシャツ姿で、鍛えた肉体の義父役の姿を見て、絶対に面白い冒険映画ではない予感がした。ところが、スティーブンソン>>続きを読む
多分、室町時代の中期から後期頃が舞台なんだろうか。まぁ、歴史や時代考証などは、信じられないほど、一切踏まえられていない(笑)
ただビジュアルはよくできている。人形劇のストップモーションアニメとしては>>続きを読む
大学生だった頃に、原作の本が書店で平積みにされていて、かなり人気を博した作品で、勝手ながらもっとミステリー調のストーリーをイメージしていたら、完全に雪山を舞台にしたアクション映画で、ドン・ウィンズロウ>>続きを読む
ちょうど本格的に映画を観はじめた頃に、岩井俊二監督の実写作品が公開されていて、作品紹介のチラシや解説を見た記憶がある。
多分、実写版とアニメ版とはストーリーが違うのではないかと思う。終盤の展開は実写>>続きを読む
シリーズ第9作。ストーリーは、とらやのおいちゃんとおばちゃんが、さくら夫婦の一軒家購入の足しにしてあげようと、寅さんが柴又に戻ったときに、いつも寝泊りをしている二階の部屋を貸し出すべく、「貸間あり」の>>続きを読む
かなり涙もろい方だが、本作では珍しく泣かなかった。でも、佳い作品だと思った。
冒頭、エイベックス・ピクチャーズという名前が画面に現れたときは不安に思った。勝手ながらエイベックスが絡む創作には、ほとん>>続きを読む
中学生の頃、幼なじみの一人が本作のマンガとテレビアニメにハマっていて、何度か勧められ、当時関西で放映されていた朝の5時半だか6時半頃に起きて観てみたものの、数回観てもその面白さがよく分からなかったこと>>続きを読む
無理やり日本に併合され、母国語を使うことや、ハングルの書籍を出版することを禁止された第二次世界大戦が終わる1945年までの13年間に、それまでになかった朝鮮語の辞書を初めて作ろうとした朝鮮の、主に文人>>続きを読む