FutosiSaitoさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

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金子文子と朴烈/朴烈(パクヨル) 植民地からのアナキスト(2017年製作の映画)

3.9

 知らなかった歴史を知る。異文化に触れるということとともに、これも映画の醍醐味だ。
 関東大震災のときに起きた、朝鮮人虐殺。かの正力松太郎も、この件(アナキスト大杉栄の暗殺)に関わっていた。佐野眞一の
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バッド・ジーニアス 危険な天才たち(2017年製作の映画)

3.9

 韓国映画かつ、痛快エンターテインメントかと思っていたが、いい意味で見事に裏切られた。
 タイ映画で、ほろ苦いというより厳しい現実を反映した内容だったのだ。
 優秀でも、家庭環境など経済格差で名門私立
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麻雀放浪記2020(2019年製作の映画)

3.5

 いろいろチグハグな「迷作」。どうした白石和彌監督。
 上州虎の名古屋章に、ドサ健は鹿賀丈史、女衒の達は加藤健一、そして主役は今や世界の真田広之という、和田誠監督の「名作」『麻雀放浪記』があるので、ど
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ブルーアワーにぶっ飛ばす(2019年製作の映画)

3.9

 渾身の一作。監督の分身、夏帆が道化のシム・ウンギョンと田舎に帰り、いろいろ感じるという物語が、独特のテンポで進む。
 よく、回想を撮れば一本は傑作ができるという。職業も同じだし、田舎も実際に監督の茨
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楽園(2019年製作の映画)

3.8

 重厚。瀬々敬久監督だ、ずっとピンク映画時代から『雷魚』など重厚なものを撮ってきた。
 そこに役者が演技で応える。
 普段はかっこいい役や、ふてぶてしい役(『日本でいちばん悪い奴ら』を演じている綾野剛
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人間失格 太宰治と3人の女たち(2019年製作の映画)

3.0

 フィクションのように堕落したイメージの人生を演じた「破滅型」太宰治をフィクションとして描いている。あくまでもイメージとして。
 太田静子にも、太宰との関係にリアリティはなかったのか。
 それを演じる
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蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)

3.9

 『のだめカンタービレ』は上野樹里が変人ぶりを発揮した作品だった。天才はエキセントリックだという。
 ここに出てくる「選ばれし者」は(風間塵が近いが)それとは違う。コンクールによりお互いを刺激しあって
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ジョン・ウィック:パラベラム(2019年製作の映画)

3.9

 アイディアのてんこ盛り。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を地で行く『マトリックス』でのスタントマンだったチャド・スタエルスキ監督とキアヌらが楽しそうにアイディアを出し合っているのが目>>続きを読む

ジョーカー(2019年製作の映画)

4.0

 マーベル・コミックス(MCU)は、アイアンマンに代表されるように「明るく」「楽しい」スペクタクル路線でヒットを飛ばしている。
 DCコミックスは娯楽ヒーロー作品『アクアマン』があるとはいえ、ユニバー
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アド・アストラ(2019年製作の映画)

3.3

 何がしたかったんだブラッド・ピット。
 実話『ファーストマン』でもなく、かってのジョージ・クルーニーによる哲学作品のリメイク『ソラリス』でもなく、ましてや宇宙脱出もの『ゼロ・グラビティ』でもない。
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帰れない二人(2018年製作の映画)

3.9

 中国映画でこれが撮れるということ、またそれが日本の劇場でかかっているということが、もはや凄い。
 「女渡世人」ものなのか、はたまた中華ノワールなのか。邦題からは「恋愛」ものに思えるが、なんともいえな
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宮本から君へ(2019年製作の映画)

3.8

 叫んで脱ぐと特に女優は「熱演」と言われるが、これはそんなありきたりな評価を優に超えている。
 歯がなくなってからの宮本の、息が抜けたようなセリフまわしも、口から泡を吹く(まさに口角泡を飛ばす)絶叫も
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ゴールデン・リバー(2018年製作の映画)

3.9

 これは従来の西部劇からは外れているが、よりリアルな西部劇だ。
 殺し屋の兄弟が、観察者からの情報をもとに標的を追っていくロードムービーでもあるが、ガンアクションも痛快さとは無縁だ。
 主演はホアキン
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惡の華(2019年製作の映画)

3.7

 変態アダルトビデオを撮っていた井口昇監督は、徐々にメジャー化していった。『片腕マシンガール』あたりから世界的にも評価され、社会的に認められてきた。
 一方で『ゾンビアス』とか『スレイブマン』のような
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ファイティン!(2018年製作の映画)

3.8

 こわもて刑事や気の短い役を演じてきたマ=ドンソクが、朴訥で人の良い大男の役をやっているのが良い。
 無口な「男はつらいよ」のような人情ものでもあるのだが、巧い。
 どうせスポーツ根性もので、勝利は目
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工作 黒金星と呼ばれた男(2018年製作の映画)

4.0

 アメリカは『ペンタゴン・ペーパー』を作ったが、韓国にはこれがある。さらに言うなら『タクシー運転手』に『1987、ある闘いの真実』『弁護士』まで政治的な傑作が連作されている。
 北と南の陰謀など、スパ
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バジュランギおじさんと、小さな迷子(2015年製作の映画)

3.8

 わかりやすいメッセージ、ストレートなテーマ。
 CGではない大群衆の凄さ。雄大なロケーション。
 どれを取っても、インド映画の大きさを表している。
 イスラムの国である隣国パキスタンとの友好を訴える
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

4.0

 タランティーノ版『アンダー・ザ・シルバーレイク』で、PTAの『ブギーナイツ』でアルトマンの『ロング・グッドバイ』だ。
 また、過去のブラックシネマを回顧した映画でもある、スパイク・リー監督『ブラック
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探偵なふたり(2015年製作の映画)

3.7

 サスペンスとしての謎解きも面白いので驚いた。
 バディものとして、元犯罪者とベテラン刑事が組むのかと思っていたが、警察の採用試験に落ちた過去を持つ主人公だった。
 基本的にコメディタッチで進むのだが
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バッド・バディ! 私とカレの暗殺デート(2015年製作の映画)

3.6

 邦題がやる気あんのか、という出来なので敬遠していたが、アクションは凄かった。
 サム=ロックウェルならありうるというハマり具合で、イカれた殺し屋なのに格好良く見えてくる。説得力はたいしたものだ。
 
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BRAVE STORM ブレイブストーム(2017年製作の映画)

3.5

 大作感はないが、異色で面白いなあと思ったら、メカニックデザインや音楽が日本人でないスタッフだった。
 それがなんともいえない味わいをかもしだしている(シルバー仮面のデザインを除く)。
 ここでのレッ
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弁護人(2013年製作の映画)

3.9

 盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領が手掛けた事件が描かれる。
 軍事政権下での思想弾圧。だが、登場する公安警察が語るように、北との「交戦状態」だからこそ、そうしなけらばならないという正義感がさせたのだ。
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ロケットマン(2019年製作の映画)

3.7

 同じ監督の『ボヘミアン・ラプソディ』を意識してしまうし、クイーンのほうがヒット曲が多いので、どうしても比較してしまう。
 だが、こちらはミュージカル映画であり、あちらはドキュメンタリーだ。 また、こ
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バンブルビー(2018年製作の映画)

3.8

 文句なく楽しめる。さすが人形アニメの傑作『KUBO/クボ』の監督だ。
 バンブルビーの動きが凄い。特に格闘シーンだ。
 一本背負いをしたり、相手の足を蹴って曲げたり、実践的な殺陣を取り入れている。お
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ダンスウィズミー(2019年製作の映画)

3.8

 「ミュージカルではなぜ急に踊りだすの?」という問いの答は、ここにある。
 阿波おどり、ねぶた、よさこいなどの祭と同じだ。お囃子や、鬼太鼓のリズムが聞こえてくれば、血が騒ぐ。
 踊らずにはいられない。
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アルキメデスの大戦(2019年製作の映画)

3.7

 『軍艦武蔵』上・下(手塚正己・新潮文庫)に詳しいが、大和も武蔵も空からの攻撃に弱く、自慢の主砲も発射後はしばらく(砲)煙で視界がなくなったり、内部での跳弾被害が大きかったりというデメリットがあった。>>続きを読む

天気の子(2019年製作の映画)

3.8

 新海誠監督による、大ディザスター映画。
 天気を変えられるということは、大災害をも起こせるということ。
 宮崎駿監督が、『崖の上のポニョ』で水の表現をやりたかったように、同じく『風たちぬ』で東京を破
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火花(2017年製作の映画)

3.6

 板尾「審査委員長」(『ケータイ大喜利』)で壇蜜主演の『私の奴隷になりなさい』での「ご主人様」で、もちろん『月光の仮面』の監督による、ピース又吉原作小説の映画化。
 舞台のような画面の切り方が特徴的だ
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マーウェン(2018年製作の映画)

3.6

 これってそのまま、監督のロバート・ゼメキスのメタファーでしょ。
 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズで大ヒットを飛ばしたけど、その後はやたらリアルなCGアニメを撮ったりで、興行的に苦労したク
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アンダードッグ 二人の男(2016年製作の映画)

3.7

 マ・ドンソクの張り手を見られただけでも満足だ。
 パンチでなく張り手というのが彼の特長だ。そして、悪になりきれない。
 主人公はイケメンのミン・ホなのだが、こちらは犬(ドッグ)というには優しすぎる。
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ギャングース(2018年製作の映画)

3.8

 犯罪のもので、底辺のギャングと特殊詐欺を描いていながら、青春ものになっているあたりが、さすが入江監督だ。
 特殊詐欺の手法にやたら詳しいと思ったら、ノンフィクションつまり徹底した取材を元にしていてい
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ビューティフル・ボーイ(2018年製作の映画)

3.7

 amazonが制作のこの映画は、ドラッグの怖さと、それからの再生を描く。
 ノンフィクションが原作なので、リアルかつ怖い。
 何気なく始めてしまい、何気なく再開してしまい、何気なく死や破滅に向かって
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マイ・プレシャス・リスト(2016年製作の映画)

3.9

 才能があるとか、変人とか、偏奇とかいう人物が多くいるのが大学というもので、そこで本当に才能のある学生や先生に出会うというのが、夏目漱石の『三四郎』以来の定番だったはず。
 麻布高校や灘高校の卒業生も
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スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム(2019年製作の映画)

3.9

 子供にも、十代にもウケるエンターテインメントだ。
 エンドゲームは大人かつ、シリーズを追いかけてきたファン向けの映画でもあった。
 マーベル・ユニバースに、ミステリオことジェイク=ギレンホール参加か
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新聞記者(2019年製作の映画)

3.9

 忖度社会に抗う勇気に感謝。制作の角川書店とイオンに。出演した役者たちに。
 よく、こんな映画を参院選挙前に公開できた。
 だが、ドキュメンタリー『主戦場』は、与党のやり玉に上がっているが、こちらはス
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凪待ち(2019年製作の映画)

3.8

 監督の『孤狼の血』からこの作品に至った、変化について興味が湧いてきた。
 エンドロールに込められたメッセージが強かったからだ。
 暴力描写についてもである。これまでにない哀しさ。
 インタビューで、
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