FutosiSaitoさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

FutosiSaito

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スキャンダル(2019年製作の映画)

3.9

 シャーリーズ・セロン、自身が制作したアクション映画に続いて、実録社会派ドラマでも「侠気」を見せた。かっこいい。
 『アトミック・ブロンド』では、危険で体を張ったスタントをこなしたが、それも制作者が自
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ミッドサマー(2019年製作の映画)

3.9

 万人受けする内容ではないが、たくさん客が入っていた。前作と同様に、人が死ぬ(死んだ)ところがアップになったり、その方法がショッキングだったりだからだ。
 そして布石。その打ち方が実に巧い。
 よく見
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幸福路のチー(2017年製作の映画)

3.8

 ちょうど『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の予告を見ていたので、そんな「大切な日常」や「家族」を描いたアニメとして見た。
 台湾現代史(さらに差別問題もさらっと)を織り込んだ展開は見事で、それ
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ザ・ピーナッツバター・ファルコン(2019年製作の映画)

3.5

 はみ出し者とダウン症の若者によるロードムービー。施設では問題を起こして脱走をしたがるザックは、密漁者タイラーには対等な友達として扱われ、過度なサポートもなしに旅ができている。
 この映画のテーマは、
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1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

3.9

 疑似体験のための長回し。2時間でこの緊張感なのに、ずっと戦場にいさせるということは、どこまで非人道的なのか。
 逆に落ち着けるとは、平和な状態とは何かということも考えさせられる。
 長回しやワンカッ
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家族を想うとき(2019年製作の映画)

4.0

 イギリスの至宝、ケン・ローチ監督の真骨頂。引退するといいながら、今作を撮ったが、これまた凄い映画だった。
 プロテスタントの国、アメリカとドイツとイギリスは「勤勉」「利益の追求・拡大」を教義に入れた
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タレンタイム〜優しい歌(2009年製作の映画)

4.0

 手話まで入れると、実に5種の言語による多様なコミュニケーションが取られているが、違和感がない。
 タミール語、英語、中国語、マレー語、そして英語が、もちろん多様な民族も宗教も出てくる。
 ディズコミ
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ラストレター(2020年製作の映画)

3.9

 監督の変わらぬ瑞々しい感性と、空撮を駆使した美しい仙台。
 フィクションの利点は時間と空間を飛ばせることだが、それを活かした物語展開だった。
 過去と現在、『ラブレター』でも手紙と時制のずれが感動を
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テリー・ギリアムのドン・キホーテ(2018年製作の映画)

3.7

 支離滅裂かと思ったが、創作の熱い思いに満ちた映画だった。
 BBCの『モンティ・パイソン』で活躍したテリー・ギリアム監督は1981年『バンデッドQ』、1985年『ブラジル』でも人気を博した。
 しか
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ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

4.0

 才能の塊が、音や映像でびっくりさせるのではなく、展開や緻密な設定でじわじわくる怖さを創造した。
 様々な伏線が回収されていく脚本(もちろん監督が書いた)も見事だ。
 インタビューで述べているとおり、
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リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)

3.9

 静かなる告発映画。マルパソプロダクション最高。
 クリント・イーストウッドを語るとき、必ず触れないといけないのは、インディーズであることだ。
 自らの「マルパソプロダクション」によって制作をする。だ
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フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

4.0

 日曜劇場のような企業根性ものでない、もっと「クールで熱い」物語なのがよかった。
 チームワークも個人の活かし方ももっとクールでじめじめしていない。
 クリスチャン・ベイルがまたいい仕事をしている。も
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ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

3.9

 監督も自由だし、キャストも自由にできるんだという映画。
 ヒットを宿命付けられたマーベルユニバースの監督に抜擢され、ユニバースという制約や、万人に受けるものという制約などに縛られていたワイティティ監
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親切なクムジャさん(2005年製作の映画)

4.1

 想像を超えた、バイオレンス復讐(と贖罪)コメディ。
 あらゆる意味で、先入観を超えてくる。どう分類していいいのかわからないジャンルも、えーこうなるのかという展開も何もかもだ。
 冒頭から、クムジャさ
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.0

 ファンタジーのない『万引き家族』。
 そして、同じ半地下室でも『天気の子』とは大違いだ。リアルな半地下とは、こういうところだと言わんばかりの描写力だ。
 大雨や洪水の描写に関してもしかり。それは綺麗
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菊とギロチン(2016年製作の映画)

3.6

 青春群像、テロリストというより「アナキスト」だけど。
 女相撲に、アナキスト集団である「ギロチン社」をかけ合わせる瀬々監督のセンスは凄い。
 古代からの神事だから土俵は女人禁制だというのは、あと付け
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ルパン三世 THE FIRST(2019年製作の映画)

3.7

 上映回数が減ったから、厳しい作品かと思ったら、王道のルパンだった。
 寅さんみたいに定番なので、そのツボは押さえないといけないが、リスペクトがたくさん込められていた。
 大人の作風と、大人の峰不二子
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男はつらいよ お帰り 寅さん(2019年製作の映画)

4.0

 本当はそこまで老いていない倍賞千恵子や前田吟らが、『家族はつらいよ』のように年齢なりの姿を演じ、満男のシワも増えた。
 だが、思い出の寅さんの姿は変わらず、いつもみんなの心に生きている。
 TVシリ
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カツベン!(2019年製作の映画)

3.8

 NHK朝のドラマで『ロマンス』では辰巳琢郎と榎木孝明がW主演で、ヒロインは樋口可奈子だった。
 トーキーの時代になると、悪声だったバレンチノなど落ちぶれていく役者と、活動弁士が描かれていた。
 この
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i-新聞記者ドキュメント-(2019年製作の映画)

3.8

 ときに笑いが起こっていたが、笑いごとではない。
 伊藤詩織さんの民事裁判で、元TBS山口被告に賠償命令が出た現在だからよけいに客が入ってもいるが。
 だが、その経緯を追ったドキュメンタリーを題材の一
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のみとり侍(2018年製作の映画)

3.5

 企画優先のお色気優先時代劇かと、高をくくっていたが面白かった。
 阿部寛は画になるし、豊川悦司には艶がある。寺島しのぶには、さらに色気の貫禄さえあるので、この主要キャストだけでも楽しめる。
 「蚤取
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たちあがる女(2018年製作の映画)

3.7

 過激な環境運動は新しいのか、レトロなのか。
 反社会的なのか、しかたのない悪なのか。
 洪水のニュースに、世界の情勢を少しずつつ表して、主人公たちの信念も描いている、

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(2019年製作の映画)

4.1

 みんなが感想を書くだろうから、思い出を綴る。初作『スターウォーズ』は1977年、もちろんガンダムより早い。少年サンデーで撮影中の記事が出たときは『宇宙戦争』だった。
 そして公開。わざわざ船に乗って
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ミート・ザ・フィーブルズ/怒りのヒポポタマス(1989年製作の映画)

4.0

 異色作にもほどがある!これを作りきったスタッフは偉い。
 動物キャラと言えば癒やしだの、かわいいだのというのが常識だが、これは人間の醜い部分の戯画だ。
 徹底して好意的に描こうとしない。
 描写もエ
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パペット 大騒査線 追憶の紫影(2018年製作の映画)

3.6

 予告を観ていたので、とてつもなく下品かと思っていたら、とんでもなく下品なくらいだった。
 でも、パペットはホームレスや社会的弱者、移民や外国人に置き換えられる。そういう意味でも面白い。
 しかし、プ
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ホテル・ムンバイ(2018年製作の映画)

3.9

 テロリストに容赦はない。主人公だから助けるとか、選択もしない。
 それがリアルであり、緊張感を生んでいる。駅や超高級ホテルをターゲットにしたイスラム原理主義テロリストが、あえて自分たちから搾取をした
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永遠に僕のもの(2018年製作の映画)

3.7

 「息をするように人を殺す」犯罪を犯す、という言い方はあるが、この主人公のスイッチはもっと軽く入る。
 この作品は、どう評価するかによってその評価する人間の嗜好や考えを晒してしまう映画だ。
 まず、主
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THE INFORMER/三秒間の死角(2019年製作の映画)

3.6

タランティーノ監督『イングロリアス・バスターズ』でメジャーになった頃は「お嬢さん」然としたかわいい娘だったのが、このところアイパッチしたりで妙にかっこよくなった、ロザムンド・パイク。
 これはその「
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ファイティング・ファミリー(2019年製作の映画)

3.8

 これは熱い。熱いプロレス映画だ。
 プロレス一家の娘が体を張ってサクセスを目指す。実話だとわかっていても、その先が心配になるし、トライアウトや試合のシーンのたびに、こちらも力が入ってしまう。
 単身
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妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ(2018年製作の映画)

3.8

 夏川結衣に星ひとつ追加。かつて『夜がまた来る』(石井隆監督)でナミを演じていた頃の、またTVドラマ『結婚できない男』の頃の美しさは忘れられない。
 山田洋次監督もそれを意識してこの題名をつけたのだろ
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ゾンビランド:ダブルタップ(2019年製作の映画)

3.8

 名優の無駄遣いでなく、みんな楽しそうなゾンビ映画。
 特にエマ・ストーン、前作のあとこの10年間でアカデミー賞作品賞『ラ・ラ・ランド』では主演女優賞を、『女王陛下のお気に入り』で助演女優賞を受賞と輝
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イエスタデイ(2019年製作の映画)

4.0

 名作だ。やはりイギリスはロックの国だ。パンクでロック。
 雰囲気が『アバウト・タイム』に似ていると思ったら、脚本がその監督リチャード・カーティスではないか。
 ミュージシャンの映画であり、ビートルズ
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草間彌生∞INFINITY(2018年製作の映画)

4.0

 「凄まじい天才」と、支援者が言うように、草間彌生こそ本当の天才なのだろう。世にいくらでもいる天才と呼ばれる人ではなく。
 このドキュメンタリーは、時系列で草間を捉え、数々の関係者や学者の証言から彼女
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クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険(1996年製作の映画)

4.0

 ファンタジーとは悪夢でホラーもある。その『クレヨンしんちゃん』の「悪夢路線」を定着させたのがこの映画だ。
 ちょっと歪んだキャラクター「ヘンダー」や、ヘンダーランドの造形と色彩や絵柄。
 人を喰った
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ひとよ(2019年製作の映画)

3.8

 白石監督は『孤狼の血』で暴力の極みを描いたが、『凪待ち』で家族に目を向けはじめ、この『ひとよ』に至った。
 家族の再生というより、新しい関係の始まり。
 優等生キャラの鈴木亮平から激情を引き出したり
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「エロ事師たち」より 人類学入門(1966年製作の映画)

3.8

 『神々の深き欲望』を高校の時に深夜放送で観たときには衝撃を受けた。
 何だ、この映画は。というインパクト。
 神話的とかいう言葉も知らなかった頃だ。
 そして、大学時代、オールナイトで『にっぽん昆虫
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