TaiRaさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

流星課長(2002年製作の映画)

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『キューティーハニー』でやろうとした事が成功している。

庵野秀明の陽性な部分。「エヴァ期」を終え、新しいタームに入ったのが分かる。カットの速さは後の『シン・ゴジラ』にも通ずる。乗客エキストラの中には
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式日-SHIKI-JITSU-(2000年製作の映画)

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庵野秀明にとってこれ以上に重要な作品ないのでは。

2000年12月7日公開なので、20世紀最後の日本映画の一本(翌週『バトル・ロワイアル』公開というのが激アツ)と言える。つまり20世紀最後の庵野秀明
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ラブ&ポップ(1998年製作の映画)

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赤い海から始まるので実質エヴァ続編。日本初のデジタルシネマという点と変なカメラワーク以外は割とまとも。

庵野秀明が『エヴァンゲリオン』直後になぜ村上龍なのか、なぜ援助交際なのか。実質的に『エヴァ』と
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新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に(1997年製作の映画)

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初めて「DEATH(TRUE)²」観た。「Air/まごころを、君に」は14年ぶり2回目かな。初見時、別にこれで充分じゃんと思った。今も若干思ってる。『シン・エヴァ』観たら変わるかな。

「DEATH」
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DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン(1983年製作の映画)

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庵野秀明初の総監督業。庵野が顔出しウルトラマン役。

自主制作の同人特撮だけどミニチュアのクオリティとかやたら高い。メカはペーパークラフトで作ったみたいだが凄いな。ワンダバの場面もちゃんと説得力ある撮
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アメリカン・サイコ(2000年製作の映画)

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原作から30年、映画から20年経ってるけどテーマは未だに古びない。ウォール街や兜町の奴らは別に変わってないしね。

ウォール街のエリート証券マンが夜な夜な殺人を嗜んでいるというブラックコメディだけど、
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クラッシュ(1996年製作の映画)

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初見時の印象が「えろい」しかなかったので再見したら、やっぱ只々えろかった。

まずタイトルクレジットがめちゃくちゃカッコ良い。歪んだクロームで出来た文字が車の様に列を成してこちらへ近付いて来る。ハワー
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あのこは貴族(2021年製作の映画)

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日本の階級社会やシスターフッドを描いた映画として、こういうバランスはあまりないかも。

以前、旧華族の家の子と話す機会があって、それがまぁ中々に面白い話だったのだけど、当人は色々と大変そうだった。一般
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春江水暖~しゅんこうすいだん(2019年製作の映画)

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めちゃくちゃ庶民的な話。親の介護とか借金とかでずっとおじさんたちが困ってる話。

「現代の山水絵巻」ってあるように、自然の見せ方、横スクロール撮影なんかは力が入ってる。河岸をぐるっと移動する長回しなん
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樹海村(2021年製作の映画)

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近年の長編Jホラーで一番面白いのでは?あんま観てないけど。

『犬鳴村』はそこそこ楽しめたくらいだったけど、今回は普通に面白かった。あとちゃんと怖かった。まずコトリバコのデザインが良い。クローネンバー
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ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)

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任侠映画を前フリにするのは良いけど、時間かけて描くならちゃんと面白くして欲しい。

1999年のチンピラ編と2005年のヤクザ編で一時間近く使ってるんだが、ここが普通につまらなかった。藤井道人の作品初
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ガメラ2 レギオン襲来(1996年製作の映画)

5.0

オリジネーターとの単純比較は出来ないが、洗練という意味では怪獣映画の最高傑作かと。同時に日本産侵略SF映画の最高峰でもある。

前作から更に推し進められたリアリズム怪獣映画の究極系。人間パート、怪獣バ
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わたしの叔父さん(2019年製作の映画)

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デンマークの農家で小津、みたいな。監督が小津キッズらしい。

基本的に台詞が少なく、序盤は淡々と農家の日常生活を描写して行く。その中で繊細に主人公の心情の揺れを見せる。叔父さん役は主演女優のリアル叔父
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プラットフォーム(2019年製作の映画)

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風刺にはユーモアが必要なの忘れてないか。というかそのまま過ぎて風刺になってない。

超現実的な閉鎖空間モノなので『CUBE』とかの類似なんだけど、その点ではこれと言って目新しさがある訳でもなく、言いた
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藁にもすがる獣たち(2018年製作の映画)

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90年代に散々作られたやつ。一定の面白さは確約されてるけど、凄い面白い訳でもないっていう。

金の必要な男が大金の入ったバッグを拾ってしまう話、借金返済に苦しむ男が金策に駆けずり回る話、ある事情で金が
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あの頃。(2021年製作の映画)

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アイドルやオタクというものを中心に置き過ぎない選択は、今作に関しては良かったと思う。そういうのをガッツリ描いたのも観たいけど。

近過去を扱う青春映画なので、下手するとノスタルジーどっぷりな内容になっ
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

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役所広司が良いのは当然として、太賀や六角精児がとても良い。まぁ、役者の頑張りが見え過ぎなきらいはあるが。

役所広司と佐木隆三を通して西川美和が今村昌平に接近してるのかな、と思ったがやはりテイストは違
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KCIA 南山の部長たち(2018年製作の映画)

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内容は東映ヤクザ映画で、ルックはコッポラやベルトルッチ。そんでもって切ないBLでもあった。

朴正煕大統領暗殺事件の裏側を創作した政治サスペンス劇。というより正ヒロイン=パク大統領を巡ってキム部長と警
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花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

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20代って恋愛するにしてはバカ過ぎるよね。バカじゃないと恋愛出来ないけど。

東京の割とそこら辺にいる文化系とサブカル系の合間みたいな、中途半端にミーハーな嗜好の若い子を、その軽薄さを責めるでもなく、
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ホース・ガール(2020年製作の映画)

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主観で描く統合失調症、あるいは真実(≠事実)への優しい眼差し。

アリソン・ブリーの自伝的物語だが、要素としてカート・ヴォネガット『スローターハウス5』が代入される。祖母は統合失調症、母は鬱病を患った
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ザ・コール(2020年製作の映画)

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『恐怖ノ黒電話』リメイクだが基本設定だけを貰ってゴリゴリの韓国スリラーにしてる。

幼少期に父親を亡くした女性が、実家で過去と通信出来る電話を見つけちゃう話。『恐怖ノ黒電話』とは主人公の抱える問題から
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レディ・オア・ノット(2019年製作の映画)

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サマラ・ウィーヴィングの絶叫クイーン(死語)っぷりが最高だった。

実家が大金持ちの恋人と結婚した花嫁が、結婚初夜に人間狩りの標的にされちゃう話。狩る側の金持ち家族も掟に従って儀式をやらなければならな
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チャンシルさんには福が多いね(2019年製作の映画)

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「ゆ、幽霊ですか?」「レスリー・チャンです」この辺の東京コントっぽさが好き。

ホン・サンスのプロデューサーやってた女性の監督作で、主人公のチャンシルさんもそれに沿った人物。ホン・サンス的な巨匠が急死
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ミッドナイト・ファミリー(2019年製作の映画)

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修羅の国メキシコは生きるの大変やなぁ。創作よりも劇的、映画的。

「メキシコシティの人口900万人に対し正式な救急車は45台」という冒頭のテロップから、とんでもねぇなって感じ。だから無許可の私営救急車
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Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)

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平山夢明がしてたこんにゃくの話を思い出してちょっとウケた。

裕福な主婦の神経症スリラーかと思ったらそういう類ではなかった。自己決定権についてのストレートなエンパワーメント映画。金持ち男のトロフィーワ
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ガメラ 大怪獣空中決戦(1995年製作の映画)

5.0

Dolby Cinemaで観賞。怪獣映画史において初代『ゴジラ』に次ぐ影響力。

再見してみて、記憶していた以上に素晴らしくて感動。特撮のクオリティは言わずもがな。怪獣映画としては低予算であり、特撮の
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新感染半島 ファイナル・ステージ(2020年製作の映画)

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『ニューヨーク1997』と『マッドマックス』やりましたって感じ。泣かせ演出が前作以上にクドい。

『新感染』の続編というか一連の半島パンデミックシリーズの一編。『ソウル・ステーション』含め、全作テイス
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アクエリアス(2016年製作の映画)

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『バクラウ』といい今作といい、フィリオはナメんじゃねぇ!精神が強いんか?

住人と地上げ屋の立ち退き攻防劇なのだが、エンタメ要素と内省のバランスが不思議。南米のカラッとした空気と陰湿な人間性。海辺のア
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悪い奴ほどよく眠る(1960年製作の映画)

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汚職に関わった役人が自殺に追い込まれるの、日本の伝統芸だとよく分かる。

古典的な復讐劇の部類なのだが、三船演じる主人公のダークヒーロー然とした佇まいはモダンな印象。仇敵を追い詰めながら口笛吹いてるサ
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天国と地獄(1963年製作の映画)

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前半と後半なら前半の方が面白い。山崎努は凄かった。

1時間近く室内だけで展開される部分は、シネスコ×パンフォーカス×入り組んだ動線で画変わりしないのに全く退屈しない。芝居、台詞にもユーモアがあって結
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蜘蛛巣城(1957年製作の映画)

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フィルム上映で観たので台詞がよく分かんないとこもあったけど面白かった。風が凄い。

『マクベス』翻案を能の様式でやるのがカッコいい。黒澤はリアリズムより様式美の方が好きかも。風や雨、霧といった自然現象
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シカゴ7裁判(2020年製作の映画)

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事実を基に面白いフィクションを作る何時ものアーロン・ソーキン仕事。事実より面白さを取るのが芸人的で好き。

1968年のシカゴ民主党大会で起きた暴動(『シカゴの軌跡』D面でお馴染み)を理由に逮捕された
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マ・レイニーのブラックボトム(2020年製作の映画)

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オーガスト・ウィルソンの戯曲が原作。なので多分に役者の映画。

戦前ブルース界に実在した女性シンガー、マ・レイニーを題材にしたフィクション。劇の9割は、とあるレコーディング日の風景だけで描かれる。映画
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七人の侍(1954年製作の映画)

5.0

修復版の画と音が綺麗で感動。かなり台詞が聞き取れるようになった。長いこと観直してなかったけど、やっぱ面白い。

映画掘る様になった頃に真っ先に観て、「昔の映画ヤベえ」ってなったの覚えてる。200分超え
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サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

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これさえあれば生きていける、というものを失った時、それでも生きようと思えるか。

元々、デレク・シアンフランスの準備していた『Metalhead』という企画がどうにも作れず、仲間のダリウス・マーダーに
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ワンダーウーマン 1984(2020年製作の映画)

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公開延期重なって不憫だったが、嘘に溺れて暴動が起きる光景を今朝方見たばかりなので、逆にタイムリーだったかもしれない。

80年代を扱う作品が乱立した数年間だったけど、この感じをやったのは少ないかも。8
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