TaiRaさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

ジャン=ポール・ベルモンドの 恐怖に襲われた街(1973年製作の映画)

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アメリカの刑事アクションに対するフランスからの回答なんだけど、めっちゃ歪な映画になってた。

ベルモンドが『ブリット』や『ダーティハリー』に対抗した刑事アクションなんだけど、乗っけからジャッロみたいな
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大頭脳(1968年製作の映画)

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超楽しい漫画映画。めっちゃルパンなベルモンド。

イギリス人の大泥棒デヴィッド・ニーブン、フランス人泥棒コンビのベルモンドとブールヴィル、シチリアマフィアのイーライ・ウォラックが交わったり交わらなかっ
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スパイの妻(2020年製作の映画)

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思った以上に“男と女のラブゲーム”してて好感。どうしたってNHKドラマに見えるのが何とも。

戦争やサスペンスを端へ追いやって、ドンと構えるメロドラマの図々しさが愛らしいので、個人的には好きな部類。黒
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女は二度生まれる(1961年製作の映画)

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芸者の若尾文子が男を転々としながら軽妙に生きて行く様でいて、最終的にはめちゃくちゃシビアな着地。

靖国神社の鐘が聞こえる花街の芸者がふらふらと生きてる。芸者なのに芸なし、でも美人だから客は取れるとい
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越前竹人形(1963年製作の映画)

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途中までどういう話なのか分かんなかったけど、結局は不憫極まりない話だった。

ゴリゴリに童貞な竹細工職人の山下洵一郎のもとへ若尾文子がお嫁さんに来てくれるというラノベみたいな話。遊郭から抜けて嫁に来て
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巨人と玩具(1958年製作の映画)

5.0

戦後日本の空虚さを風刺したハイスピード・ブラックコメディ。

製菓会社の特売商戦を巡る風刺劇。宣伝部の若手社員である川口浩と上司である「宣伝の鬼」高松英郎の関係は『L.A.大捜査線』などの形式に近い。
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妻は告白する(1961年製作の映画)

5.0

最後まで掴み切れない若尾文子が凄い。ファムファタルという概念に対する批評。

登山中の死亡事故が妻による殺人か否かを探る話。若尾文子演じる薄幸の未亡人が果たして信用出来るのかどうか、彼女の絶妙な芝居に
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青空娘(1957年製作の映画)

5.0

元祖・朝ドラヒロインといった佇まいの若尾文子を愛でる傑作。

田舎で育った落し子の若尾文子が祖母の死を受け上京するも、継母たちに女中扱いされいびられるという継子いじめ譚。50年代日本で『灰かぶり姫』を
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鵞鳥湖の夜(2019年製作の映画)

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前作の方が好きだし諸々上手く行ってたと思う。それでもやっぱ画力は強い。オリジナリティはないけど。

脚本も人物もショットも全てノワール然としていてコテコテ。結論を先延ばしにし続ける逃避行の行方を描くか
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2分の1の魔法(2020年製作の映画)

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ピクサーの中では地味な部類。ただ終盤の泣き度数は高い。

魔法が廃れたファンタジー世界の造形とか、キャラクターたちの色付けとか、あんま面白味が感じられず前半は乗り切れなかった。吹き替えで観たのもあるか
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TENET テネット(2020年製作の映画)

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観賞後感が『まどマギ』のそれ。つまりノーランは魔法少女だったという事ですね。

ノーラン史上最エモ。なのでノーランのベスト。もうノーランには面白いかどうか、良く出来てるかどうかは求めてないので。如何に
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笑う男(1928年製作の映画)

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ビジュアルがジョーカーの元になったというのは知ってたけど、内容は知らなかった。ユゴー原作の純愛モノ。

いわゆる醜男と美女の恋愛モノの一つで、ユゴーにとっては『ノートルダムのせむし男』路線。王室の政争
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ブルータル・ジャスティス(2018年製作の映画)

5.0

遅い暴力は怖い。初期北野武がコーマック・マッカーシーを映画化したみたいな雰囲気。

初ザラーだが普通に好き。とにかく時間をかけて一つの場面を描くので、暴力の発動が引き延ばされ緊張感を生む。実際に暴力が
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劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン(2020年製作の映画)

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泣きはしたが、非常に複雑な気持ちで観てた。

個人的には求めていた物語ではなかった印象。ファンの多くが求めていた物語がこれなのかもしれないし、作り手の優しさに起因する選択なのかもしれないが。TVシリー
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知られぬ人(1927年製作の映画)

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こないだ観たロン・チェイニーは脚なかったけど今度は腕なかった。

サーカス団員である両腕のないチェイニーが団長の娘に惚れてる。惚れてるというか物にしたいと思ってる。一方で団員の怪力男も娘に惚れてるが、
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mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

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世代的にも文化圏的にもドンピシャって訳じゃないので割と大人目線で観てた。

10代の頃はストリートカルチャーとも距離あったし、スケボーも乗った事ないんでノスタルジーとかは特になかった。ちょっとワルい先
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幸せへのまわり道(2019年製作の映画)

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フレッド・ロジャースの伝記映画とかではなく、フレッドという奇妙な男と遭遇した人間のドラマ。

フレッド・ロジャースの事を知ったのは、彼のドキュメンタリー『ミスター・ロジャースのご近所さんになろう』が賞
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暗黒街(1927年製作の映画)

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元祖ギャング映画で男泣きノワール。色んなやつの元ネタ。

アル中の男が強盗犯の男と出会い、流れで子分になったらそいつの情婦に惚れちゃって三角関係になる。ワルだけど憎めない強盗犯をジョージ・バンクロフト
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ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019年製作の映画)

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凄く良く出来てる訳ではないけどサイコーな部分はあるし存在意義は大きい。

ある意味、ティーンコメディが一番PCの更新に敏感でなくてはならないと思う。どこに向けた映画か考えれば。その点では充分過ぎるくら
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最後の人(1924年製作の映画)

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おそらく世界初の便所メシ映画。侘し過ぎる。

99%映像だけで構成され、中間字幕がほぼ無い純サイレント映画。映像だけで見せるという点でヒッチコックとトリュフォーが「ムルナウはヤバいよねー」みたいに言っ
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天罰(1920年製作の映画)

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医療ミスで両脚を切断された子供が数十年後、グレて暗黒街のボスになっちゃう話。

医師が医療ミスを隠蔽する冒頭を見て、こんなタイトルだから、脚を失ったロン・チェイニーが医師に復讐する話かと思った。筋の大
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港々に女あり(1928年製作の映画)

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ホモソーシャルのブロマンスというか純粋なラブストーリーですね。

港々に馴染みの女作ってる水夫が、自分以外にも方々の女に手付けてるナンパ水夫がいると知って、そいつに出会う。そこから繰り広げられるピュア
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都会の女(1930年製作の映画)

5.0

映画史上最も美しい横移動がありますね。恋人たちはみんな追いかけっこするべきです。色恋の体現としてそれが最上ですから。

ムルナウ自身による逆『サンライズ』みたいなお話。『サンライズ』は田舎に住む善良な
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牡蠣の王女(1919年製作の映画)

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いわゆる「ルビッチ・タッチ」の原点がこれになるらしいが、あんまり良くわかってない。ただ楽しかった。

カリカチュアされた大富豪の父娘と極貧王子とバカ家来の織りなす変人喜劇でとても楽しい。軽妙洒脱な乱痴
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溶岩の家(1994年製作の映画)

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話はさっぱり分からなかったが、ほとんどのショットが最高でビビった。

昏睡状態の患者をカーボ・ヴェルテ島に移送、それに同行した看護婦の話。まず序盤の病院でのイネス・メディロスの洗顔からして最高。何が良
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(1997年製作の映画)

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ガチガチに決まった画が連続しててスゲえと思った。話は『ある子供』みたい。こっちが先だけど。

台詞も全然ないし俳優も演技しないので基本的にミニマルなんだが、画面が饒舌というかよく語ってくる。あらすじも
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ゾンビランド:ダブルタップ(2019年製作の映画)

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10年経ったら人間かゾンビのどっちか滅んでそうだけどね。前作より面白い気がするけど、ユルさはどっちもどっち。

やってるなら観るくらいの映画だよね。あるなら食うお菓子みたいな。このシリーズ、ゾンビ映画
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アルプススタンドのはしの方(2020年製作の映画)

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矢野泣き。甲子園球場には見えないけど脳内補正したし、試合は映らないけど打球は見えた。

甲子園出場よりも倍率が高い全国高校演劇大会の最優秀作品を映画化。その上で甲子園球児を光とし、演劇部員らを陰として
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WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)

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舞台が2018年夏のフロリダなんだけど、使ってる曲が10年代序盤のPitchfork系に寄り過ぎ。

兄編と妹編の二幕構成。監督であるトレイ・エドワード・シュルツ自身が体験した事を元にしている半自伝的
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千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)

5.0

2001年ぶりの劇場観賞。大人になると分かるアドバイスを子供時代に貰ってた感じ。そういう映画。

2001年ってのは21世紀の始まりですけど、この年に『千と千尋の神隠し』と『クレヨンしんちゃん 嵐を呼
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もののけ姫(1997年製作の映画)

5.0

初めて劇場で観た。思い返すと生まれて初めて触れた「複雑な映画」がこれだった。

子供時代にVHS買って100回くらい観てるし、そのせいもあって成長してから観直す機会も少なかった。カット単位で覚えてるの
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風の谷のナウシカ(1984年製作の映画)

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漫画版読んでから初めて観直したけど、やっぱ映画版は印象薄い。昔からあんま記憶に残らない作品だった。

宮崎駿の最高傑作は何かと言ったら、そりゃ漫画版『風の谷のナウシカ』でしょう?それを踏まえると映画版
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透明人間(2019年製作の映画)

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ユニバーサル・ホラーがようやく再開発に成功したので良かった。

『透明人間』を被害者女性の視点に全振りして描く、というありそうでなかった解釈が良かった。『ガス燈』や40年代ヒッチコック作品的なヤバい夫
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呪怨2(2000年製作の映画)

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最初の30分くらいは前作のラスト2話をほぼ流用してるので、連続で見る際は「響子」中盤まで飛ばして良い。

前作から続く呪いの連鎖がどんどん拡大。この時点で既に過剰さは出ていて、演出のタガは外れかかって
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呪怨(1999年製作の映画)

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初めて『呪怨』と名のつく作品をちゃんと観た。怖い。

オムニバスかと思いきや実は話が全部繋がってる!みたいなノリが90年代っぽい。順番含め構成は上手い。時系列的には一番古い柳ユーレイのエピソードを最初
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ランボー ラスト・ブラッド(2019年製作の映画)

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ジョン・ランボーの人生に安寧が訪れないことが悲しくてやりきれない。前作で綺麗に終わり過ぎたことへのカウンターのよう。

第一作『ランボー』のコンセプトが、ベトナム戦争をアメリカ本土へ持ち込む、というも
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